英語で箸の作り方を教わり、岩から水面に飛び込み、鳥刺しのピザを自分たちで焼く。8月、鹿児島県伊佐市で開かれたサマーキャンプは、一見すると変わったプログラムの連続だ。しかしその裏には、子どもたちの積極性と自主性を引き出すための緻密な「仕掛け」が隠されていた。

県内外から15人が集結、4年目の「キャンプリファイヤ」

8月8日、伊佐市のキャンプ施設・十曽青少年旅行村に、そろいのTシャツを着た子どもたちが集まった。アメリカ式サマーキャンプ「キャンプリファイヤ」の参加者たちだ。

「キャンプリファイヤ」参加者の子どもたち
「キャンプリファイヤ」参加者の子どもたち
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このイベントは地元住民や企業の協力を得ながら4年前から続いており、2026年は伊佐市はもちろん、東京などからも参加者が訪れ、合計15人の小中学生が5泊6日をともにした。

普通のキャンプと大きく異なるのは、期間中のコミュニケーションが英会話を中心に進められる点だ。ナイフの使い方を説明するスタッフの言葉も英語。参加者が「『完成です』って何と言うのですか?」と尋ねると、「I made it.」「It's finished.」と返ってくる。

英語は「目的」ではなく「きっかけ」

なぜ英語なのか。アウトドアプロデューサーの長谷部雅一さんはその意図をこう説明する。

「あれを貸して、これを貸してというコミュニケーションをとるきっかけを作っている。お昼でそうめん流しをするので、箸を使わなきゃいけない、絶対作りたい、でも助けが必要という仕掛けが入れてある」

英語はあくまで手段であり、子どもが「誰かに話しかけざるを得ない」状況をデザインすることが、このキャンプの核心にある。

岩からの飛び込みとピザパーティー——自主性を育む体験の連鎖

プログラムは英会話にとどまらない。近くの十曽池ではカヌー体験が行われ、岩の上から水面に飛び込む挑戦の場も設けられた。自分で考え、自分で決断し、一歩を踏み出すことが求められる場面の連続だ。

カヌー体験をする子どもたち
カヌー体験をする子どもたち

そして5泊6日の集大成となったのが、最終夜のピザパーティーだった。グループごとに「皆が驚くおいしい創作ピザ」を目指して準備を進める中、子どもたちは自分の意見を臆することなく主張するようになっていた。

鳥刺し、牛タン、黒毛和牛——伊佐・鹿児島ならではの食材を使ったオリジナルピザが、地域の人のサポートのもとで次々と実現していく。キャンプの始まりとは別人のような積極性が、そこにはあった。

完成したピザ
完成したピザ

「日常の自分も変わった」——子どもたちが語る成長

キャンプを終えた子どもたちの言葉には、確かな手応えがにじんでいた。

「水遊びの時に崖から飛び落ちた。何か一つ目標を達成した感じ」

「自分を表せる場所。学校じゃそんなことできないことが、たくさんできてコミュニケーションが取りやすい場所」

「元々は初めての人と話すのが苦手な時があって、日常の自分も前より友達と話しやすくなったりとか、英語がもっと上手になってたりしているかなと思う」

単にキャンプを楽しんだだけではなく、日常にまで波及するような変化を自分自身で感じ取っている。地域の人々の支えと、巧みに設計された体験の積み重ねが、子どもたちの心の殻を少しずつ、しかし確実に破っていったようだ。

伊佐市の自然と地域コミュニティを舞台に、2026年の夏もまた、子どもたちにとって忘れられない一ページが刻まれた。

【動画で見る▶伊佐市で特別なキャンプ 自主性養う5泊6日【鹿児島】】

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鹿児島テレビ
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