特集は、山を走るトレイルランニングです。長野県大町市出身の世界的なランナー、上田瑠偉選手が、地元の子どもたちに魅力を知ってもらおうと大会を開きました。
山の中を駆け抜ける子どもたち。大町市の鷹狩山で開かれた、トレイルランニングの大会です。企画したのは、地元出身のトレイルランナー、上田瑠偉選手。
上田瑠偉選手:
「みんなニコニコ走ってるので、そういう笑顔が見えてよかったですね、きょうは」
トレイルランニングは、山など整地されていないコースを走る競技。上田選手はその分野の世界的なランナーです。
佐久長聖高校では駅伝部でしたが、大学に入ってからトレイルランを始めました。
「登り」を得意としていて、去年、標高が高くアップダウンも激しい「スカイランニング」のワールドシリーズで、アジア人初の年間総合優勝を果たしました。
大会前日、上田選手は準備に追われていました。
上田瑠偉選手:
「くい打って、矢印方向とかをつけています」
上田選手は4年前から地元の鷹狩山で大会を開いています。子どもたちにトレイルランを通じて、ふるさと・大町の魅力も実感して欲しかったからです。
上田瑠偉選手:
「大町の魅力というのも、僕も全国・海外を回ってきて感じている部分もありますので、それをもっと、まずは地元の人たちが誇りに思ってほしいなと。今回もこの大会を通して伝えられたらと思います」
一緒に準備するのは、父の智夫さん。当初はトレイルランをよく知らなかったそうですが、今や大会実行委員長です。
父・智夫さん:
「応援に行くようになって、じゃあ地元でもやりたいよねっていうのが始まりで。私もうれしいです、息子とこんなことができるなんてことは思ってもいませんでした」
心配されたのは、新型コロナの影響です。上田選手自身も大会がなくなったり、拠点を海外に移す計画が白紙になったりと大きな影響を受けました。
大町の大会も開催が危ぶまれましたが、コロナでイベントなどが減ってしまった子どもたちのために、規模を縮小するなど対策した上で開催することにしました。
上田瑠偉選手:
「何とかして、対策をしっかり講じてやれれば、皆さんの楽しみにつながるかなと思って、やる方向で動き始めました」
大会当日。
今年は幼児から大人まで、140人近くが参加しました。大会の裏方には住民に交じって母のあずささん、祖母の文子さん、千葉に住む妹の桃子さんの姿も…。
妹・桃子さん:
「仕事休んできました。あまり帰ってくる機会ないので、こういう機会があるのはいいかなと思っています」
まさに家族総出。上田家にとっても、大会は大事なイベントになっています。
(リポート)
「まもなく子どもたちのスタートです。子どもたちちょっと、緊張した表情でしょうか」
キッズ部門(未就学児・900m)
山腹の遊歩道などがコース。
キッズ部門の男の子:
「楽しかった!坂が楽しかった」
「坂道いちばん楽しかった」
小学1・2年生の部(1.4キロ)。
小学1・2年生の部女の子:
「みんな速かった…(Q.次は何番になりたい)1番」
上田選手は先導したり、表彰式のプレゼンターをしたりと、大忙し。
上田瑠偉選手:
「なかなかバタバタしてます」
私も特別に小学3、4年生の部を走らせてもらいました。
アナウンサー:
「速い速い!行ってきます!」
小学3・4年生の部(1.4キロ)。
アナウンサー:
「山道、風がひんやりしていて気持ちいいですね」
アナウンサー:
「最後の298段の階段です。あ~きつい!」
アナウンサー:
「あー!きつい!ものすごく爽快感、気持ちよさがありましたね。楽しかったです」
今年の大会も盛り上がり、実行委員長の智夫さんは…。
父・智夫さん:
「いやー最高ですね。うれしい限り。準備した甲斐があったなって」
上田選手にとって、大会は走ることの「原点」に立ち返らせてくれる場。子どもたちの笑顔を励みに来年、再び世界の舞台に挑みます。
上田瑠偉選手:
「『純粋に楽しむ』という気持ちがいいなと思います。勝負がかかったレースだと真剣になりすぎちゃうんだけど、こういう楽しむ気持も忘れないでやりたいと思います」