緊急事態宣言の地域が新たに7府県追加されるなど、感染拡大が続く新型コロナウイルス。そのような中で今、感染症予防として俄然注目を集めるワクチンについて、厚生労働省が公式サイトで最新情報を随時、発信している。

出典:厚生労働省
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「新型コロナウイルス感染症のワクチンについて」というページで、まず「ワクチンが実用化された場合の接種」という項目では 、
 
・予防接種を受けられる時期
・接種回数
・予防接種の対象者や、受ける際の接種順位
・冷凍で保管するワクチンの流通や接種
・接種を受ける際の同意の取得
・接種を受けた後に副反応が起きた場合の健康被害救済制度
・予防接種を受けられる場所・方法
・予防接種を受ける際の費用
などについて解説があり、例えば「予防接種を受けられる時期」については下記のように書かれている。

安全で有効なワクチンが承認され、供給できるようになった時に、出来るだけ早く、国民の皆さまに提供できるよう準備しています。2021年春頃より接種を開始できる可能性がありますが、詳細は決まっていません。決まり次第、お知らせします。

海外と国内のワクチン開発の見通し

続いて「ワクチン開発と見通し」について説明。

海外製ワクチンはアメリカやイギリスなどですでに接種が始まっているが、日本国内ではファイザー、アストラゼネカ、ジョンソン&ジョンソン製ワクチンの治験が行われている段階だ。

一方、国内で開発しているワクチンのうち早いものは今年1月から臨床試験を始める意向など、国内外の主なワクチンの開発状況が確認できる。

ワクチン開発の進捗(一部) 出典:厚生労働省

そして気になる「ワクチンの有効性や安全性」という項目もある。

厚労省によると、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカの開発中のワクチンについては、投与した人の方が投与していない人よりも新型コロナウイルスの発症が少ないとする中間結果などが発表されているが、有効性や安全性は詳しい情報が分かるのを待たなければならないという。

また同省は、一般的にワクチンを接種すると、極めて稀であるとしつつも副反応(副作用)による健康被害が発生するとしている。

現在開発中のワクチンの副反応は臨床試験などで確認中で、日本への供給を計画する海外製ワクチンは、接種と因果関係がないものも含め痛み・頭痛・倦怠感・筋肉痛などが起きたという論文が発表されているとのことだ。

ワクチン接種で失神することも

さらに、2020年12月22日に更新された情報では、新型コロナウイルスワクチンだけでなく一般的なワクチンを接種した後に起こることがある「アナフィラキシー」と「失神」について説明している。

「アナフィラキシー」とは、薬や食物が身体に入ってから短時間で起きることがあるアレルギー反応のことで、例えばインフルエンザワクチンの場合で、因果関係があるかどうか分からないものも含めると、1シーズンで約20件の報告があるという。

「アナフィラキシー」を起こしやすく注意が必要なのは、他の医薬品のアレルギー、食物アレルギー、ぜんそく、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などある人で、ワクチンを接種するときは医師と相談の上で判断すべきとしている。

対処法としては、ワクチンの「アナフィラキシー」は接種から30分以内に起こることが大半であることから、その間は医療機関で体調を確認するか、すぐに戻れるところで体調を確認したほうがよいとのことだ。

息苦しさなどの呼吸器症状がみられれば、まず、アドレナリン(エピネフリン)という薬の筋肉内注射。その他、症状を軽くするために、気管支拡張薬の吸入や抗ヒスタミン薬、ステロイド薬の点滴や内服なども行うという。

画像はイメージ

また、ワクチン接種で緊張したり強い痛みを受けたりしたことがきっかけで「失神」してしまうこともあるそうだ。正確には「失神」とは血管迷走神経反射という反応で、誰にでも、ワクチン以外の血液検査などでも起きることがある。

「失神」もワクチン接種後、30分以内に起こることが大半で、対策としては気を失った時に倒れてケガをしないよう30分ほどは背もたれのあるイスに座って休むことが勧められている。 万一起こったときも、横になって休んだり、頭を低くするために足を上げたりするなどの姿勢をとることで自然に回復するとのことだ。

この他にも「新型コロナウイルスワクチンの早期実用化に向けた厚生労働省の取組」など新型コロナウイルスのワクチンについての情報がまとめられている。
日本でのワクチン接種はまだ先になりそうだが、そもそもなぜ海外より開発に時間がかかるのだろうか?また海外で使われているワクチンを改めて国内で治験するのはなぜなのだろうか?
 厚生労働省の担当者に聞いてみた。

海外企業が開発競争をリードしている背景

――国産ワクチンの開発が海外製ワクチンに比べて時間がかかっているのはなぜ?

新型コロナウイルスのワクチンは海外企業が開発競争をリードしています。海外ではSARS(サーズ)やエボラ等の経験から、平時から新興感染症に対するワクチンの実用化を目指した開発が行われており、開発の着手が早かったと考えられます。

あるいは海外ではメガ・ファーマと呼ばれるような世界的な製薬企業がワクチンの開発を行っている一方、日本は研究所から発展した比較的規模が大きくないワクチンメーカーが多いといった理由が挙げられます。

厚生労働省は、新型コロナウイルスをはじめとして予期せぬ感染症に対するワクチンを国内で開発生産できる体制を確立しておくことは大事だと考えており、補正予算などでの支援を進めています。


――では、海外製ワクチンを国内で改めて治験する理由は?

ワクチンの効き目やリスクの判断については、国や地域の状況によって異なる可能性があります。その他、民族的要因の差などをふまえると国内で治験を行うのは一定の意味があるのではないかとされています。


――副反応が起きないようにするためには、ある程度の期間が必要では?

科学的な知見を含めて実際の接種に向けて準備を進めていきたいと思います。
 

新型コロナ収束のため、国内外で研究が進められているワクチン開発。異例のスピード感で開発されている中で、いざ自分が接種するときに備えこうした情報を参考にしてほしい。
 

・厚生労働省が公開する「新型コロナウイルス感染症のワクチンについて」はこちら

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