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被災した中小企業を支援した「グループ補助金」 企業の15年【東日本大震災・復興検証42兆円のゆくえ】

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東日本大震災の発生から15年以上が経ち、インフラ整備はほぼ完了したことから、『復興』は新たな段階に入りました。仙台放送では、巨額の復興予算がどのように使われ、15年以上たった今、被災地にどのような課題があるのかをお伝えする、シリーズ企画、『復興検証42兆円のゆくえ』をお伝えします。
今回は被災した中小企業の復旧を支援する、「グループ補助金」についてです。

石巻市寄磯浜地区。今年創業100年を迎えた、「マルキ遠藤」。海産物の卸売りや養殖業などを営んでいます。
3代目の遠藤仁志社長は、津波で事務所や加工場が全て流された15年前をこう振り返ります。

マルキ遠藤 遠藤仁志社長
「最初はやめようかなと思ったが、『ワカメ買わないのか』って生産者から声が出た。(2011年)3月に。そういう感じでもう一回やってしまおうかなと」

未曾有の災害となった、東日本大震災。東京電力福島第1原発事故からの復旧・復興も合わせ、巨額の国費が投じられ、15年間で、その額は「42兆円」にも上りました。

割合では「住宅再建」が最も多いものの、被災した企業の再建支援などを含めた、『産業・生業の再生』には、15年間で4兆5516億円が投じられました。

マルキ遠藤 遠藤仁志社長
「地元(の生産者)からホヤ、ホタテ、カキとか納めてもらっているので、その分で何とかずっと震災後やってきている感じ、本当にありがたい」

遠藤社長の再起を支えた制度が、「グループ補助金」です。複数の企業が「グループ」を組んで、再建を目指すことを条件に、復旧費用の『4分の3』を国と県が補助するものです。『4分の1』は自己負担となります。

宮城県内ではこれまでに、延べ4487社の企業に、総額でおよそ2820億円が支援されました。

遠藤社長が補助金を元に選択したのは、『小規模での再建』でした。

マルキ遠藤 遠藤仁志社長
「実際のところ気持ち的には大きくすれば良かったかなって。でも一瞬だけそう思っただけで、あとは大変になるだろうなと」

その予想は的中します。県内の水産物の水揚げ量は、去年、過去最低の16万トンまで減少。1980年代後半の6分の1程度の数字です。

マルキ遠藤 遠藤仁志社長
「ホヤも水温高くてだめ、カキも死んでいる。ホタテも少ない。大きくなればなるほど大変だよ。会社。だって40人も50人も従業員雇って仕事が無い」

一方、事業の規模を見直したものの、試行錯誤を続ける企業もあります。

山徳平塚水産 平塚隆一郎社長
「これらの機械は全部グループ補助金で買っています」

石巻市の水産加工会社「山徳平塚水産」の平塚隆一郎社長が選んだのは、『経営のスリム化』です。震災前、市内に3カ所の工場を構えていましたが、水揚げ量の減少を見据え、従業員を半数に削減しました。
過剰な投資を防ぐために、工場も1カ所に集約させ、売上の大半を占めていた、「練り製品」から、競合が少ない「レトルト商品」の生産に舵を切りました。

山徳平塚水産 平塚隆一郎社長
「魚が取れていれば、工場設備いくらでも整備して良いが、魚が取れなくなったら、重荷になる。大きい設備にすればするほど」

『経営のスリム化』は成功。売り上げは半減したものの、最終的に手元に残るお金は増えたと話します。

しかし、平塚社長の頭を悩ませるのは、グループ補助金のうち、自己負担分の『4分の1』。利子が無い融資の制度があり、平塚社長も利用していますが、金融機関への毎年の返済額は、1000万円に上ります。

山徳平塚水産 平塚隆一郎社長
「それ(優生制度)自体は無利子なんだけど、それを払うために有利子負債を銀行から借りて返さないといけない」

『121社』。この数字は県内でグループ補助金を受けたものの、昨年度までに倒産した企業の数です。支援を受けた企業のうち、全体の3パーセントに当たります。
倒産した時期で見ると、増加傾向が続き、震災から15年が経過した昨年度が最も多い、「16件」でした。

専門家は今後の見通しについて、次のように指摘します。

東北学院大学教養学部 柳井雅也教授
「利益の利幅の少ない業者が被災地には多いことを考えると、返済猶予、あるいは返済ができないという形で、今後は廃業や倒産という形で動いていくことも十分考えられる」

震災から15年以上が経ち、いま別の課題も浮かび上がっています。
取材に応じたのは、グループ補助金で再建した、水産加工会社を営む男性です。

水産加工会社経営の男性
「水揚げ減少とコロナの売り上げ減少がダブルパンチで来て、畳みかけるように、人件費は年間100万円くらいあがっている」

売上の減少などに伴い、自己負担分などの返済は、4年前から利子の支払いのみに…。
こうした状況の中で、早ければ来年から始まるのが、『震災前』の借入金の返済です。

国が震災の翌年に設置した「東日本大震災事業者再生支援機構」。機構は、二重ローン対策として、金融機関から『震災前』の債権を買い取った上で、経営が軌道に乗るまで返済を猶予するなど、企業の再起を後押しします。支援期間は「最長15年」と決められています。企業は、その間に経営を立て直し、機構に返済するか、もしくは借り換えのために、銀行などから資金を調達する必要があります。

水産加工会社経営の男性
「銀行も含めてどうするのかと。うちの業績が良ければ銀行もすんなりとリファイナンス(債権の買い戻し)を受けてくれるが、なかなか業態が改善しないと、今、駆け引きだね。(資金調達できなければ)事業を畳まないといけないんじゃないの?そしたら大変だよね」

震災翌年からこれまでに、747社を支えてきた支援機構。松崎孝夫社長は、「期限の前に6割の企業への支援を完了させた」とした上で、残る300社ほどの支援については、次のように話します。

東日本大震災事業者再生支援機構 松崎孝夫社長
「銀行にも今の現実がこうなっているので、こういう風にリファイナンス(債権の買い戻し)をしてくださいという話をずっとしています。事業者、我々、支援金融機関と三位一体になって、通常取引に戻すという形」

グループ補助金で再建し、建設業を営む男性にも話を聞きました。口にしたのは、「今後への不安」でした。

建設会社経営の男性
「実際、着工件数が減っているからどうしようもないのさ、(地域で震災前は)500件あったのが(現在)50件しかない。これからのほうが大変、もの(仕事)がないんだもん、目に見えてるんだ読みも甘かったところはあったかもしれないな。俺はじめ、みんな」

東北学院大学教養学部 柳井雅也教授
「やっぱり震災の影響は残るんですよ、痕跡として必ず。ただ問題はそれに色々な事案が累積していくんですもしも震災がなければっていう問題の立て方にするなら、もうちょっと頑張れたかもしれないっていうのはやっぱりあるわけです。だから震災で全部説明するのが難しくても、震災がきっかけになったのは間違いないということ」

巨額の復興予算は、多くの被災企業の再起への歩みを支えました。
しかし15年以上の月日を経ても、その道筋を探し続ける企業がいるのも、また、現実です。

※松崎孝夫社長の埼はたつさき

仙台放送
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