かつて全国に約3000台あったという「うどんの自動販売機」。その1台が、北陸で唯一、富山県高岡市のドライブインで眠っている。故障で止まったままの自販機を直そうと、いま埼玉から自販機コレクターが修理に名乗りを上げ、クラウドファンディングも行われている。

国道156号沿いに残る昭和のドライブイン

高岡市の国道156号沿いに、レトロな雰囲気を漂わせる店がある。昭和50年代から営業を続けるドライブイン「オートレストランぞうさん」だ。
物珍しそうにスマホで写真を撮りながら訪れた男性客は、店内でお目当てのものを見つけた。うどん、そばと書かれた自販機である。


「45年ぐらい前、小学校の低学年の時に親に連れていってもらった。すごい懐かしい感じ。まだ残っているんだと思って。昔のそのままの形」
男性はこう話し、当時を懐かしんだ。
25秒で温かいうどんが出てくる仕組み

この自販機は1970年代から全国に広まった。内部構造はいたってアナログである。あらかじめお椀にセットされた麺があり、お金を入れて25秒後には、あったかいうどんとして出てくる仕組みだ。
オーナーの東海トシ子さんは、当時をこう振り返る。

「その時は珍しかった、近辺にコンビニとかが無かったから、手頃だと思ってかね、皆さん、たくさん来て繁盛してました」

しかし1995年、自販機のメーカーが製造販売とメンテナンスを終了した。現在、このタイプのうどん自販機が残っているのは北陸3県でここだけである。
15年ほど止まったままの自販機に救世主登場


ところが、この自販機は15年ほど前に調子が悪くなり、販売を止めたままになっている。訪れた客からは「食べられないのが残念」という声も漏れる。

そこに現れたのが、埼玉県熊谷市に住むレトロ自販機のコレクター、川戸兄弟だ。趣味で自販機を直すうちに、全国各地から本格的な修理を依頼されるようになったという。
弟の啓暉さんは、自らの仕上がりに自信をのぞかせる。
「日本で一番きれいな状態新品同様に仕上げてある」
兄の悠暉さんも意気込む。
「ネジ一本までばらすつもり」

啓暉さんはさらに、この自販機の価値を次のように語る。
「長年の経験で、部品やノウハウがある。いまこの機械にノウハウがある業者はない。世界を探しても。オープンした当時の配置で今も残っているのは奇跡に近い。動いていないのが悲しい。レトロ自販機のファンなので、とにかく動いてほしい」

この自販機も川戸兄弟が修理することになり、現在、その資金を募るクラウドファンディングが行われている。
ハンバーガー自販機は去年すでに復活


同じドライブインでは、去年、故障していたハンバーガーの自販機も復活させた。自販機といっても、商品は味にこだわった手づくりだという。

「タイムカプセルのような装置」
レトロな自販機をわざわざ修理してまで復活させる魅力はどこにあるのか。客の一人はこう話す。

「一瞬にして、その当時に呼び戻される。いろんなことを思い出す」
レトロ自販機は、懐かしい味とともによみがえる多くの人の思い出が詰まった、タイムカプセルのような装置なのかもしれない。
「その期待に応えますかという感じ」

店の油谷亮子さんは、残しておいてよかったと語る。
「残しておいて良かった」
復活を待つ声も、日々寄せられている。
「(レトロ自販機の復活を)楽しみにしてますとみんな声を掛けてくれるのが嬉しい。その期待に応えますかという感じ」

北陸で唯一のうどん自販機を復活させるクラウドファンディングは今月26日までで、目標金額の達成まであと僅かとなっているそうだ。
(富山テレビ放送)

