漂着した大量のプラスチックごみ…どうする?

大小の島が浮かぶ長崎県対馬市の浅茅湾。美しい景観で知られているが、一部の海岸には漂着した大量のプラスチックごみが散乱している。

この海洋ごみに悩まされる対馬市の手助けになればと、いま大手総合商社が国内初の事業に取り組んでいる。

ここは対馬市の赤島。海岸に打ち寄せる波は、ペットボトルや漁網、ポリタンクなど「漂着ごみ」も運んでくる。

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対馬市環境政策課 安藤智教課長補佐:
本当はきれいなんですよ、こんなのさえなければ。こういうのも韓国からのごみなんです

対馬は朝鮮半島の南端・釜山まで約50キロの距離に位置している。複雑に入り組んだ「リアス式海岸」は日本列島に押し寄せるはずの海洋ごみの「防波堤」にもなっているのだ。

対馬市環境政策課 安藤智教課長補佐:
1年前にはきれいにしたが、1年でこんな風になる。残念

対馬市は海洋ごみの収集を各地の漁協に委託している。船がなければ回収できない場所も多いからだ。

赤島から約20キロ離れた中部中継所にずらりと並んだ黒い袋。入っているのはすべて海岸にたまったごみだ。
年間で2万から3万袋に相当するごみが漂着していると推計されているが、今は8千袋ほどしか回収されていない。

漂着物の回収や処理には、国や県から補助金が出ているが、その額には限りがあり、年間2億7000万円にのぼる費用のうち、約1割にあたる2700万円を市の予算からしぼり出している。

このため全ての海岸での回収はできず、作業が中断することもある。こうした現状を手助けしたいと動き出したのが、大手総合商社の伊藤忠商事だ。

プラスチックごみがポリ袋に変身

伊藤忠商事 エネルギー・化学品カンパニー 小林拓矢さん:
伊藤忠って、プラスチックは非常にたくさん取り扱っていて、世界で2番目くらいの取り扱い数量なんです。プラスチックって非常に便利なもので、賞味期限を伸ばしたりとか、人の役に立つものではあるけど、一方で色んな問題を起こしている

海流の影響もあり、国内には対馬以外の海岸にも中国や韓国からの大量の海洋プラスチックごみが流れ着いている。

環境問題に取り組んできた伊藤忠商事は、去年から海洋プラスチックごみを再利用する事業を始め、その中で対馬の現状を目の当たりにした。

伊藤忠商事 エネルギー・化学品カンパニー 北村誠基さん:
唖然として言葉が出ない。こみが漂着している横できれいな海が存在している違和感というか。色んなノウハウや協力会社としていろんな人を知っているので我々が入っていくことで、何か海洋ごみという社会課題に貢献できるところもあるのでは

今回、伊藤忠商事は専門の業者と協力して、対馬の海岸に漂着した海洋プラスチックごみを原料の一部に使ったポリ袋を開発した。

伊藤忠商事 エネルギー・化学品カンパニー 小林拓矢さん:
事業の最終目標としては、海洋ごみがなくなることがゴール。ただ、そこまでしていくためにはきちんと継続して仕組みとして続けていく必要がある

国内初の取り組みで市も期待を寄せている。

対馬市環境政策課 安藤智教課長補佐:
これが上手く民間でまわせる利益になるような事業になっていくとやりやすいのかなと。そのポリ袋を寄贈して頂くことで、普及啓発になれば皆さんの意識が変わっていけば捨てられるごみも減っていき、ゆくゆくは漂着ごみも減っていくのではと期待している

伊藤忠商事はポリ袋約10万枚を県と対馬市に無償提供する予定で、対馬市は来春をメドに3、4万枚を清掃活動や観光客に配って、活用することにしている。

また当面は、対馬市内の事業者でポリタンクを粉砕する一次加工までできるようにすることが目標で、軌道に乗れば運搬コストも大きく改善されることになる。

国境の島で始まった海洋環境への取り組みが順調に事業として動き出せば、日本の他の地域のモデルケースにもなると期待されている。

(テレビ長崎)