高知県中土佐町で、夏の終わりから秋にかけて水揚げされる「メジカの新子」が記録的な不漁となっている。例年であれば多くの観光客でにぎわう時期だが、2026年は異変に見舞われている。地元鮮魚店や観光客の現状を取材した。
鮮度が落ちやすく「幻の魚」と呼ばれるメジカの新子
メジカの新子とは、マルソウダガツオの幼魚。漁期は8月から10月までの3カ月間のみと短い。「朝釣った新子は昼までに食べろ」と言われるほど鮮度が落ちやすく、水揚げされた地域周辺でしか流通しないため「幻の魚」とも呼ばれている。
特有の弾力ある食感があり、旬の時期にはこの味を求めて全国から多くの人が中土佐町を訪れる。
「水揚げなし」の日も
しかし2026年は水揚げのない日もあり、取材した8月27日には町内の鮮魚店やモニターに「水揚げなし」の知らせが掲げられていた。
沖縄や青森など、遠方から訪れた観光客からは「知り合いに聞いて楽しみにしていたが残念」「朝7時から来たがショックだ。いつかは絶対食べたい」といった声が聞かれた。
中土佐町でメジカをさばいて20年以上になる「司丸」の女将、辻村むつ子さん(76)も「今年は今までで1日しか切っていない。こんな年は初めてで、県外からのお客さんを断るのが心苦しい」と現状を語る。
8月27日も4隻の船が漁に出たが、水揚げはゼロだった。
海水温の上昇による生態系の変化が要因か
メジカが極端な不漁となっている要因について、田中鮮魚店の田中隆博社長は、海洋環境の変化を指摘する。
黒潮の大蛇行が終了した後も海水温が非常に高い状態が続いており、魚の生息域や産卵時期が変化している可能性が高いという。
田中社長は「産卵が遅れている可能性が高い。頑張って釣れることを祈るのみ。こういう時は久礼の八幡様に神頼みだ」と話している。これほどの不漁は過去にも例が少なく、極めて珍しい事態だという。
今後の見通しと情報収集の注意点
現在、沖合ではメジカの親魚の水揚げは確認されている。田中社長によれば、順調にいけば2週間ほどで新子も獲れるようになるのではないかと推測している。
日々の入荷状況は「なかとさ観光協会」のウェブサイトや、現地のアーケードに設置されたモニターで確認できる。観光協会では電話やメールでの新子の問い合わせには対応していないため、訪問を検討する際はウェブサイトを確認しておくことがおすすめだ。

