もし自分の親に介護が必要になったら、「誰が担うのか」を考えることに…。そのとき「仕事をしていないから」などの理由で、専業主婦や仕事をしていない人にその役割がいき、負担が集中してしまうことがある。
年間700件、累計4000件を超える介護相談に応じてきたNPO法人となりのかいごの代表・川内潤さんは、親の介護がはじまっても「誰もがこれまでの生活スタイルを変えない」ことが重要だと言う。
著書『介護前夜の教科書 親と自分の人生を壊さないための備え』(講談社)から、具体的な事例とともに、特定の一人に負担をかけないための考え方を一部抜粋・再編集して紹介する。
親の介護は誰が担う…?
Q)専業主婦や仕事を持たない人も、介護を担わなくていい?
A)特定の一人に負担を集中させない介護のあり方を目指す
介護は、それが始まる前から、家族の間で「誰が担うか」という調整が暗黙のうちに行われることがあります。そのとき真っ先に矢面に立たされるのが、専業主婦や、たまたま離職中だったりする「仕事を持っていない人」。
きょうだいや親類からは、「あなたは時間があるんだから」と期待され、本人もまた「役に立てるなら」「仕事をしていない分、私がやるのが当然だ」と、その役割を自ら引き受けてしまいがちです。
そして、一人で苦しんでしまう。仕事という盾を持っていない人ほど、介護の泥沼に深く沈み込んでしまうケースに私は多く出会ってきました。
実母を介護した専業主婦のケース
長女であるその女性は専業主婦で、近所に住む実母のケアを始めました。はじめは「買い物ついでに寄る」程度でしたが、しだいに母は「一人は寂しい」「あなたが来てくれるなら、ヘルパーなんていらない」と、娘に依存するようになりました。
彼女には仕事という物理的なガードもありません。

