「岡山の台所」として親しまれた岡山市中心部の商業施設、「岡ビル」が周辺も含めた再開発事業で8月末、75年の歴史に幕を下ろします。跡地には店舗やマンション、ホテルが入る複合施設が整備される予定です。
◆「岡山市民の台所」と言われた当時の面影はなく…「岡ビル」は、ただひっそりと解体工事が始まるのを待つ
再開発事業の対象は岡山市北区野田屋町の「岡ビル」とその南側、合わせて約7000平方メートルの区画です。地区内の道路が9月1日から通行止めとなるほか、「岡ビル」内の店や住居は8月末までに退去することになっています。
(萩原渉キャスター)
「退去の期限が今月末に迫り、現在は大半の店のシャッターが下りています。『岡山市民の台所』と言われた当時の面影はなく、今はただひっそりと解体工事が始まるのを待っているという印象です」
◆かつて「岡ビル」の年末は通路を人が通れないくらい大勢の買い物客 壁には「ありがとう」など落書きが・・・
岡ビルは戦後間もない昭和26年にオープン。1階は主に食料品店が軒を連ね、大勢の買い物客でにぎわうまさに市民の台所でした。
(岡屋生魚店 難波和裕さん)
「僕が子供のころは通路を人が通れないくらい年末は客が来ていた。客に当たり、「すみません」と言いながら通っていた」
◆3世代・75年間にわたり営んできた鮮魚店の移転作業で多忙…様子を見に来てくれる常連客も
岡ビルの開業当初から祖父、父と3世代・75年間にわたり、鮮魚店を営んできた難波和裕さん。車で10分ほどの場所に店を移転します。
ここでの営業は8月1日に終了しましたが、飲食店などに卸すための調理は退去ギリギリの今週末まで移転作業と並行して続けるそうです。
(岡屋生魚店 難波和裕さん)
「もう大変。なかなか移転作業が進まない。いまだにまだ片づけている。寂しいと言えば寂しいが、あまりの忙しさでそこまで考える余裕がない」
今でも頻繁に常連客が様子を見に来てくれます。
「もう移転先の準備はできた?」
「まだ改装中。追加工事をしている」
「いろいろ大変ですね」
往時のにぎわいを懐かしんで訪れる人が多いそうです。
(岡屋生魚店 難波和裕さん)
「(Q:うれしいですね)建物の中が真っ暗になってもまだ入ってきてくれる」
◆マンションやホテルが加わる新しい商業施設は2031年度めどで完成予定
岡ビルは近年、郊外型の大型商業施設の出店の影響を受けて客が遠のき、以前のようなにぎわいが失われていました。建物も老朽化し、2012年から再開発に向けた動きが進んでいます。
再開発組合によりますとビルは10月ごろに解体工事が始まり、その後、商業施設や200戸以上が入るマンション、200室以上のホテルが入る複合施設が5年後の2031年度をめどに完成する予定です。
◆「野田屋町が大好き」な店主は、昔の岡ビルの”にぎわい”を新しい商業施設の誕生に託す
(岡屋生魚店 難波和裕さん)
「昔の岡ビルのにぎわいをもう1回取り戻せるような施設になってくれれば良いと思う。野田屋町が大好きなので」
JR岡山駅前の好立地に誕生する新しい複合施設も「岡ビル」のようににぎわいの拠点になることが期待されます。
