ペットの犬に増加している“肉アレルギー”。動物病院の医師の相談をきっかけに、“釣りのプロ”が立ち上げた新しいブランドに注目が集まっている。自分達で釣り、捌き、作る『魚のジャーキー』の魅力とは。
肉アレルギーの犬に魚ジャーキーを
福岡市南区の住宅街に2025年12月にオープンした『七色のサカナ』。魚を使ったペット向けの食品『フィッシュジャーキー』の製造・販売などを行っている。

オーナーの吉満純さんは、元々、釣りのプロをしていて、釣り具メーカーのスポンサーが5社以上つくほどの腕前。日頃、釣った魚が余ることがよくあり、魚の活用方法を探していたという。
きっかけは、徳島の動物病院から「魚のジャーキーを探している」と相談されたことだった。理由を聞くと、「ワンちゃんが肉アレルギーの子が多く、魚しか食べられない子がたくさんいる」というのだ。

魚を釣っても食べきれずに困っていた吉満さんと動物病院の要望が一致し、吉満さんの“魚を使ったジャーキー”作りが始まった。

最初は、自分で釣った魚を捌いて自宅のベランダに干してみたり、試行錯誤しながら商品開発した吉満さん。
完成した魚のジャーキーを動物病院に持って行ったところ、「肉アレルギーの犬たちが、狂ったように食べる。

涎を垂らしてジャーキーを食べる」と聞き、吉満さんの本格的なジャーキー作りが始まった。

意外なきっかけから誕生したブランド『七色のサカナ』。ジャーキーの材料には、100パーセント天然魚を使っている。

吉満さんの釣り仲間やスタッフが釣りあげたタイやカンパチなど様々な魚を自分達の手で捌き、刺身として食べられる状態にして一枚一枚加工・乾燥させ商品化している。

オープン8カ月で1万袋の大ヒット
魚のジャーキーは、ペット用に作ったおやつだが、新鮮な魚でつくっているので、人がおつまみなどとして食べても問題ない。

「ペット用に作ったジャーキーを、1歳半の娘に『ワンコにあげてきて』と言って渡したら、その場で食べて戻ってきた。自分で1袋全部食べてしまい、ワンコに持って行かないんですよ」と笑いがら当時を振り返る吉満さん。

人が食べても安全・安心な『魚ジャーキー』。この出来事をきっかけに、ペットだけでなく人も食べられる一般加工品として販売を始めると、口コミで人気が広がり大ヒットした。
「オープンして8か月くらいで1万袋以上売れた。6月だけで1400袋くらい売れています」と吉満さんは胸を張る。

大人気の『魚ジャーキー』、気になる味は、数種類あるが、中でも吉満さんのお勧めは、『カンパチジャーキー』。魚の旨味がぎゅっと詰まっていて、噛みしめるごとに旨味染み出してくる。

吉満さんの会社では、漁師から“売れない魚”も買い取っている。漁師だけでなく、釣り人からも食べきれない魚を釣り具などと交換する形で引き取り、魚を無駄にせず新たな商品へと生まれ変わらせる仕組みづくりも進めている。
釣って捌いて1枚1枚加工・乾燥
吉満さんは、この日、早朝から船で釣りに出掛けていた。狙いは太刀魚。
台風の影響で海が時化ていたため、吉満さんを含め釣り客たちは1匹も釣れずに大苦戦。

しかし、日が昇り、タイムリミットが近づく中、吉満さんが、「よっしゃ!」と声をあげた。

「やっと釣れたで!めっちゃいいサイズ。指5本分くらいありますもん」。釣り上げた大きなタチウオに吉満さんの声も弾む。

釣り上げたタチウオを手際よく捌いていく吉満さん。普通は捨てるという尻尾の部分も干すという。

「本当に捨てるところはないですね。このサイズは、めっちゃ美味しい!普通は高級品の代表格なので、まさかペット用の『ジャーキー』になるとは、タチウオも思ってないですよね」と笑う。

尻尾だけでなく、骨も『ジャーキー』にするという徹底ぶり。これを“秘密の機械”に入れると完成!

魚を無駄にせず「釣りがしたいだけ」
釣りのプロの『魚を無駄にしない』取り組みは、「釣りへの愛から生まれてきた」と吉満さんは話す。

「釣りがしたいだけなんですよ、単純に!釣りが仕事になれば、僕はずっと楽しいと思ったので、釣り人・ペットの飼い主・ペット・漁師・魚屋さんみたいな、三方じゃきかない、『六方良し』みたいな形になってきている」。
その仕組みを作った自分が誇らしいと吉満さんは笑った。
(テレビ西日本)

