22日に開催されるプロ野球ドラフト会議。球団からの指名を待つ富山県勢選手の中で上位指名が期待されるのが高岡第一高校の前田侑大投手だ。身長173センチと決して大きくないが、150キロ台を連発するプロ注目の左腕だ。その秘訣は「ぐにゃぐにゃ」と言っていいほど柔らかい肩甲骨まわりにある。「球団を代表するような選手になりたい」と意気込む前田投手の歩みを追った。

「柔軟性は、自分の中では一番」バネのある直球の秘密


1959年創部の高岡第一高校野球部。この夏、甲子園出場を目指すチームの柱となっていたのが、エースの前田投手である。

速球を繰り出す秘訣を問われると、前田投手は「柔軟性は、自分の中では一番だと思っている」と話す。肩甲骨まわりが驚くほど柔らかく、そこから生み出されるバネのある直球は一級品だ。
村本忠秀監督も、前田投手を高く評価している。

「スピードの速さとか、制球力とか、こんなに皆さんも評価してもらっているように、前田というピッチャーはそうそういないと思う」
さらに監督は、投手に必要な負けず嫌いな部分に加え、冷静にまわりを見る力が3年生になって成長したと語る。
高岡市出身、自宅近くの強豪校へ
前田投手は小学2年から野球を始めた。高岡市の南星中学を卒業後、自宅から近い強豪校の高岡第一高校に進学し、仲間と甲子園出場を目指してきた。

取材では、お弁当はいつも母親が作ってくれるのかと尋ねられ、うなずく場面もあった。
チームメートの木村力選手(2年)は、前田投手について「ノリがいい。話していてつまらないってことがない」と話す。一方、当の前田投手は「カメラの前ではしゃべれないです」と照れた様子だった。
夏の県大会、自己最速156キロもあと一歩届かず
憧れの甲子園を目指して戦った夏の県大会。前田投手は2回戦で自己最速の156キロをマークした。3回戦ではノーヒットノーランを達成し、準決勝まで駒を進めた。
しかし、準決勝で高岡商業に敗れ、甲子園出場は叶わなかった。試合後、報道陣から進路について問われると、次のように答えている。
「甲子園に行ったらプロという考えはあったが実力不足で…」
日本代表での経験がプロ入りの決め手に
その考えを変えたのが、日本代表での経験だった。
「(夏の)大会が終わってから日本代表に選ばれて、自分の持ち味のまっすぐは通用することがわかったので、プロに決めた」
この夏、同世代のトップ選手が集う18歳以下の高校日本代表に選ばれた前田投手。大学日本代表との壮行試合では堂々としたピッチングを見せ、自責点ゼロの結果を残した。相手の4番バッターに対しては、バットを割ってピッチャーゴロに打ち取っている。実況は「おお、バットが割れた。ピッチャーゴロ。このボールバットの先でした」と伝え、解説者も「いいボール。力のあるボール投げますね」と評価した。
前田投手自身も手応えを語る。
「高校生のトップレベルのピッチャーとかと、関わったりして、そこで色々なことを教わったりして、自分の今の真っすぐな球質とか、キレであったりは夏の大会よりかは、上がったと思う」
恩師への恩返しを胸に

日本代表での活動を終えて富山に戻ってからは、プロに向けた身体作りを意識した練習を欠かさない。

前田投手は、慣れ親しんだグラウンドについて「3年間通してあっという間というので、色々なことを教わったところだと思う。ここで、もうプレーできないと考えると寂しいところはある」と振り返る。そのうえで「監督がいたからこそ今の自分がいるので、プロで成績をしっかり残して、恩返しをしたい」と力を込めた。
目標は「球団を代表するエース」、その先はメジャー
前田投手は「特に希望する球団はなく、指名された球団で活躍できるよう努力するだけ」と話す。
「その球団を代表するようなエース的な存在になって、チームを勝利に導くのが今の目標。その後はメジャーと考えているが、まずは日本でしっかり成績を残すのが目標」

前田投手には、プロの多くの球団が視察に訪れていて、上位指名が期待される。富山から夢の舞台へ。柔軟性が生む直球が、どの球団のユニホームで見られるのか。運命のドラフトは22日である。
(富山テレビ放送)

