誹謗中傷を受けて困っていたらここに相談

インターネットの普及により我々の生活はより便利になったが、増えているのがインターネット上での誹謗中傷。インターネットを利用した人権侵犯事件数は、2019年は1985件と、2010年の658件から3倍以上も増加している。

法務省HPより
法務省HPより
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こうした中、法務省は、インターネット上で誹謗中傷を受けた場合の相談窓口の案内をフローチャートで公開し、相談内容ごとの窓口をわかりやすく紹介している。

まずは、インターネット上での誹謗中傷などの被害にあい、「解決策について相談したい」「悩みや不安を聞いてほしい」かを選択。
悩みや不安を聞いて欲しい場合は、厚生労働省の「まもろうよ こころ」が相談窓口に。

「解決策について相談したい」を選択した場合は、フローチャートが続く。
書き込んだ人に賠償などを求めたい場合は「弁護士に相談 または法テラス」
身の危険を感じ、犯人を処罰してほしい場合は「最寄りの警察署や都道府県警察本部のサイバー犯罪相談窓口」が相談窓口として紹介されている。

誹謗中傷を受けた場合の相談窓口 法務省HPより
誹謗中傷を受けた場合の相談窓口 法務省HPより

そして、アドバイスが欲しい、または自分で迅速に削除依頼をしたい場合は、総務省の「違法・有害情報相談センター」や法務省の「人権相談」が窓口に。

一方、自分で削除依頼できず、代わりに削除要請をして欲しい場合は、セーファーインターネット協会の「誹謗中傷ホットライン」や法務省の「人権相談」が窓口として紹介されている。

誹謗中傷を受けた場合の相談窓口 法務省HPより
誹謗中傷を受けた場合の相談窓口 法務省HPより

そして、それぞれの相談窓口についても簡潔にまとめている。
総務省「違法・有害情報相談センター」:相談者自身で行う削除依頼方法などを相談員が迅速に助言してくれて、人権侵害に限らず様々な事案に対して幅広いアドバイスをしてくれる。

法務省「人権相談」:削除依頼方法の助言に加え、違法性を判断した上、事案に応じてプロバイダ等に対する削除要請を行う。

セーファーインターネット協会「誹謗中傷ホットライン」:誹謗中傷について一定の基準に該当すると判断したものについては、国内外のプロバイダに各社の利用規約等に沿った対応を促す連絡を行う。

(関連記事:「誹謗中傷ホットライン」開設から2カ月で相談約500件…その実情を聞いた
 

誹謗中傷の被害者が希望する対応ごとに相談窓口が紹介されていてわかりやすいが、なぜ今回、こういった取り組みをしたのか。法務省に話を聞いた。

窓口が複数あるため相談希望者に負担との声

ーー「インターネット上の誹謗中傷に関する相談窓口」の案内図を作った経緯は?

本年5月以降、インターネット上の誹謗中傷に対する社会の関心が高まり、その対策を検討していく中で、相談を希望される方のための窓口は複数あるものの、どこに、何を相談できるのかが分かりにくく、相談を希望される方の負担となっているとの声が寄せられました。

そこで、相談を希望される方が、どの相談窓口を利用すればよいのかを簡単に把握できるようにすべく、主要な相談窓口を所管している関係省庁が連携して作成したものです。

ーー相談内容によって窓口が異なるが、法務省は「インターネット上の誹謗中傷」に関してどの範囲までを対応している?

法務省では、その下部機関である全国の法務局(8か所の法務局、42か所の地方法務局,261か所の支局を総称して、こう言います。)において、人権に関する相談(人権相談)に応じており、インターネット上の誹謗中傷についても、ご相談いただけます。

法務省では「まず、最寄りの法務局へ人権相談を」と呼びかけています。今回、案内図を作りましたが、困ったとき、悩んでいるときは法務局へご相談いただければ、お話をお伺いして、その要望に応じて、案内図に記載されている他の相談窓口の紹介も含めて、適切な対処法を提示しています。
具体的には、ご自身でプロバイダ等に対して削除を依頼したいという方にはその方法を助言いたしますし、お求めがあれば、法務局が違法性の判断を行った上で、プロバイダ等へ削除を要請することもあります。相談には、面談、電話、インターネットといった様々な方法で応じています。

「この投稿大丈夫だろうか」と立ち止まって

ーー法務省は「インターネット上の誹謗中傷対策」でどのようなことに力を入れている?

既に発生した誹謗中傷による被害の救済については、個別に人権相談を受け、迅速に削除がされるよう努めています。しかし、そもそも被害の発生を未然に防止する、すなわち、インターネットを利用する一人一人がそのような言動を行わないようしっかりと啓発を行うことが重要であると考え、取り組んでおります。
具体的には、SMAJ(一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構)及び総務省と共同して、「No Heart No SNS」(ノーハート ノーエスエヌエス)をスローガンに、啓発サイト(https://no-heart-no-sns.smaj.or.jp/)を開設しました。

また、携帯電話会社等の実施するスマホ・ケータイ安全教室と連携した人権教室を全国各地で実施したり、啓発冊子・動画の配布・配信を行ったりしています。SNS、新聞、駅構内のデジタルサイネージなども利用しています。こうして、様々な媒体を使って、誹謗中傷を行わないよう広く社会全体に呼びかける啓発活動に取り組んでいます。

皆さんには、書き込みをする前に、一瞬でも「この投稿、大丈夫だろうか」と、立ち止まって考えるようにしてほしいと思います。

 

現在、誹謗中傷を受けて悩んでいる人は、迷わずに案内図を見て、自分が悩んでいることについて対応してくれる組織に連絡をするか、最寄りの法務局に相談をしてほしい。

そして、何か書き込みをする人も、法務省が言及しているように「この投稿、大丈夫だろうか」と一度立ち止まって考えてみてほしい。
 

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プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。