スマホさえあれば、誰もがSNSで情報を発信できる現在。さらに匿名でも投稿できることから、多くの人が気軽に楽しく利用しているのではないだろうか?

一方で、その匿名性からたびたび問題になるのがSNS上での誹謗・中傷だ。政府も対策を急いでおり、高市総務相も発信者の情報開示を円滑にできるように、法改正など制度整備をする考えを示している。

こうした中、違法・有害情報の流通を防止する活動などを行う一般社団法人セーファーインターネット協会が6月29日、「誹謗中傷ホットライン」を開設し、受け付けを始めたのだ。原則無料で、ホットラインの投稿フォームから「誹謗中傷を受けたサイト名」「該当URL」「誹謗中傷の内容」などを記載して送信することで、相談ができる。
 

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誹謗中傷を受けている被害者からの相談をホットラインで受けると、内容を確認した後、誹謗中傷情報が掲載されたSNSやサイト掲示板の運営者などに、削除の措置を依頼するものだ。

なお受け付けるのは、原則として被害を受けている本人またはその保護者(本人が児童の場合)、及び学校関係者(本人が児童で就学中の場合)からとなる。対象サイトは国内・国外を問わず、すべての投稿の削除を約束できないものの、複数回に渡って削除を依頼するとしている。

特にSNSでの誹謗中傷は、その匿名性から内容が過激になることもある。特定の個人に対する度を超した攻撃は許されるものではないが、よく議論になるのが表現の自由との兼ね合いだ。

ホットラインではこの誹謗中傷について、どのように定義し、どう対応していくのか? また、削除依頼の要請に効果はあるのだろうか?

一般社団法人セーファーインターネット協会の担当者に詳しく話を聞いてみた。

昨今の事情を受け、誹謗中傷の窓口を設置

――なぜホットラインを開設することにした?

当協会では、これまで、警察庁からの受託事業である「ホットラインセンター」の運営を担ってきたほか、関係省庁等と連携しつつ「児童ポルノ」「リベンジポルノ」「いじめ行為」など、立場の弱い個人に対する権利侵害情報等への対応を進めてまいりました。昨今の事情を受け、「誹謗中傷情報」についても検討する運びとなりました。


――相談はすでに来ている?

適切な時期に件数等の成果については公表予定です。今後は広報活動にも力を入れ、インターネット利用者の皆様に広く知っていただき、一人でも多くの方のお力になれるよう尽力いたします。


――ネットの誹謗中傷対策にはこれまでどんなものがあった?

これまで、国や企業、支援団体等が再発防止に向け様々な取り組みをなされております。代表的なものに、法務省の取り組みで、電話やインターネットで相談できる人権相談の窓口があります。
 

誹謗中傷のホットライン 投稿フォーム

特定の個人を傷つける目的で書かれた情報が該当

――誹謗中傷に当たると判断する基準は?

運用ガイドラインを設け、下記の通り定めています。

第3節 特定誹謗中傷情報該当性の判断基準

次の(ア)(イ)(ウ)のいずれもに該当する場合には、特定の個人に対しもっぱら相手を傷つける目的で書かれた情報であり、特定誹謗中傷情報に該当する。

(ア) 対象情報から個人が特定可能であること
(イ) 対象情報から公共性がないことが明らかである又は公益目的の表現でないことが明らかであること
(ウ) 対象情報によって、特定された個人の社会的評価が低下させられるものであること


ホットラインとしては可能な限り被害者の救済に向けて削除を促していく方向ですが、過度に被害者の救済を重視すれば表現の自由への萎縮を招きかねませんので、同時に設置した「権利侵害投稿等の対応に関する検討会」に参画いただいている専門家の皆様にご意見を聞き、定期的に運用方向を検証、見直していきます。
 

――誹謗中傷に当たると判断した場合は、どう対応する?

内容を確認した後、コンテンツ提供事業者やプロバイダ等に各社の利用規約に基づいた削除等の措置を依頼します。

あくまで削除要請で法的拘束力なし

――削除依頼のお願いは、どれだけの効力があると考えている?

あくまでも削除要請であり、法的拘束力のあるものではございません。


もっとも、ガイドライン記載の通り特定誹謗中傷情報と本ホットラインが判断した情報に限り削除依頼をすることとしており、またガイドラインの内容や運営については「権利侵害投稿等の対応に関する検討会」 の専門家の皆様にご意見を聞き、定期的見直しを図っております。

削除依頼先におかれましては、その点を考慮して対応をご判断いただけるものと思慮いたします。


――ネットの誹謗中傷を増やさないためには、どんな対策が社会に必要?

国や企業、支援団体等が再発防止に向け様々な取り組みをなされておりますが、当協会はまずは被害にあわれた方が気軽に相談できる場所が必要と考え、本ホットラインを立ち上げております。

今後は関係省庁や各事業者の方とも連携し、多角的なアプローチによって対策を検討することが必要と考えます。また、相談受付を通じて把握した状況を基に課題を明確化することで、被害削減に向けた対策について詳細な検討が可能になると考えております。

 

ネットの誹謗中傷は、有名人だけがされるものではなく、私たち一般人も被害者になる可能性はある。ただ、削除要請となると、私たちには難しい手続きのようにも感じてしまうので、このような窓口を利用するのもひとつの方法だろう。
 

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