陶磁器生産量が日本一の街の「ハレの日」のどんぶり

江戸末期に岐阜・土岐市の駄知(だち)地域で生まれた美濃焼の「亀吉(かめきち)どんぶり」を復活させようと、発祥の製陶会社がクラウドファンディングを使って資金集めを行っている。

この記事の画像(11枚)

美濃焼の産地で、陶磁器の生産量が日本一の岐阜・土岐市。この街の駄知という地域で71年続く製陶会社「丸新製陶」がいま、クラウドファンディングで資金を集め、伝統の「亀吉どんぶり」を復活させようとしている。

「丸新製陶」によると、「亀吉どんぶり」は、土岐市の駄知地域で美濃焼の陶工・塚本亀吉が1867年に初めて作った伊万里焼風のどんぶりの呼称で、当時は結婚式などのおめでたい日に「ハレの日」の器として用いられた高価な器だった。

器に縦に入った三本線が特徴。縁が分厚く、内側に包み込むような形で保温性が高く、気品が感じられるデザイン。
しかし、現代の「駄知のどんぶり」には「亀吉どんぶり」のような形や色彩は、時代の流れとともになくなり、大量生産に適したデザインへと変わった。

今では「亀吉どんぶり」は知る人ぞ知る「古美術品」として捉えられているという。

コロナの影響や陶磁器業界の苦戦…新たな事業の柱を

塚本亀吉の五代目を受け継ぐ「丸新製陶」は1949年に創業し、現在従業員は17人。陶磁器の製造や販売を手がける年商約1億9000万円の企業。

地元の問屋を通じて若者に人気の雑貨店などに食器を卸しているほか、飲食店などへの直販が主力の事業。また、従来は器の表面に文字をデザインする際に必須だった、石膏型を作らなくてもデザインできる技術の特許も持っている。

事務所の2階にはショールームがあり、丸新製陶が手がけた製品が展示されている。

美濃焼の技術を使った飽きのこないデザインの器や…。

砂糖や塩が湿気で固まらない容器など、オリジナル性の高い製品が並んでいる。

五代目の塚本誠吾さんが今回、「亀吉どんぶり」の復活を決めたのは、新型コロナウイルスの影響が理由のひとつ。感染が拡大した3-5月は、休業や時短営業する飲食店が増えたため、飲食店向けの需要が減少。

また、業界全体としても受注数が落ちていることもあり、これまで1日に約5000個を焼くことができた大きな窯を中型と小型の2つにして1日の生産量を約2500個に半減させ、大量生産から少量生産へと移行。
丸新製陶には新たな事業の柱が必要だった。

こうした中で、これまでの事業者向けだけでなく、家庭での需要を開拓しようと今回、丸新製陶ならではの歴史がある「亀吉どんぶり」の商品化を決めた。

陶磁器の歴史や文化に触れるきっかけに…クラウドファンディングで資金募る

最近では、どんぶりや湯呑ではなく、プレートやマグカップの注文が多くなったという陶磁器。しかし、あえて150年も前の「亀吉どんぶり」の再現をテーマにして商品化に挑戦したのは、その歴史や美濃焼ならではの魅力にふれてほしいという塚本さんの願いからだった。

塚本さんはこのプロジェクトをとおして、陶磁器の歴史や文化にふれるきっかけになってほしいと話している。

今回は、クラウドファンディングサイト「キャンプファイヤー」で開発資金を集めている。リターンは濃い藍色と淡い縹色の「亀吉どんぶり」で、支援金額は5000円から。
50万円を目標に10月から資金集めを開始、11月20日現在で支援者の数は45人、約46万円が集まっていて、12月31日まで続けるとのこと。

(東海テレビ)