新潟県三条市『北五百川の棚田』で稲の収穫作業が行われた。絶景から地域の内外の人に親しまれる棚田だが、その景色を見られるのは今年で最後となりそうだ。なぜ絶景として親しまれる棚田での稲作が終わってしまうのか、その理由について取材した。
■“日本の棚田百選”北五百川の棚田で“最後の稲刈り”
山あいに広がる黄金色の棚田。
8月24日、三条市下田地区の『北五百川の棚田』で稲刈り作業が始まった。
400年以上の歴史を持ち、その景観の良さから国の『日本の棚田百選』にも選ばれた北五百川の棚田。
しかし、この景色を見られるのも今年で最後となる。
■「心が折れる…」イノシシ被害大きくコメ作り断念
棚田を管理する15代目の佐野誠五さんは「イノシシにやられた被害の田んぼ。近くで見るとよく分かるが、やはり違うでしょ」と話す通り、佐野さんを悩ませていたのは野生動物による被害だ。
これまで自前で電気柵を取り付けるなどの対策を講じてきたものの、広い敷地全てに設置することは難しく、90アールの棚田のうち今年は10アールほどが被害にあっているという。
収量は今年300kg近く減少する見込みで、現在77歳の佐野さんはあまりの被害の大きさに今年でコメ作りを断念することを決めた。
「心が折れる。せっかく1年間、一生懸命やって最後これだから。50年間やってきて、毎日ここに上がってきたけど、もう上がる必要がなくなるのでやはりさみしくなると思う」と声を落す佐野さん。
次々と刈り取られていく稲。長年守られてきた景色が失われる瞬間でもある。
■コメ作り終えた田んぼ「どう守っていけばいいか…」
佐野さんは「来年から田んぼからコメがなくなるとなると、自分としてもどう守っていっていいか分からない。自分が手伝うからやってくださいという人もいる。でも、ここに住んでいないと守れないので、私がいなくなったら多分無理かな」と話した。
佐野さんは来年以降、数枚の田んぼで家族用のコメのみを作ることにしている。
