盛り上がるファンに最速で記念グッズを

応援しているスポーツチームが優勝した時に、熱気が冷めないうちに、優勝記念グッズを買いたいと思うことはないだろうか。
優勝したタイミングから間をあけずに、グッズが販売されていたら、どれくらい盛り上がるだろうか…
そんな「販売機会」を逃さず捉えようとした取り組みが進んでいる。

アメリカに本社を置く、スポーツチームのユニホームやグッズを手がける企業「ファナティクス・ジャパン」は、グッズのタイムリーな企画・製造・販売を得意とする。
プロ野球で2020年に日本一を達成した福岡ソフトバンクホークスの記念グッズを展開した際には、ファンの手元に最短で優勝の翌々日に届く商品を、2019年の日本一達成時に比べて3倍に増やして販売した。

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また、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえて、マスクや「おうち観戦グッズ」などの商品を拡充し、トータルで約600種類と品揃えを強化。
公式オンラインストアでのホークスの日本一記念商品の売上は、2019年と比較して1.5倍を記録したという。

ファナティクスのグッズを生産する工場では、ホークスの優勝直後の需要に対応するために計画生産し、試合終了直後からスタジアムとオンラインで販売を開始。

また、シーズン中にも、ホークスの千賀投手がノーヒットノーランを達成した際には、すぐにグッズのデザイン、生産に着手。試合は金曜のナイターだったが、月曜には商品の販売を開始し、一週間以内に商品を届けるスピード感で実現した。

ファナティクスでは過去にも、大谷翔平選手がアメリカで新人王を獲得した際は、夜が明けた日中に名古屋で行われている日米野球の会場で新人王受賞記念Tシャツを販売。ここまでが24時間以内だったという。

企画、製造から販売、発送までを、一気通貫に行うことができる強みを生かして、受注前にグッズの生産を開始することもあるほか、オンライン注文したグッズを最速で即日配達できる仕組みを実現するなどしている。

勝負は「48時間以内」

ファナティクスがこうした展開に注力するのは、「ホットマーケット」という考え方に基づく。
「ホットマーケット」の考え方とは、スポーツチームの優勝タイミングなどで、ファンが盛り上がっているうちに間を置かずに商品を販売しようという取り組みで、いいかえると「需要がホットなうちに」客を捕まえようとする販売展開と説明する。
ファナティクスでは、7、8年前くらいからアメリカでこのスタイルを展開。日本では2019年シーズンから本格的に取り組みを始めた。

ファナティクス・ジャパン 川名正憲 代表:
需要の大半は「48時間以内」。スポーツファンが優勝の高揚感などからグッズを買うのが、この48時間以内が6、7割を占めるため、このタイミングめがけて幅広い品揃えの商品を用意し、すぐに届ける態勢を整えることが勝負のカギ。
チケット販売を中心とした集客は、チーム側に行ってもらい、グッズの販売に関わる部分は、ノウハウを持つファナティクスが手がけることで、チーム側は集客や試合演出に集中でき、ファナティクスはグッズ販売の取り組みを通じて、ファン満足度に寄与することも出来る

ファナティクス・ジャパン 川名正憲 代表 ©Kazuki Okamoto / HALF TIME

ファナティクスでは現在、北海道日本ハムファイターズが2023年に開業予定のボールパークのグッズ売り場の設計にも携わっている。
ファンに喜んでもらうため、どのような売り場を作るのか。
「ホットマーケット」の考え方がどう盛り込まれるのかが注目だ。

コロナ禍でのスポーツ観戦は、引き続き制約が伴うものとなりそうで、ファンが一体感を確認するためのグッズは引き続き需要が高いことが予想される。
「ホット」なタイミングで商品供給に対応していくことは、今後あらゆる分野でも求められそうだ。

(フジテレビ経済部 西村昌樹記者)