お盆の時期、家族が集まる機会に考える人も多い「家じまい」。
家族が暮らした家を360度のバーチャル空間に残し、思い出を未来へつなぐ新サービスが札幌市の会社から誕生しました。
みなさんは、実家についてどんな思いがあるのでしょう。
「母の兄弟のお墓や家を片づけたりした」(60代)
「もともと住んでいた家から実家が変わった。すごく寂しかった。生まれた時から景色として見てきた」(30代)
「父母が建てた家は長く住んでいたので思い出がある」(30代)
「もう全部処分しちゃった。お売りしたので、よその方に」(60代)
ご自身が過ごした実家に特別な思いを抱く方は多いようです。
そんな中、家族が暮らした家を360度のバーチャル空間に残し、思い出を未来へつなぐ新サービスが、札幌市にある会社から誕生しました。
サービスの名前は「ハウストーリー」。
家の中を360度パノラマで撮影し、スマートフォンで自由に見て回れるほか、写真や動画、家系図まで1つにまとめて保存できるのが特徴です。
開発した会社の担当者・畠山琢さんに話を聞きました。
取材では、現在は空き地になっている畠山さんの祖母の家があった場所を訪問。
タブレットをかざすと…取り壊される前の祖母の家が出現しました。
玄関から中に入り進んでいくと…。リビングには、こちらを見てにっこりと笑顔を浮かべる祖母の姿が。
そしてキッチンに入ると、床には転がっている大根があったり…。
当時の生活感がそっくりそのまま残されていました。
畠山さんは「ここに布団を敷いて寝ていた」「父も約70年前に同じ場所で寝泊まりしていた」と、脈々と受け継がれる家族の記憶を語ります。
そして「フォトアルバム」の機能では、当時の写真も確認できます。
白黒の写真だけでなくカラー化したものも用意されていて、懐かしさのある写真に臨場感が増します。
このサービスが生まれたきっかけは、畠山さんの祖母が、ある頃から「おばあちゃん死んだらね…」と口にするようになったことでした。
祖母の言葉を聞き「この家がなくなってしまう」と感じた畠山さんは、自社のVRサービスを活用すれば家を記録として残せるのではと考え、祖母の家を撮影。
その後、畠山さんの父親が「家を壊す前に一度泊まりたい」と実家に泊まった際、「僕の帰る場所がなくなっちゃった」と胸の内を明かしたそうです。
そこで畠山さんが、家を記録したVRを父親に見せたところ、感動したという内容のメールが届きました。
祖母の一周忌にはVRを閲覧できるQRコード付きのカードを作成して親族に配り、大変喜ばれたといいます。
こうした経験から畠山さんは「同じような思いの方々が他にもいるのでは」と考えるようになり、サービスの開発へとつながりました。
サービスの利用を検討している西東さんは、伊達藩にルーツを持つ先祖の本家が北海道苫小牧市にあり、約140年の歴史があるといいます。
「記憶があるうちに、伝えるべきものを未来の子孫たちに伝えていくことが大切。記憶と記録という部分ですごくいいサービスだと思いました」(サービス利用を検討している西東俊さん)
家とともに残していく、家族の記憶と歩んできた時間。
サービスを通して未来へつなぎたい、畠山さんが込めた思いとは…。
「普段会えない人、たとえば遠く離れた親戚や祖父母のことを、少し思ってほしい。毎日ではなくても、思い出すきっかけになれば」(畠山さん)
