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2026年、株式会社はくばくの主力商品の一つである『水出しでおいしい麦茶』が発売20周年を迎えます。
今でこそ年間売上はシリーズ累計5.9億円※を突破し、競合ひしめく麦茶市場で株式会社はくばくを「業界2位」の座に押し上げるのに貢献したこの商品ですが、その誕生は決して華やかなものではありませんでした。
2005年、社内の中期経営計画で突きつけられたのは「麦茶事業は今後減少していく」という厳しい予測と、赤字という現実。
当時のマーケティング担当・松本あかねが抱いたのは、「本当に麦茶は縮小していくのか?」という一筋の反骨心でした。これは、一人の担当者の「自分が本当に毎日飲みたいものを作りたい」という純粋な想いが、市場の常識を塗り替えていった物語です。
※はくばく実績2025/4/1-2026/3/31
■「煮出しはおいしいけど面倒」というジレンマへの挑戦
時計の針を2005年に戻します。当時、はくばくでは先行商品として煮だし専用のプレミアム麦茶「丸粒麦茶」がヒットしていました。しかし、松本自身、ある抵抗を感じていました。
「煮出すのは美味しいけれど、毎日使い続けるには手間がかかる。かといって、安価な水出しの徳用麦茶では味の満足度が低く、正直買いたいと思えなかった」
「手軽な水出しで、あの煮出しに匹敵する美味しさを届けられないか」
ターゲットは自分自身が「買いたい・毎日使い続けたい」と思える品質。プロジェクトは、既存の「徳用麦茶」のロジックの「逆張り」の策から始まりました。
■「黄金色の麦茶」というギャンブル。常識を捨てて辿り着いた究極の焙煎
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水出しで煮出しの丸粒麦茶に匹敵する香りや味を出すために、当時の開発担当者は数十回以上の試作を実施。焙煎程度や粉砕、1つのティーバッグに入れる麦の量まですべて1から検討しなおしました。
「粉砕が粗すぎると水出し抽出で色が出ず、細かすぎると雑味が出てしまう。ティーバッグの内容量も多いに越したことはないけど、包装できない・抽出効率が悪いなどの課題があり、少なすぎると香りも甘味も色もでない。」
これらのバランスをすべて満たす焙煎・粉砕程度・内容量を決めていくのは至難の業でしたが。しかし、諦めずに試作を重ねた結果、二条大麦よりも香りが出やすい国産の六条大麦にするなど使用する原料品種・産地まで指定し、通常より浅く焼き、粗く挽くこと、さらに一般的な麦茶が1パック7〜10gであるのに対し、当時では珍しいテトラ型のティーバックに贅沢に20gの大麦を詰めることで納得の行く品質を作り上げました。
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(写真左:通常の徳用麦茶ティーバッグとその中身、右:水出しでおいしい麦茶テトラパックとその中身)
「浅く焼けばポップコーンのような香ばしい香りと甘みが出ることは分かっていました。しかし、色はこれまでの麦茶とは全く違う、薄い黄金色になります。お客様に『薄い』『色が出ていない』とクレームになるのではないか……。社内でも不安の声はありましたが、香りと甘みを優先し、あえてパッケージに“黄金色の麦茶”と表記することで他とは違う麦茶だということをアピールしました。」
■「一口飲めばわかる」——マネキン販売から始まった快進撃
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2006年の発売当初、年間売上は1,000万円と予測されていました。広告宣伝費もほとんどない中、松本が信じたのは「味の力」でした。「一口飲んでもらえれば、ファンになってもらえる」。その確信のもと、地道なマネキン販売(試飲販売)を徹底。松本自ら商談に同行し、その価値を訴え続けました。結果、大手チェーンでの導入が決定。「はくばくの水出しは違う」という口コミが広がり、じわじわと、しかし確実にファンを増やしていきました。
■2018年、水出しを「主役」へ。ブランドの再定義
発売から12年が経過した2018年。煮出し文化が縮小する中、はくばくは大きな決断を下します。これまで「丸粒麦茶」の影に隠れていた「水出しでおいしい麦茶」を、はくばく麦茶ブランドのメインへ引き上げるリニューアルを実施したのです。
「中身の美味しさは完成されていた。足りなかったのは、その『贅沢さ』がお客様に伝わっていないこと。」
そこでパッケージを高級感のあるマットな質感へ変更。売り場でも目立つ明るいデザインを採用し、裏面には、これまで抽出方法など事務的だった説明に代わり、粗挽き・低焙煎へのこだわりを視覚的に伝えるコンテンツを追加しました。
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(左:旧デザインパッケージ、右:新デザインパッケージ)
営業とマーケティングが一丸となって「煮出し商品は丸粒麦茶、水出し商品は水出しでおいしい麦茶をプレミアムラインに」とブランドを再定義した結果、リニューアル初年度で売上は1.5倍へと急成長を遂げました。
■「香り」よりも「甘みとコク」。20年で見えた真実
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発売から20年。かつて「縮小する」と言われた麦茶事業は、今やはくばくを支える強固な柱となりました。
「年間売上1,000万円」の予測から始まり、2025年度にはシリーズ全体で5.9億円を突破。現在では、丸粒麦茶・水出しでおいしい麦茶を筆頭に、水出しでおいしい麦茶マイボトル用、こども喜ぶ麦茶、苦くなりにくい麦茶など、香りや甘みが強く、子供から大人まで、家族で飲みやすい商品のラインナップを増やしています。業界2位というポジションは、生活者目線での妥協を許さない開発の執念と、それを支えた全社員の想いの結実です。
「水出しでおいしい麦茶」の20年は、まだ通過点に過ぎません。これからもはくばくは、穀物の可能性を信じ、日常の食卓に「本物の美味しさ」を届け続けます。
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