親の相続は、ある日突然やってくる。
財産がどこにあるのか分からない、疎遠になっている兄弟と連絡が取れない、相続税の対象になるとは思わなかった……。そんな事態に直面し、慌てる人は少なくない。
司法書士・キャリアコンサルタントの岡信太郎さんの著書『人生設計のプロが教える 幸せな老後の7つの条件』(ポプラ社)から、相続で家族が困らないための備えや、知っておきたい相続税の基礎知識について書かれた部分を一部抜粋・再編集して紹介する。
親の相続は、ある日突然やってくる。
心の準備と、実務の準備
50代以降になると、誰もが避けて通れないテーマに直面します。
それが、親の介護と相続です。
老活は自身のことだけではなく、親とどのように関わりサポートするかが問われます。
実際に親の介護や相続を経験したことで、自分ごととして考えるようになったという方も多いのではないでしょうか。
“争続”は他人事ではない
相続は、まとまった資産が入ってくる場面です。
親の資産状況にもよりますが、退職金と並び多額の資産を受け取ることがあります。
そのため、相続についてはよく“争続”と表現されることがあります。
親の残した遺産を巡って子ども同士が争うケースが想定されたりします。
実際に司法書士実務の現場では、兄弟2人しかいないのに争いとなる場面に出くわすことがあります。
争いになるばかりではありません。
手続きが上手く進められないケースがあります。
•相続人の1人と連絡が取れず手がつけられない。
•手続きを進めている途中で相続人の1人が亡くなってしまった。
など時間と労力が予想以上にかかり、遺された人の負担となることがあります。
親の財産を知らないことが最大のリスク
親の相続では、生前に財産の内容について知らされないまま、相続が発生することがあります。
いったいどこに何があるのか分からず子どもが戸惑います。
このように、兄弟や姉妹と争いになることや親の財産を把握できていないことは、極力避けなければなりません。
普段の仕事や生活に相続への対応が重なると、その負担は想像以上に大きくなります。
離れて暮らす親が亡くなり、財産の状況が分からないまま実家に通うことになれば、仕事を休む回数が増え、生活リズムが大きく崩れてしまうのです。
突然その役割を担うことになり、心身ともに疲弊してしまう方も少なくありません。
円満な相続のために家族で話しておきたいこと
老活においては、“争続”となることを避けて円満かつスムーズな“相続”を目指します。
そのためには、親の資産状況をある程度押さえる必要があります。
加えて、誰が相続人となるのか、相続関係を把握しておくことも不可欠です。
相続人の把握については、正確に押さえておきたい点です。
例えば、異母異父兄弟がいれば、その方も相続人になります。
養子がいれば、その方も同じ相続人という位置づけになります。
兄弟が先に亡くなっていた場合には、その子どもが相続人となります。
親子だけではなく、兄弟(姉妹)間でコミュニケーションを日頃から取っておくことが重要です。
相続が上手くいかない原因の一つが、他の兄弟との感情のもつれです。
馬が合わないからといって、完全に交流を立ち切るのはリスクが大きいです。
お互いが疑心暗鬼にならないよう、ある程度の配慮は心掛けておくことで、いざという時にいい形で自分に返ってきます。
いつかは訪れる相続、それが“争続”とならないように備えることは、充実した老活を支える上で極めて重要です。

