福井県を襲った記録的な大雨で、収穫を目前に控えた水田が各地で冠水した。コメの価格が下落する中で追い打ちをかけるような被災に、農家は落胆を隠せない。保冷庫に保管していたコメも水がついて廃棄を余儀なくされた。
実ったイネに泥やごみ…「収穫できない」
県内有数のコメどころとして知られる坂井市。福井県内を襲った記録的大雨の翌日、突き抜けるような青空が広がった。
広大な田園には黄金色の稲穂が揺れ、例年であれば農家が収穫の喜びを感じる頃だ。しかし今年は事情が違う。記録的な大雨で多くの田んぼが水に浸かってしまったのだ。
遠目からは大雨の前の状態に戻ったように見える田んぼも、近づいてみると稲穂には泥が付き、流れ着いたごみが残っている。
同市坂井町で農業法人を営む田中勇樹さんは「これが機械に入ってしまうと故障の原因になってしまうので、ごみが付いている部分は刈り取りせずに、そのままにしておこうかな」と話す。
収穫できるはずのイネを刈り取ることができない状況だ。
被害は水田だけにとどまらず、建物の中にも及んだ。
床上20センチを超える浸水により、コメを保管していた保冷庫に水が侵入。浸かった玄米はすべて廃棄することになった。
「建物の中まで入ってくるっていうのは、僕が24年間ここにいて初めての経験」と田中さん。
水害による打撃に加え、コメ価格の下落が農家を苦境に立たせている。
それでも「前向きに…」
「コメの値段が下がってしまうのは、僕らが操作できないところなので…この災害についても、僕らではもうどうしようもないことなので」そう言って田中さんは水に浸かった田んぼを眺める。
コメ価格の下落と記録的な大雨という二重の苦境に直面しながらも、田中さんはこう続けた。
「とにかく前向きに考えていかなくちゃいけないかなと思ってます」
水が引いても、田んぼや農家には、水害の深い爪痕が残る。

