「老後2000万円問題」が話題になって以降、将来のお金に不安を抱く人は少なくない。
NISAやiDeCoは活用すべきなのか。そして、自分に必要な老後資金はどう考えればよいのだろうか。
人生100年時代と言われる今、老後の時間は10万時間にも及ぶという。
司法書士・キャリアコンサルタントの岡信太郎さんの著書『人生設計のプロが教える 幸せな老後の7つの条件』(ポプラ社)から、老後資金との向き合い方や人生設計について書かれた部分を一部抜粋・再編集して紹介する。
年金、NISA、iDeCo。
制度を知ることで、不安は小さくなる
「老後のお金が不安です」
司法書士として、あるいはキャリアコンサルタントとして相談を受ける中で、最も多く耳にする言葉の一つです。
しかし、不安の中身を深掘りしてみると、「いくら足りないか」よりも「今の自分がどの制度を使えばいいのか、よく分からない」という霧の中を歩いているような心細さが原因であることがほとんどです。
「NISA って最近よく聞くけど、損はしないの?」
「年金とiDeCo、結局どっちを優先すべきか?」
こうした疑問を抱えたまま、ただ闇雲に節約に励むのは、地図を持たずに見知らぬ土地を歩くようなものです。
これでは老活がただの苦行になってしまいます。
そうならないために、まずは国が用意した“三階建て”の老後の資金制度について一緒に確認しておきましょう。
三階建てのうち、一階と二階部分に相当するのが、年金制度です。
「年金はあてにならない」という意見も耳にしますが、年金は終身の定期収入となります。
一階が全国民共通の国民年金で、二階が会社員や公務員が加入する厚生年金です。
「ねんきん定期便」で、将来もらえる概算額を把握することから始まります。
具体的な不足額を確認した上で、それを補塡するための働き方や資産形成を計画することが現実的です。
年金は基本的に65歳から受け取ることができます。
ただし、繰下げ受給という制度があり、65歳で受け取らず受給時期を遅らせることもでき、これは受給額を増やす有効な戦略となります。
NISAとiDeCoは“自分でつくる老後資金”
最近よく耳にするNISAやiDeCoは、三階部分となります。
いわば、自力で積み上げる階となります。
NISA は、少額投資非課税制度と呼ばれ、投資信託などコツコツ積み立てて増やすための口座です。
このNISA を利用すれば、本来なら利益から引かれる約2割の税金が非課税となります。
一方、iDeCoは個人型確定拠出年金のことを指します。
自分で決めた額を積み立てて「自分年金をつくる」制度です。
特徴としては、積み立てたお金がすべて所得から差し引かれるため、毎年かかる住民税や所得税を抑えることができます。
NISA は、運用益が非課税となり、「将来増えたお金」をそのまま受け取れる自由な財布です。
そして、iDeCoは、掛金が全額所得控除となり、「今払う税金」を減らしながら自分専用の年金となります。
大切なのは制度ごとの役割分担
年金、NISA、iDeCoそれぞれの制度をバラバラに考えてしまいがちです。
しかし、公的年金を生活費の土台として、NISAとiDeCoでゆとり(趣味、仲間との付き合い、介護への備え)を得るといった役割分担のイメージを持つことが大切です。
老後の資金計画は、単に備えではありません。
自分の人生を最後まで自分らしくデザインするための「自由なチケット」を手に入れるための作業なのです。
老後資産2000万円は、本当に必要なのか?
数字に振り回されない考え方
一時期、老後には2000万円の貯蓄が必要だとし、関心を呼んだことがありました。
いわゆる「老後2000万円問題」です。
この数字が決定的な金額になることはなく、もはや忘れ去られつつあります。
しかし老活を進めるにあたり、実際のところ将来の手元資金がどれくらいあった方がいいのかは気になるところです。
ライフプランを立てたとしても、金銭的な裏付けがなければ絵に描いた餅になりかねません。

