ときにはライフルを手にパトロール、ときには市役所の机でパソコンを打つ。
クマの出没に対応する「ガバメントハンター」。
その二刀流の仕事を追いました。
ハンターとしての1日は、夜明け前から始まります。
「おはようございます」(ガバメントハンター 吉田広さん)
北海道・北斗市で初めてガバメントハンターに採用された吉田広さん(62)。
危険を伴うため、地元の猟友会の仲間と2人でクマが出没していないか見て回ります。
「この辺、ぼつぼつ穴が開いていますよね。これ(クマの)通り道なんですよ」(吉田広さん)
ハンターの免許は4年前、働きながら取得しました。
「後ろ足。これが前足」(吉田広さん)
吉田さんはこれまでトウモロコシ畑を荒らしたクマの駆除などに参加していて、こうした市内の見回りも地元のハンターが行っていることと違いはありませんが…
「おはようございます。2回目」(吉田広さん)
自宅で休憩したあと、今度は市の職員として市役所の農林課で働きます。
「設置届は速やかにですか?」(吉田広さん)
「速やかにですね」(市の職員)
箱わな設置の報告書を作成していました。
吉田さんは以前、民間の医療団体で30年以上、事務職を担当。
パソコンは得意です。
2025年、道南地方ではクマによる被害が相次ぎ、マチは対応に追われました。
現在あわせて6つの自治体でガバメントハンターが活動していますが、北斗市が吉田さんを採用したのは2026年6月。
事務仕事もハンターの仕事もできることを評価しました。
「設置をお手伝いいただいて、雨の中お疲れさまでした」(吉田さん)
「先日出ていたきじひき高原のクマについて、吉田さんはじめハンターさん方にも数日間継続した巡回等が必要になるかな」(北斗市 農林課 五十嵐久人係長)
「もしかすると去年も設置したように箱わなを置いてもらうことになるかもしれません」(吉田さん)
会議の終了間際、1本の電話が入りました。
「観光されている方ですか。道路の目の前に出てきて目が合って(クマは)そのまま山に駆け上がっていった」(農林課職員)
「一応、携帯で」(五十嵐久人係長)
「クマスプレー。銃器なし。これで」(吉田さん)
観光客からクマ出没の通報です。
すぐに現地に向かいます。
「今のところ続きはない。ただ安心はできないです」(地元のハンター)
注意喚起の看板を設置します。
これもガバメントハンターとしての仕事です。
「(Q.ガバメントハンターになってから看板設置?)そうですよね。今まで市の職員が全てやってくれていた。自分は携わっていなかった。今回こういう立場になって一緒にやる形ですね」(吉田さん)
吉田さんを採用したことで、北斗市ではクマへの対応が1時間から2時間ほど短縮できているといいます。
「市の職員は人事異動があり数年単位で(担当が)変わっていく。ハンターとの関係がなかなか築けないところがある。ハンターが横にいてくれると初動対応がかなり早くなったと実感している」(北斗市 農林課 野津功課長)
午後3時ごろ、家に帰ります。
「(Q.公務員としては早い帰宅?)そうですね。まだ日が暮れてないです。ちょっとゆっくりして、畑見回って、シカ、クマ見回ってですね」(吉田さん)
休憩をはさんで夕方は箱わなを見に行きました。
「(エサは)ちょっと減ってますけど乾燥かもしれないですね」(吉田さん)
ハチミツなどで作ったエサを補充します。
北斗市で始まったガバメントハンターの取り組み。
まだ発展途上のこの制度について吉田さんはこう思っています。
「それぞれ市町村でオリジナルがあっていい。北斗市でもいろいろな積み上げをしてこれから形づくられていく。まだまだこの先、工夫しながらやっていくことになると思いますね」(吉田さん)
