ドローン需要は急拡大 市場規模は10年で約30倍に

小型無人機=ドローンが活用される場面が拡大している。空撮などのために個人で所有する利用者も増えるなど、ドローンはすでに身近なものになりつつある。
政府によれば、ドローンの市場規模は、2025年度には4400億円を超え、2016年度からの10年間で約30倍になると試算されている。

政府の「小型無人機に関する関係府省庁連絡会議」配付資料より
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ドローンの活躍の場をさらに広げるため、政府は、自動車の運転免許のようなライセンスの新設に向けて動き出した。

レベル4の飛行は禁止・・・現在の政府のドローン対応は?

ここで現在の政府のドローンへの対応について確認しておきたい。

政府は、ドローンを利用する飛行形態に関して、「操縦者による飛行か自動飛行か」、「ドローンを目視出来る範囲の利用か否か」、「飛行させるドローンの下に人がいるか否か」などの観点から、4つのレベルに区分している。

政府の「小型無人機に関する関係府省庁連絡会議」配付資料より

レベル1は、操縦者が目視できる範囲で、操縦によってドローンを飛ばす場合。風景の空撮や橋の点検などが例に挙げられる。

レベル2は、操縦者が目視できる範囲で、自動・自律飛行で飛ばす場合。広い範囲への農薬散布や土木工事の際の測量などが、これにあたる。

また、操縦者が目視できない範囲で、自動・自律飛行をさせる場合は、レベル3とレベル4に区分される。

レベル3は、地上に人がいない場所、レベル4は、市街地など地上に人がいる場所の飛行だ。

レベル3では、2018年11月に日本郵便が福島県の小高郵便局(南相馬市)と浪江郵便局(双葉郡浪江町)の間の約9kmでドローン輸送を実施した例がある。

しかし、操縦者が目視できない、人がいる場所での自動飛行にあたるレベル4については、現在の法律では飛行が認められていないのだ

政府が「ドローン操縦ライセンス」創設に向け始動

ドローンの需要拡大を受け、政府は、現在認めていないこのレベル4(目視不能・有人地帯・自動飛行)の飛行を可能にする方向で検討に入った。

10日に首相官邸で開かれた関係府省庁連絡会議。ここでレベル4の飛行のため、新たな認証制度を創設することが確認された。

国が試験を実施し、「ドローンの操縦ライセンス」を与えるという全く新しい制度だ。

学科試験および実地試験を国が実施し、操縦するドローンの種類(固定翼・回転翼など)や飛行方法(目視外飛行・夜間飛行など)に応じて限定を課すことも視野に入れている。

車の運転免許制度と同じような制度を導入しようというのだ。実現すれば車の運転免許と同じように国家資格として扱われることになるという。

担当者の説明によると、これらのライセンス取得のための試験は、国が指定した、既存のドローンスクールなど民間試験機関での実施の方向で検討しているということだ。

ちなみに今後、国家資格としてドローン操縦ライセンスが導入されたとしても、レベル1~3にあたるドローンの操縦の扱いについては、原則、これまで通りだ。飛行するたびに、届けを出し、許可・承認を得ることで、操縦ライセンスがなくても飛行可能だ。

一方、操縦ライセンスを取得した人は、ドローンが機体認証を受けていれば、飛行の際の許可・承認の手続きが不要になるよう制度設計されている。ライセンスを取得すればドローン利用の自由度も大幅に増すのだ。

政府は、この操縦ライセンス制度の他に、ドローン機体の安全性を認証する制度の創設も検討中だ。ドローンの飛行計画書や飛行日誌の国への提出を義務化するなどの運航管理のルール作りも同時に進めている。

連絡会議では、これらの制度創設について、来年の通常国会での航空法改正案の提出に向け、国土交通省が、さらに検討を進めることになった。

法案提出の背景には、政府がドローンによる自動配送の実用化を目指していることがある。機体の安全性や操縦者の技能を国が証明できる制度を創設することで、ドローン配送の実用化にむけた環境を整えたい考えだ。

2022年のドローン自動配送の実用化目指し 全国で実証実験へ

政府がドローンの自動配送を進める理由の一つに過疎地域や離島での配送ドライバーなど物流を担う人手不足がある。

長崎県五島市の実証実験

長崎県五島市では、人口減少の影響で、本州と島とを行き来する船の将来的な減便が懸念されており、それに伴って生活物資を配送する手段の確保が求められている。そこで、本土の港から離島の集落まで約100kmの区間を、直接ドローンによる自動配送を行う事業の検討が企業とともに進められている。

政府の「小型無人機に関する関係府省庁連絡会議」配付資料より

また、神奈川県小田原市では、みかん畑の従事者の高齢化や人手不足により収穫後のみかんの集約や積み替えが難しくなってきている現状を踏まえ、みかん畑から直接集荷所までドローンを使って配送する実証実験を大学や企業と検討している。

今後の実証実験で出てきた課題を踏まえて、政府は、2022年にもドローン自動配送を実用化したい考えだ。

担当者は、「現在ドローンが飛行できない地域の飛行を可能にするために法律を整備するという点で、規制を新たに課すという考えではなく規制を緩和するということだ。地域の人手不足や物資輸送の負担軽減にもつながる」と法整備の意義を強調する。

将来的には、荷物・医薬品や生活必需品の24時間配送、通学中の子どもたちの見守り、ビル・道路の点検・修繕工事の高効率化、農業や林業の自動化・デジタル化など、ドローンの活用によって様々なサービスの可能性が広がっている。

法整備によってこうしたことが可能になれば、国民の利便性も増す。しかし、活用が広がるにつれて、ドローンの墜落や衝突などの事故の可能性も増えていくことも懸念される。

政府が新たにライセンスを導入しても、本当に重要なのは、車の運転と同様、利用する側の安全管理に対する意識や訓練であることは忘れてはならない。

(フジテレビ政治部 首相官邸担当 亀岡晃伸)