「どこまで議会を軽視しているのか」——西之表市議会の議員がそう声を上げた。馬毛島の整備に絡む自衛隊宿舎の建設予定地で大量のごみが見つかった問題をめぐり、2026年1月、西之表市が防衛省と覚書を交わしていたことが明らかになった。覚書の中身は、ごみの処理費用を市が負担するというものだ。
かつてはごみ処理場だった土地
問題の舞台は、鹿児島県西之表市下西地区にある土地だ。10階建て自衛隊宿舎の建設が予定されていたこの場所は、1960年代にごみ処理場として使われていた市有地だった。
2022年、この土地は防衛省に2260万円で売却された。ところが、工事が進む中で地中から大量のごみが発見され、2024年11月から工事は中断している。
覚書の中身 市が費用を全面負担
2026年1月に締結された覚書では、工事中断までに出たごみ混じりの土を市の責任で処理することが定められた。さらに、工事中断後に実施された試掘調査と土壌調査で出たごみや土の処理費用についても、市が負担するとされている。
宿舎建設の可否については、防衛省が土壌調査の結果などを踏まえたうえで判断するとしており、現時点では建設が実現するかどうかも不透明な状況だ。市が費用を負担しながら、建設そのものが白紙になる可能性も残っている。
議会への報告はなし 「説明が足りていない」
さらに問題を複雑にしているのが、議会への対応だ。市は覚書を締結したことを市議会に正式には報告していなかった。
市の担当者は、覚書締結前の2025年12月に開催された市議会全員協議会の場で、覚書の中身については口頭で伝えていたと説明している。しかし、この説明が十分だったとは言い難い。
この問題を追い続けてきた西之表市議会の和田香穂里議員は、覚書の存在が明らかになったことに強い驚きを示した。
「かなりの議員が『説明が足りていない』と追及して、その時にも出されていない覚書が出てきたのは、驚きとともにどこまで議会を軽視しているのか」

議員たちが問題を追及していた場でさえ、覚書の存在は示されなかった。その事実が、市の情報共有の姿勢に対する不信感を一層強める結果となっている。
住民監査請求へ 「違法な支出」と18人が主張
事態はさらに発展している。ごみ混じりの土の処分費用などをめぐっては、西之表市民18人が住民監査請求を進めている。請求の理由は、「必要性や合理性が全くない支出で違法だ」というものだ。

市が売却した土地のごみ処理費を市民の税金で賄うことの妥当性、そして議会への説明責任——この問題は、馬毛島整備という国家的な事業が地域社会に投げかける複雑な課題を映し出している。今後の土壌調査の結果と防衛省の判断、そして住民監査請求の行方が注目される。
【動画で見る▶【判明】馬毛島整備に絡む自衛隊宿舎建設予定地 「市がゴミ処理費負担」西之表市が防衛省と覚書】

