自衛隊で初の宇宙領域を専門とする「宇宙作戦隊」の訓練の様子が12月16日、報道公開された。

この記事の画像(5枚)

宇宙作戦隊は、人工衛星や宇宙ごみなどを監視、分析する「宇宙状況監視」を担う部隊として今年5月に発足した。当時の河野太郎防衛相は「新たな安全保障環境に一刻も早く適応するため、早急に宇宙状況監視などの態勢を構築しなければならない」と必要性を訴えていた。

この宇宙作戦隊の拠点となるのが東京の府中基地で、12月16日、報道陣にアメリカと中国の人工衛星のニアミスについて監視・分析する様子などが公開された。

12月7日、アフリカ大陸の上空550キロで2つの衛星が衝突寸前まで接近した。画像の黄色い線はアメリカのスターリンク衛星、赤い線は中国の地球観測衛星の軌道をあらわしたものだ。この時は、最も近い距離で5.6キロまで接近したが幸い衝突することはなかった。

しかし地球の周辺には、運用中の人工衛星が3000基以上周回していて、実際に衛星同士の衝突事故も発生している。

こうした事態を防ぐため、宇宙作戦隊は、現在、アメリカの衛星情報をもとに人工衛星や宇宙ごみなどを監視、分析する訓練を行っていて、2023年度からは日本独自の情報にも基づいた本格的な監視活動を始める予定だ。

宇宙作戦隊長の阿式俊英2等空佐は「安全保障分野においても、人工衛星などの宇宙インフラは非常に重要になっている。一方でスペースデブリ(宇宙ごみ)増加や各国の対衛星兵器開発など宇宙空間の安定的利用に対するリスクが非常に高まっている。我が国の宇宙空間の安定的利用を確保していく上でまずは宇宙空間を正しく把握する技術が重要になる」と任務の重要性を語った。

現在の任務は、地上から宇宙を監視することだが、政府は、低軌道に多数の小型衛星を配備して複雑な軌道を描くミサイルを捕捉、迎撃につなげる「衛星コンステレーション」への参加を検討していて、今後、自衛隊が担う宇宙領域の警戒監視は、さらに増えることが見込まれる。隊員は、およそ20人とまだまだ少ないが、航空自衛隊はここから壮大な宇宙への一歩を踏み出す。

(フジテレビ政治部 防衛省担当 伊藤聖)