新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、外での飲食がなかなかしづらくなった現在。そのような中、自宅でもまるで飲食店の生ジョッキのように楽しめる「缶ビール」が発売される。

提供:アサヒビール株式会社
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アサヒビールから発売されるのは、その名も「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」

缶のふたを開けるときめ細かい泡が自然に発生し、飲食店のジョッキで飲む樽生ビールのような味わいが楽しめるという。酒類取り扱いのコンビニエンスストアでは4月6日に先行発売され、全業態では4月20日から全国で発売される。

これまでの缶ビールも振れば泡が出たがそうではない。今回の商品はふたが全開することで、自然と泡が発生し麦芽の香りが感じやすくなるとともに口に流れる液量が多くなるとのことだが、
なぜ泡が自然に発生するのだろうか? またこのような缶ビールを開発したきっかけは?

この不思議な缶ビールについて、アサヒビールの担当者に話を聞いた。

一度は中止するも4年前から再び開発

ーー「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」を開発したきっかけは?

「ビールのうまさや楽しさを伝えたい。スーパードライを通じてお客様をワクワクさせたい」この想いが開発のきっかけです。


ーーいつから開発していたの?

缶ビールの飲み口を大きくする、今回の生ジョッキ缶のようなフルオープンにするという取り組みは、缶ビールをより美味しく、より楽しくお飲みいただけるよう、実は10年以上前から研究し、消費者テストも実施していました。

当時の消費者テストでは、単純なフルオープンだけではお客様の驚きが得られず、一度開発を中止した経緯があります。

しかしお客様の飲み方が多様化し、飲食店のみならず家庭を含めた様々な場所で、自由にお酒を楽しむ流れが進む中で、“お店で生ビールがきた時のワクワク感とあのうまさを、家でも楽しみたい!”という潜在ニーズに辿り着き、約4年前に開発を再スタートしました。

「泡が自然発泡する事、フタ・飲み口共に口や手が切れない安全設計にする事」を実現し、この度、生ジョッキ缶として発売できる運びとなりました。

提供:アサヒビール株式会社
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ーー自宅での缶ビールでは満足できない人が多いの?

直近でアサヒビールが実施した調査(2020年9月)によると「自宅では飲食店のような本格的な生ビールが味わえない」ことに不満を感じているお客様は6割を超えています。

新型コロナ影響もあり家庭内でのビール飲用機会がますます広がっており、家飲みをより楽しくする新たな提案を出来ればと考えています。


ーー泡が発生する仕組みを教えて

アルミ缶の中に特許出願中の特殊な塗料を焼き付け、クレーター構造の凹凸を作っております。
フタを開けたけた時の気圧差による自然発泡を、この凹凸によって増大することで泡立ちを実現しております。通常の缶では発泡はほとんど起こりません。

提供:アサヒビール株式会社
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従来の缶ビールにない驚きや感動を提供

ーー開発で大変だったことは?

お客様に「驚きと感動」を与えるまでの商品の実現に向けて、お店の生ジョッキと同等の泡立ちの実現や、手や口を切らずに安全に全開するふたの開発など、さまざまな高いハードルがありました。

特に自然発泡する容器開発には苦労し、2020年だけでも、工場でのライン試験を計11回実施しました。

具体的には、
・家庭用冷蔵庫の冷却条件が様々であり、冷却速度が速い場合や冷蔵温度が低い場合に泡立ちが悪くなることが分かり、改善を重ねた。
・泡立ち缶に中身を充填してフタを巻締する場合、液温が高いと巻締前に泡立ってしまい、フタがうまく巻き締められなかった為、製造設備を含め改善を重ねた。


などといった、様々な高いハードルを乗り越える必要がありましたが、内面塗料の改良や製造設備の改良など、幾度となくテスト・改善を繰り返すことで泡立ち性能が大幅に向上しました。

提供:アサヒビール株式会社
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ーー開けた時の「プシュー」という感覚はある?

生ジョッキ缶も開ける際に「プシュ」といった音があり、むしろ通常の缶よりもやや大きいかもしれません。このやや大きめの音が、飲みたい気持ちをそそるといったお声をお客様からいただいたこともあります。

この音とともに、フタが全開してきめ細かい泡が自然に出てくる視覚的な楽しさや、お店の生ジョッキのようにゴクゴク飲めるおいしさが、従来の缶ビールにない驚きや感動を提供していけると考えています。


ーー飲むときの注意点を教えて

冷蔵庫の冷蔵室でよく冷やしていただくこと。そしてこぼさないように、平らな所で缶を固定してタブを起こし、手前に引き上げてフタを開けていただければと思います。

ビールらしい豊かな麦芽の香りが広がる

ーー生ジョッキ缶の魅力はなに?

物性的な価値として「缶容器なのにお店で飲む樽生ビールのように泡を楽しめる」「全開された蓋でゴクゴク飲める」「ビールらしい豊かな麦芽の香りが広がる」等が挙げられます。

また、情緒的な価値としても「家庭内におけるビール飲用の驚きや楽しさ」「生ジョッキ感覚でお店にいる気分を楽しめる」等を提案できると考えています。


ーー完成した生ジョッキ缶を手にした時どう思った?

とにかく、うまかったです。開けた瞬間、理想的な泡立ちで自分自身が本当にワクワクして、まさにお店の生ジョッキ感覚でゴクゴク飲めました。開発メンバーの仲間と、感動を分かち合ったことを覚えています。


ーー社内での評判は?

私が今まで経験した中でも、社内のかなり強い期待を感じられた商品であり、「これは楽しみな商品だね」と何人もの方から声をかけられました。


ーーどのようにして飲むのがおすすめ?

缶蓋を全て開けてそのまま(グラスに移さず)お楽しみいただきたいです。


なお、ビール自体は通常の「アサヒスーパードライ」と同じだという。発売の4月までには新型コロナウイルスの感染が収束していくことを願いたいものだが、「アサヒスーパードライ」の飲み比べをするなど、おうち時間の過ごし方としては楽しめそうだ。
 

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プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。