愛知県豊田市の山あいに、旬の野菜をたっぷり使ったランチが人気の古民家レストランがあります。営むのは仲良し母娘。体に優しい料理と店主の思いを取材しました。
■山里にポツンと人気の古民家レストラン
名古屋から車でおよそ1時間半、愛知県豊田市。町を流れる矢作川では、アジア大会の「カヌースラローム」が行われます。その競技会場から、すぐのところに築130年の古民家を改装した「池島五組 厨房168(いろは)」はあります。

店を営むのは、名古屋市出身の東條陽花さん(42)と、母・道子さん(68)の母娘。
陽花さんの毎朝の日課は、野菜の収穫。店の前の畑で、ナスなど20種類を育てています。
陽花さん:
「友達の畑に取りに行ったり、おすそわけと言って持ってきてくれる人が多いです」
近所の常連さんが、箱いっぱいの野菜を持ってきました。
常連の男性:
「家で作った野菜、1人だから食べきれないので、ここに持ってきます」

陽花さんの作る料理は、薬膳の知識を生かし、「からだを温めたり、冷ましたりする」ことを意識して食材の組み合わせや、味付けを工夫します。陽花さんの料理には、原点があります。
陽花さん:
「広東料理の料理人だったお父さんを見て学びました」
父・朝龍さんは、日本の一流ホテルで広東料理のシェフを務めた凄腕。陽花さんは、そんな父の背中を見て育ち、料理の道へ。
■こだわりの食材で作る「竹かごランチ」
陽花さんは、食材にもこだわります。例えば、豆腐を薄いシート状にした中華食材「干豆腐(かんとうふ)」。
陽花さん:
「手軽にたんぱく質もとれていい」

高たんぱくでヘルシー、パスタ代わりに使用したりと、日本でも注目を集めている食材といいます。味付けは、長年の直感です。
陽花さん:
「お父さんも手の感覚なので、真似ています」
仕上げに、熱したゴマ油で風味をつけて完成。大豆のうまみが凝縮され、コシのある食感がアクセント。
母・道子さんが手作りした竹かごに、次々と料理が並びます。
陽花さん:
「味を変えて飽きないように、少なくとも25品目、竹かごランチでいくように努力しています」

「竹かごランチ」は、スープや手作りのデザートも付いて1500円。この日のおかずは、ツルムラサキと長芋の胡麻味噌和えや、枝豆ふわふわ豆腐、レンコンのはさみ揚げなど8種類です。
客:
「歯ごたえがある。味付けは全部やさしいです」
別の客:
「料理もおいしいし、何回来ても飽きないです」
陽花さん:
「食べておいしいと思った人が、健康になってくれたらいいな」
ボリューム満点ですが、女性でもペロリといけちゃいます。父にも絶賛されたピリ辛のマーボー豆腐に、ベトナムの麺料理・フォーも楽しめます。
■お粥みたいに食べられる「おはじきさん」
陽花さんは、地元のブランド米「ミネアサヒ」を加熱し、ポン菓子を作ります。
陽花さん:
「お粥みたいに食べられて、ご飯みたいに粒のある商品を作っています」

見た目は、まさにポン菓子ですが、お湯や水を加えて混ぜると、お米の粒は残ったままおかゆのように食べられます。とろみを加える粉末が一緒になった「おはじきさん」(300円)。今年の夏に商品化し、産直市場のスペースで試食会も開きました。
実は陽花さんは、3年前に脳梗塞を患い、3カ月以上入院。食べ物がうまく飲み込めず、楽しいはずの食事がつらかったといいます。そこで、飲み込む力が弱い人でも、おいしく食べられるご飯を作りたいと「おはじきさん」を開発しました。
陽花さん:
「ご飯の選択肢のひとつとして知ってもらえたらと思います」
“食べることは幸せ”それが陽花さんのモットー。古民家レストランの体に優しい料理も、おはじきさんも、陽花さんの経験から生まれました。
陽花さん:
「いろいろあったけど、今すごく幸せなので、幸せのおすそ分けです」

