長女は、スマホならある程度ブロックできるからと、「固定電話をやめよう」と提案しましたが、父親は「固定電話でしか連絡の取れない相手もいるから、取り上げられるのは困る」と頑なでした。
長女は念のために留守番電話を設定しましたが、「自分が仕事で不在にしているときも気が気ではない」とハラハラ。そのうち父親は「監視されたくない」と不満を漏らし、家族もこれまでの生活ペースを崩して、家の中ではしょっちゅう誰かが喧嘩しているという状態になってしまいました。
残念ながら、同居したからといって、犯罪のリスクはゼロにはなりません。確かに一人暮らしは狙われやすいものですが、犯罪者は、家族の目をかいくぐって悪の手を伸ばしてきます。家族で同居している高齢者を狙った残酷な強盗事件も起きています。
いつ、どんな形で犯罪に巻き込まれるか。これは「いつ病気になるか、怪我をするか」と同じくらい、あらかじめ想定することはできません。いつ起こるかわからない出来事を恐れて同居をし、関係を悪化させるのは得策ではないと思います。
防犯の仕組みを工夫してみよう
【ルール】同居や監視ではなく、防犯の「仕組み」を工夫する
では、どうしたらいいのか。
介護前夜の時期において、犯罪を防ぐために本当に必要なのは、「同居」や「監視」ではなく、具体的な「仕組み」です。親とのコミュニケーションが良好であれば、会話の中で防犯意識のアップデートを促しましょう。詐欺の具体的な手口について話し合う。
お金・暗証番号・資産の話が出たら、電話をすぐに切るよう心がける。突然訪ねてきた業者は絶対に家に入れない、など……。
詐欺電話の対策として効果的なのは、防犯機能付き電話を導入することです。「この電話は犯罪防止のため録音をしています」というアナウンスが流れる録音システムがついています。
自治体によっては、高齢者向けに自動通話録音機を無料で貸し出し・配布している場合があります。全国一律ではありませんので、「親の住む自治体名」「自動通話録音機」で検索してみましょう。

