九州新幹線などの交通ネットワークが寸断された影響で、鹿児島県内の観光業に深刻な打撃が広がっている。7月28日に発生した熊本地震により、県内の宿泊施設では延べ11万人以上のキャンセルが発生。塩田知事は8月19日、国に対して緊急支援を要望した。一方、JR九州は同日の会見で「来週には再開のめどをお知らせしたい」と前向きな姿勢を示した。
鹿児島を直撃した「遠い地震」の余波
熊本地震は7月28日に発生した。震源地は熊本だが、その影響は鹿児島にまで及んでいる。九州自動車道は8月14日まで通行止めとなり、九州新幹線は現在も新水俣〜熊本間で運転見合わせが続いている。

交通ネットワークが寸断されたことで、鹿児島を訪れる観光客の足が止まった。県によると、8月7日までに県内の宿泊施設で発生したキャンセルは、延べ11万人以上にのぼる。夏の観光シーズンを直撃した形で、地域経済への影響は深刻だ。
塩田知事、国に緊急要望「宿泊割引のような支援を」
こうした状況を受け、塩田知事は8月19日、国土交通省や観光庁を訪れ、緊急要望を行った。要望の内容は大きく二つ。交通・物流ネットワークの早期復旧と、人の流れへの影響を踏まえた観光や地域資源への支援だ。
塩田知事は会見でこう語った。「これまでの大きな災害の時に国がやっていた宿泊割引のような支援など、いろんな制度設計があるので検討してもらえたらありがたい」。過去の災害時に講じられた支援策を念頭に置きながら、具体的な経済対策の検討を国に求めた形だ。
11万人超というキャンセル数は、単なる統計ではない。それは県内各地の宿泊施設、飲食店、観光スポットが失った売上であり、そこで働く人々の生活に直結する数字である。地震の震源から離れた鹿児島でも、その余波は地域コミュニティの隅々まで届いている。
JR九州「来週には目標時期をお知らせしたい」
観光関係者が固唾をのんで見守るのが、九州新幹線の運転再開だ。JR九州の古宮洋二社長は8月19日の会見で、来週中に再開のめどを明らかにする考えを示した。
JR九州によると、熊本地震では八代市内にある九州新幹線の高架橋で柱が40センチ程度動くなど、橋やレールなど約900カ所で被害が確認されている。現在は安全に関する最終判断を行っている段階だという。
古宮社長は「鹿児島の宿泊の方も、当然熊本も九州の宿泊者、観光客が非常に落ちている。安全を確保するということが大前提。そこを見ながら一日でも早く復旧させたい」と述べた。また、「開通の幅が出るかもしれませんけど、ある程度のところで来週には『この時期を目標に』とお知らせしたい」とも語り、具体的なスケジュールの公表に前向きな姿勢を見せた。

安全確認を最優先としながらも、一日も早い復旧を目指すJR九州の姿勢は、鹿児島をはじめ九州各地の観光関係者にとって、一筋の光明となっている。
復旧への期待と、地域が抱える課題
九州新幹線の再開と、国による観光支援策の実施。この二つが実現すれば、鹿児島県内の観光業は回復への足がかりをつかむことができる。塩田知事の緊急要望とJR九州の前向きな発言は、その期待を高めるものだ。
来週に示されるとされるJR九州の再開目標、そして国の支援策の行方。地域経済の回復に向けた動きが、今まさに動き始めている。
【動画で見る▶熊本地震で延べ11万人の宿泊キャンセル 塩田知事が国に支援要望】 【動画で見る▶一部不通の九州新幹線どうなる? JR九州「再開のめど来週示す」】

