議長ポストをめぐる“金銭授受疑惑”で揺れる福岡県議会。
「県議会のドン」とも呼ばれる蔵内勇夫議長に対し、吉松源昭県議が臨時議会で議長職の「辞職勧告決議案」を提出。
きょう=17日に採決される見通しでしたが、採決しないように求める「動議」が出て、採決が見送られることになりました。
関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」には、元大阪府知事の橋下徹氏が出演。
橋下氏は「政治的アピールが強い。本気でやるなら“解任決議”を突きつけるべきだ」と見解を示しました。
■「辞職勧告」と「解任決議」 何が違う?
今回、吉松県議が提出したのは「議長職の辞職勧告決議案」であり、可決されたからといって、議長や県議会議員を辞めなければいけないわけではありません、
橋下氏はこの点について、まず制度的な違いを明確に説明しました。
【橋下徹氏】「辞職勧告決議は法的拘束力がない。本人が拒否すれば辞めなくていい」
一方、解任決議は異なります。
【橋下徹氏】「議長は議会の過半数で選ばれる。裏返すと、過半数で解任もできる。法的拘束力が出るんです」
そのうえで、「過半数が必要なのはどちらも同じなら、本気でやるなら解任決議を突きつければいい」と語りました。
■辞職勧告の主な理由は…
吉松県議が提出した辞職勧告決議案の主な理由は以下の通りです。
・高額な海外活動を公費で繰り返した
・本会議に出席している時間が少ない
・熊本地震の直後に「ネパールは天国だった」と発言した
・議長ポストをめぐる金銭授受の疑惑 など
吉松県議は「県議1人1人が態度を明確にするべき。『蔵内議長が怖い』で終わらせてはいけない」と話しています。
これに対し蔵内議長は、「(金銭授受疑惑は)一方的な報道で、まだ何の結論も出ていない。そういう中で決議案が出るというのはいかがなものか。もうこれ政局ですね」と反発。
第三者委員会での調査に全面協力する意向を示しています。
■金銭授受は「理由にできない」と橋下氏
橋下氏は、金銭授受疑惑を辞職勧告の「根拠」とすることには慎重な立場をとります。
【橋下徹氏】「金銭の授受があったことを理由とした解任決議や辞職勧告決議はできない。蔵内さんはまだ否定しているわけですから」
ただし、辞職勧告の理由がないわけではないとも語ります。
【橋下徹氏】「法律違反かどうかではなく、『これだけ福岡県議会を混乱させ、信用を落としている』という理由で、とりあえず辞めてほしいというのはアリだと思う」
蔵内議長が議長にふさわしいかどうかは、法的判断ではなく「総合判断」だと位置づけました。
■斎藤知事「パワハラ・おねだり疑惑」との共通点は?
さらに、過去の兵庫県・斎藤元彦知事の“おねだり・パワハラ疑惑”事例を引き合いに出し、事実に基づく論拠の重要性を強調しました。
【橋下徹氏】「斎藤知事のときも、おねだりやパワハラはまだはっきりしていなかった。だが『告発者を探した』という事実は明らかになっていた。だからそこを理由に不信任決議とすべきだったのに、兵庫県議会は事実関係がよく分からないまま、混乱したというだけで不信任をやってしまった」
■起立採決に恐怖?「それくらいやれっちゅうの」と橋下氏
採決の行方を左右するのが、最大会派・自民党県議団の動向です。
自民党県議団が単独で過半数に届かない中、公明党は全会一致で賛成の方針、民主県政県議団は自主投票、自民党県議団は若手から「自主投票にしてほしい」という声が上がるなど、方針が固まっていない状態でした。
「起立採決」という採決形式も問題を複雑にしています。「ドン」と呼ばれる蔵内議長の目に、賛否の態度が直接さらされるためです。
橋下氏はこの点について、「誰のために政治をやっているか、最後は有権者のためじゃないですか。有権者にしっかり示したらいい」と断言しました。
【橋下徹氏】「それくらいやれっちゅうの、地方議員。何のために税金もらって政治やってるんだと。県議会の議員がこのまま蔵内さんをトップに居続けてもらうのか、後退するのかは県議の判断」
■「”ワンヘルス”という冠をつけて明確な基準なく…」議長肝入りの政策を見直しへ
今回の臨時議会では、蔵内議長が主導してきた「ワンヘルス政策」についても議論されています。
「ワンヘルス政策」とは、人・動物の健康と環境を包括的に捉え、人獣共通感染症対策などに取り組むもので、県での関連予算は、今年度までの5年間で58億円に上ります。「ワンヘルス政策」については、高市総理も「取組を推進する」と発言しています。
蔵内議長の地元・筑後市に設置された「ワンヘルス・カーボン・ゲート」は、ゲートのみの費用が約3億円。
乗馬体験を目玉とした「ワンヘルス・パーク」は利用客が1日平均1人のまま赤字で1年で閉園しました(2023年)。
さらに、みやま市で建設中の「ワンヘルスセンタ」ーは費用が約200億円に上ります。
服部誠太郎知事は新規事業の凍結を明言し、「”ワンヘルス”という冠をつけて、明確な基準なく、関連予算として整理してきたワンヘルス政策を、根底から見直す」と表明。
蔵内議長は早期再開を求めており、知事と議長の意見は真っ向から対立しています。
■「国民は厳しく見ていかなきゃいけない」
橋下氏はワンヘルスという政策の大きな方向性については「蔵内さんの政治力で”ワンヘルス”という言葉を、総理にまで言わせるのは、なかなか大変。それはやはり評価できる部分もある」と述べました。
しかしその一方で、個別事業については「全部、議会がオッケーしてきた。議会がちゃんとやれと言いたい」と強調しました。
さらに、「国土強靭化も、地方創生も、名前が付けばなんでも予算が付いていった。全国の政治・行政みんなこんなのだから、国民は厳しく見ていかなきゃいけない」と語り、問題が福岡だけにとどまらないことを指摘しました。
注目された議長の辞職決議案でしたが、17日午後5時前に“金銭授受疑惑”を告発した吉松議員が決議案を提案したものの、自民党県議団の議員から“辞職勧告決議案を採決しないよう”求める動機が出されました。
この動議に関する採決が賛成多数で可決され、蔵内議長の議長職をめぐる辞職勧告決議案の採決は見送られることになりました。
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2026年8月17日放送)
