8月1日、長野県の南アルプス二児山付近で、地表を埋め尽くすほどのニホンジカの大群が撮影された。標高約1,900メートルの斜面に集まるシカは数百頭規模とみられ、環境省の保護官も「想像以上」と驚きを隠さない。長野県内のシカの推定個体数は22万頭余りに達し、増加傾向が続いている。現場は車両の進入が不可能な捕獲困難地で、生態系や山の保水力への悪影響が懸念されている。
標高1900メートルに数百頭
8月1日午前10時半ごろ、長野県伊那市と大鹿村の境界に位置する南アルプス二児山の北側斜面で、地面を覆い尽くすほどのニホンジカの群れが確認された。物資輸送業務中の東邦航空のヘリコプターから撮影されたもので、標高約1,900メートルの斜面に数百頭がいる様子が捉えられている。
環境省南アルプス自然保護官事務所の結城貴志保護官は「該当する標高帯には少なからずシカが存在すると想定していたが、想像以上の多さだ」と驚きを語った。
推定個体数22万頭も捕獲難
長野県によると、県内に生息するニホンジカの推定個体数は直近の10年ほど増加の一途をたどっている。2016年度末の時点では中央値で約15万頭だったが、2024年度末には22万頭余りにまで膨らみ続けている。
大量のシカが確認された一帯は深い山中にあり、車両で近づくことができない“捕獲困難地”に指定されている。そのため、大規模な捕獲は難しいという。
生態系と保水力への悪影響を懸念
撮影地点の近隣には国立公園の区域が広がっており、シカの増加が生態系や自然環境に及ぼす影響が懸念されている。
結城保護官は「ニホンジカが植物を食べたり踏み荒らしたりすることで、高山の生態系が崩れていくことが懸念点だ。シカの影響で樹木の倒壊が増加すれば、山が水をたくわえる保水力が低下する恐れもある」と指摘し、今後の自然環境への悪影響に警戒感を強めている。
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