「父にとって免許返納があんなにつらいものだとは知らなかった。どう接してあげたらよかったのだろう」
このケースには、二つの側面があります。
まず一つは、子の介入の仕方に問題がなかったかどうか。突然車を取り上げられた親は、とてもショックだったに違いありません。事故が起きる前から返納後の移動手段や生活を一緒に考え、家族以外の第三者にも相談できていれば、受け止め方は違ったかもしれません。
私はこれまで、すべての親の選択は親の人生の一部だとお伝えしてきました。心配はあると思いますが、免許更新の場では、70歳以上の高齢者講習、75歳以上の認知機能検査、一定の違反歴がある75歳以上を対象とした運転技能検査などがあります。そのような専門的な確認の仕組みに任せるのがいいでしょう。
また最近は、車載カメラを通じて離れた場所からでも運転状況を見守れるドライブレコーダーが登場しています。「近頃は不注意な車も増えているから、万が一のときに父さんの身を守るために」といった形で、あくまで本人の安全と安心を最優先に考えた提案として設置を勧めてみるのもいいでしょう。
車体の傷が増えた、道に迷うことがある、運転中のヒヤリとする場面が増えた、事故や違反があった、家族の助言に強く反発して話し合いにならない。
以上のようなサインがある場合は、「本人の納得を待つ」だけではなく、早めに外部へ相談するタイミングです。必要に応じて警察や運転免許センター、安全運転相談ダイヤル「#8080」などにも相談してみましょう。
大切なのは、家族だけで抱え込まず、第三者の力を借りながら、運転を続けるリスクと、車を手放した後の生活を一緒に整理していくことです。

