特殊詐欺の被害が急増している。富山県内では去年でさえ過去最悪の水準だったが、今年はすでにそれを上回るペースで被害が相次いでいる。先月、富山市に住む20代のインフルエンサーの女性が、仕事の依頼を装った詐欺によって合計26万円あまりをだまし取られる被害があった。ネットに精通しているはずのインフルエンサーが、なぜ罠にはまったのか。被害者本人が語った手口とは。
SNSへの「仕事依頼」から始まった罠
被害に遭ったのは、富山市に住む20代の女性。企業から依頼を受け、自身のSNSで商品PRを行うインフルエンサーとして活動している。

詐欺の始まりは、女性のSNSアカウントに届いた一通のダイレクトメッセージだった。送り主は、韓国の香水などを手がける有名企業のPR担当者を装った人物だった。今年7月から始まったLINEのやり取りでは、実在する化粧品を取り上げ、商品の特徴やサンプルを受け取った後にPR動画をSNSにアップするという作業内容がこと細かく記されていた。報酬額は13万円と提示された。
女性はメッセージを受け取った当初、文章表現に多少の違和感を覚えたという。

「言葉の遣い方に関しては正直違和感はあった。ブランドの本籍地が韓国にあるので、日本人じゃない人が担当しているのであればこれぐらいになるかという感覚だった」
海外企業だからやむを得ないと自分を半ば納得させ、女性は契約を結ぶことにした。
「前払い報酬」という巧みな誘い文句

通常、PR動画案件の報酬は後払いが主流だという。しかしこの依頼では、前払いで報酬を受け取れると説明された。女性はこの点にも違和感を抱えたまま話を進めてしまった。
契約後、指定された銀行口座にアクセスして出金しようとしたが、引き出せなかった。PR担当者に問い合わせると、カスタマーサポートセンターの担当者を紹介された。そして担当者からこう告げられた。
「口座番号が間違っているから振り込めない、事前に(報酬と)同額のお金を払って」
チャット上で、報酬額と同額を振り込めば、報酬金と払ったお金が一緒に戻ってくると説明された女性は、13万円を振り込んだ。
「不手際」を装い、追加振込を要求
しかし、その後さらなる要求が届いた。

「当方の不手際により個人口座認証金として追加で100円支払ってもらう必要があることを伝えていなかった。個人口座認証金として再度13万100円を振り込んでもらう必要がある」
女性は結局、2回にわたって合計26万100円を振り込んだ。その後もさらなる振込みを求めるメッセージが届いたことで不審に思い、警察に相談して初めて詐欺だと気づいたという。

「2回お金を要求されるまでは気づかなかった。報酬をもらえないと悔しいなという気持ちが先行して、支払えばもらえるという相手のやり口にはまってしまった」
弁護士「相談件数は直近3年で2倍」
こうしたインフルエンサーを狙う詐欺について、詐欺被害に詳しい弁護士法人の大地総合法律事務所の佐久間大地弁護士は警鐘を鳴らす。
「直近3年で相談件数は2倍くらい増えている。インフルエンサーが凄く儲かる所が一番のポイント。YouTuberとかTikTokerとかインフルエンサーとか、なんとなくお金を稼げそうだという所が詐欺師が目を付けるポイント」
インフルエンサーという職業は、高収益のイメージがあるがゆえに詐欺師に狙われやすい。ネットに精通していても、巧妙に作り込まれた「仕事の依頼」は見破りにくいのが現状だ。
「あれ?と思ったらすぐに警察へ」

被害に遭った女性は、同じ被害が広がらないようにと自らの経験を語り、こう訴えた。
「とにかくあれ?と思ったら疑いの目を持って、すぐに警察に行くなり事実確認が大事」
富山県内では特殊詐欺の被害が過去最悪ペースで増加している。SNSを通じた仕事の依頼であっても、文面の不自然さや前払い報酬といった不審なサインを見逃さないことが重要だ。少しでも違和感を覚えたら、すぐに警察や身近な人に相談することが、被害を防ぐ最大の手段となる。
(富山テレビ放送)

