「児童生徒等に対してわいせつ行為を繰り返す者が、二度と教壇に立つことが出来ないようにしたいという想いは全く同じ」

今月13日国会では再びわいせつ教師問題が取り上げられ、萩生田文科相は教員免許法改正への自分の決意が「いささかもぶれていないし変わらない」と強調した。

萩生田文部科学相
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萩生田文科相に対して舌鋒鋭く質問したのは、元文科副大臣で公明党の浮島智子議員だ。

「ポストコロナの学びのニューノーマル」第22回では、わいせつ教師排除の急先鋒でキーパーソンである浮島氏に、今後の法整備や体制のあり方について聞いた。

わいせつ教師の職業選択の自由が法改正の壁に

13日の文科委員会で浮島氏は、萩生田文科相に「教員免許法改正案を国会に提出することに難色を示している方がいるのか」と質問した。それに対して萩生田氏は「内閣法制局との調整に時間がかかっている」としたうえで、「日本の法システムの中で、わいせつ教員だけが二度と教壇に立てない仕組みがどうやったらできるのか頭を痛めている」と説明した。

浮島智子元文科副大臣「誰が法改正に難色を示しているのか」と質問

そして18日、浮島氏の事務所で筆者はあらためて教員免許法改正への意欲を訊ねた。

浮島氏は「とにかく子どもたちは守らないといけないですから。わいせつ行為を1回でもした人は二度と教壇に立たせない。それは基本のキです」としたうえで、内閣法制局の主張について「一度の過ちでその人の職業選択の自由を制限することは難しいという議論は一見もっともらしく聞こえますが、子どもの精神や身体の自由とわいせつ教師の職業選択の自由のどちらを優先させるべきか言うまでもないことです」と一蹴した。

小児性愛や性依存症は教壇に立つ前に完治が必要

そのうえで浮島氏は、「わいせつ行為を繰り返し、小児性愛障害や性依存症の可能性が高い教師は、病気として位置づけて継続した支援と回復が必要です」と強調した。

「たとえば自動車運転免許は、医師の診断の結果、認知症とされると免許は取り消しか停止になります。アルコール依存症の人がバーで働いていたら耐えられないでしょう。教員免許制度においては、こうした教師本人にとっても二度と教壇に立てないような仕組みにするべきです」

その仕組みとして浮島氏は、「教員免許法に規定として『文科大臣は再び児童生徒などへのわいせつ行為を行うことはないとの合理的な判断を行うことができる場合のみ、免許の再交付が出来る』とすれば、医学的な確証がなければ再交付できなくなります」と語る。

つまり医学的に“完治”したことを示せない限り、その教師は教員免許を交付されず教壇に立つことは不可能になる。

「医学的な確証がなければ再交付できない法改正を」と浮島氏

各自治体がわいせつ教師対策をスタート

ではそもそも小児性愛や性依存症の可能性が高い者を、採用しないようにするにはどうしたらいいのか?

「まずは教育委員会の担当者や学校の管理職が、この問題をしっかりと重く受け取ることが重要です。教育委員会によっては医師や臨床心理士と連携してメンタルテストを試行しているところもありますが、こうした取り組みを充実させるためには医学研究や心理学、カウンセラーの知見をふまえることも必要です」(浮島氏)

浮島氏によると、各自治体の教育委員会は対策をスタートしている。

埼玉県ではSNSによる教師と生徒のトラブルを防ぐため、昨年11月に教師の行動指針として「SNSで私的なやりとりはしない」「児童生徒と交際してはならない」「同僚教師がおかしいと思ったら管理職や県の窓口に伝える」と出した。

「わいせつ行動等根絶 行動指針」(埼玉県)

また、長野県では全教職員を小グループに分け、ワークショップ形式で具体的な事例について話し合う場を設けるなど意識改革を進めており、神奈川県では県立高校の生徒に対してわいせつ行為の被害の有無などアンケートを行い、学校が回収せず直接県教委に郵送するようにしているという。またこの取り組みは来年度大阪府も実施することになっているそうだ。

教員免許法改正の進展がなかなか見えない中、文科省は9月に官報情報検索ツールの閲覧可能な期間を現在の3年から40年に延長することを決めた。

しかしこれについても「わいせつ行為による懲戒処分」との記載が無いため、浮島氏は「対策としては十分ではない」という。

「わいせつ教師が教員免許を持っている限り、学習塾や学童保育などに優先的に採用されてしまいます。この対策では防ぐことができません」

多様な人材確保のためにもわいせつ教師排除を

いま学校や教師に求められる役割が大きく変わろうとしている中、政府の教育再生実行会議では、これまでの教育学部や教職課程にのみ閉じた教員免許制度を抜本的に改めるべきだとしている。

つまり多様な人材、たとえば理工系の学位取得者、海外勤務の経験者、指導法を修めたアスリートやアーティスト、発達障がいに関する専門家、AIやプログラミングの専門家らにも教壇に立ってもらうための「オープンな教員免許制度」の創設だ。

もちろん教壇に立つにあたっては、学校の社会的機能、認知科学、発達心理学など必要な学びを修めることが求められる。

「多様な人材が教員になってもらうためにもわいせつ教師が教壇に立てない仕組みが不可欠」

浮島氏は、様々な専門性を持った人材が教壇に立つ仕組みへの期待を示しつつ、「その実現のためにも、わいせつ教員を二度と教壇に立たせない法改正が必要だ」と主張する。

「現在、ICTやスポーツ、発達障がいなどの専門性を持った人も教員として教壇に立てるように教員免許制度を抜本的に変えるべきという議論も行われています。このような改革は今後の少人数学級の実現のためにも大事ですから大いに期待しています。しかしより多くの方々に教壇に立ってもらえるようにするためにも、わいせつ目的で教員になろうとする人は教壇に立てない仕組みが不可欠です。だからいまからしっかり“ピン留め”をしておかないといけないのです」

わいせつ教師を二度と教壇に立たせない法改正を

最後に浮島氏は筆者にこう語った。

「文科副大臣になるずっと前から、こうした問題を様々な場で聞いていました。学生から『他人に言えない』と訴えられたこともあります。いままでわいせつ教師の問題はクローズアップされたことがありませんでしたが、いま保護者や関係者の関心は高く、絶対許してはいけないと言っています。子どもを守るのは私たちの使命です」

国会で浮島氏は、萩生田氏に「大臣も事務方に任せるのではなく、引き続き先頭に立って取り組み頂くように再度お願いしたい」と檄を飛ばした。

わいせつ教師を二度と教壇に立たせない法改正案を次期国会に提出することが、子どもと保護者の願いであるのを文科省は肝に銘じて頂きたい。

浮島氏「子どもを守るのは私たちの使命です」

【執筆:フジテレビ 解説委員 鈴木款】