コロナ禍で百貨店が売っていた「希望」

新型コロナの影響により、大きく変化した生活様式。外出の自粛により、楽しみにしていたお出掛けの予定や、イベントへの参加を見送った…という人も少なくないだろう。

そんな中、大手百貨店の株式会社そごう・西武が「百貨店が売っていたのは、希望でした。」との広告を発表し、話題となっている。

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レシートは、希望のリストになった。」

このコピーとともに映っているのは、1枚のそごう・西武のレシートで、そこにはこう印字されている。

新型コロナウイルスで行動が制限された2020年。

それでも、自由に旅行できる日のために662人のお客さまが、スーツケースを購入された。
マスクの下でもメイクを楽しみたい76,175人のお客さまが、口紅を購入された。
夏祭りは中止だったけれど、浴衣は475着。

颯爽と街を歩く日を待ちながら、お求めになったハイヒールは1,001足。
生まれてくる命を、566セットのベビーギフトが全力で祝福した。
足踏みばかりの日々であっても、一人ひとりの「私」は、今日を楽しむ工夫を続けた。

お買い物の記録に教えられた、大切なこと。
百貨店が売るのも、お客さまが欲しいのも、ただのモノではないということ。

百貨店が売っていたのは、希望でした。

広告はポスターの他に動画でも公開され、こちらは「希望を買いに来てくださった全てのお客さまに感謝します」とのメッセージで締めくくられていた。

なお、コロナ禍の中で買った商品たちが並ぶこのレシートの数字は、2020年6月〜11月のそごう・西武の百貨店11店舗の販売実績を基にしたものだという。

SNSでは「涙が出ました」「私も、マスクで見えないのはわかっているけれど口紅買いました」「優しい気持ちと希望が持てました」とコメントが寄せられ、広告を紹介したツイートは2万件を超えるリツイート、13万件を超えるいいねがされるなど、大きな反響を呼んでいる。
 

自由に外出し、ショッピングを楽しむ…そんな当たり前の光景が遠くなった今。この広告にどのようなメッセージを込めたのだろうか?

そごう・西武にお話を聞いた。

買い物の記録は「希望の象徴」

――この広告に込めたメッセージは…

コロナウイルス感染拡大防止によるさまざまな制約の下で、お客さまにとっても私たち従業員にとっても、思うようにいかないことばかりの1年でした。しかしながらお客さまは、日々の生活を少しでも明るく楽しいものにするために、ご自分らしくさまざまな工夫をされ、制約のない自由な生活が戻ってくることを思い描きながら百貨店でお買い物をされました。

そうしたお客さまの望みに思いを巡らしたときレシートに記載されるお買い物の記録は、お客さまおひとりおひとりの、それぞれに 個性的でご自分らしい、「希望」の象徴なのではないかという考えに至りました。

2021年は制約のない、自由で喜びに満ちた年であってほしいという願いとともに、コロナ禍の厳しい環境ではあっても、私たちは自分たちの仕事を通じて、お客さまの希望のリストを叶えるお手伝いをしていきたい。そうした思いを表すコピーです。


――やはりコロナ禍で売り上げは減っている?

「口紅」や「スーツケース」など、広告内のいずれのアイテムも売上としては前年同時期と比較してマイナスしております。

その中でも、それらのアイテムを使って、コロナ禍の生活を少しでも豊かなものにしようとするお客さまがいらしたり、コロナ終息後の楽しみとして購入された方がいらした事実を非常にありがたく感じています。

――実際に購入した客からはどんな声が寄せられた?

【口紅をご購入されたお客様】
・女性を中心に、気分があがるアイテムとして、たとえマスクをしていても口元のおしゃれを楽しみたい。

【浴衣をご購入されたお客様】
・家で家族と花火をする際に雰囲気だけでも味わいたい、楽しみたい。
・来年の花火大会のために今年気に入ったものを購入した。

などです。

「買い物通じて希望を叶えるお手伝いしたい」

――1都3県に緊急事態宣言が発令された。そごう・西武の対応は?

1月8日(金)から新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から一部店舗につきまして当面の間営業時間を変更いたします。今後もお客さまと従業員の安心安全のため、感染拡大防止対策を徹底して営業してまいります。


――続くコロナ禍、「買い物」を通じて伝えたいメッセージは…

お客さまがコロナ禍での生活をできる限り楽しく豊かに過ごすための様々な商品を取りそろえております。お買い物を通じてお客さまの希望を叶えるお手伝いを全力でさせていただきたいと思います。


そごう・西武によると、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3県、8店舗の営業時間を、1月8日から1月31日までの間、午前10時~午後7時30分(飲食は午前11時~午後8時、酒類の提供は午後7時まで。店舗により一部売り場の営業時間は異なる)に変更。

店舗の主要入り口へのサーモグラフィーや消毒液の設置、売り場におけるソーシャルディスタンスの確保など、基本的な感染対策を徹底するとしている。

7日の東京都の新規感染者数は2447人にのぼり、政府は1都3県に緊急事態宣言を発令した。依然として厳しい感染状況が続き、先が見えないコロナ禍の生活だが、そごう・西武の発信する希望を見つめることも大切。少しでも前向きにこの状況を乗り越えていきたい。

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