あと数日で、子どもたちの夏休みが終わる。新学期を目前に控えたこの時期は、全国的に子どもの自殺が増加するとされる時期でもある。「学校に行きたくない」と子どもが打ち明けたとき、親はどう向き合えばいいのか。鹿児島メンタルヘルス研究所ハートピースの公認心理師・竹田尚登さんに話を聞いた。
9月1日、突出して多い自殺者数
内閣府が2009年から2023年までの小中高校生の自殺者数をまとめたグラフによると、8月後半から数字が増加し始め、夏休み明けの9月1日は特に突出した数値を示している。

竹田さんはその背景をこう説明する。「1学期に少しうまくいかないことがあって、なんとか乗り切った子どもが夏休みにホッとして、また新学期を迎えるという時に学校に戻れない。どうしてもそこで若い人の自殺が増えているという現状がある」。
1学期をなんとか耐え抜いた子どもにとって、夏休みは束の間の安息だ。しかしその安息が終わりに近づくにつれ、再び学校へ戻ることへの恐怖や不安が膨らんでいく。その重圧が、命に関わる事態につながるケースもある。
食欲がない、朝起きられない――日常に潜むSOS
子どものSOSは、突然の言葉として現れるとは限らない。竹田さんによると、食欲がない、朝起きられないといった日常の些細な行動の変化に、サインが隠れていることが多いという。
「『食欲ないけど大丈夫?』とか『朝、起きられないけど、どうかしたの?』とか、この時期だったら学校かな?と思うので子どもに自然に尋ねていい」と竹田さんは話す。

異変に気づいたとき、特別に構えて問い詰める必要はない。日常会話の延長として、さりげなく声をかけることが第一歩になる。
「なぜ?」より「そうか」――気持ちに寄り添う大切さ
「学校に行きたくない」と子どもが打ち明けたとき、親としては「なぜ?」「どうして?」と理由を聞きたくなるのは自然なことだ。しかし竹田さんが強調するのは、まず気持ちを受け止めることの重要性である。
「保護者側の理由だけで接してしまうと、そこで出てきたサインを押し流すことになるかもしれない。まず、その気持ちを大事にしてあげることが大切。子どもも勇気を持って言ったかもしれない。そこを受け止めて一緒に考えていくことをしたらいいと思う」。

子どもが「行きたくない」と口にするまでには、どれほどの葛藤があったか。その一言を発した勇気を、まず大人がしっかり受け取ることが、次のステップへとつながる。
「大丈夫だろう」と思っていても、話題にすることが大事
竹田さんはまた、保護者と子どもが悩みを抱えすぎて孤立しないよう、学校やカウンセラーへの相談も重要だと指摘する。そして、特に問題がないと感じている家庭でも、この時期に意識してほしいことがあると言う。
「そこを触らないじゃなくて気付く機会にしていい。うちの子、大丈夫だろうと思っていても『学校だけど、どうなの?』と話題にしてみて、それで何もなければそれでいいので、学校のことを話題にする機会を作ることがひとつ大事なことと思う」。

「何もなければそれでいい」。その軽やかな姿勢が、むしろ子どもの心を開くきっかけになる。新学期が始まる前のこの数日、食卓や車の中でさりげなく「学校、どう?」と一言添えてみることが、子どもにとっての大きな支えになるかもしれない。
【動画で見る▶もうすぐ新学期 子どものSOS どう接する? 】

