熊本地震が発生してすぐに支援に向かったのが、新潟港・空港整備事務所に所属する「大型浚渫船 白山」だ。大型浚渫船とはどのような船なのか?月曜日から金曜日まで岸壁に着くことなく稼働を続ける白山の一日に密着。新潟港の安全を守る“眠らない船”「白山」の舞台裏を取材した。

■「浚渫」で新潟港の安全を守る

白山が運用されているのは、信濃川の河口に位置する新潟港。

この場所には川の流れに乗って絶えず土砂が流れ込み、放置すれば港の水深が浅くなり、大型船が安全に出入りできなくなってしまう。そのため、港付近にたまった土砂を取り除く「浚渫(しゅんせつ)」作業が欠かせない。

その重要な役割を担っているのが、大型浚渫船「白山」だ。


船体の左右に備えられた赤いパイプ状の装備は、白山を象徴する特徴的な外観でもある。この装備を海底へ下ろし、船を前進させながら土砂を吸い上げていく。


1回の作業で船内にため込む土砂の量は、10トントラック約190台分。船体が満載になると、白山は港から約5キロ沖合の海上へ向かい、環境省が指定した海域で土砂を排出する。

土砂を吸い上げ、運び、排出する。この一連のサイクルを5日間、昼夜を問わず繰り返しながら、新潟港の安全な航路を守り続けている。

■GPSと海底データを駆使し巨大船をコントロール

浚渫作業は、海底データとGPSなどを駆使し、船長が細かな指示を出しながら進められる。

この日、舵を握っていたのは、海洋高校を卒業したばかりの新人乗組員だった。

「ちょっと舵を切っただけじゃ曲がらないですし、逆に舵を取りすぎると、船長のオーダーを行き過ぎてしまったりもするので、調整が難しい」と話す。


■船上で過ごす5日間 乗組員の生活

乗組員たちは5日間、船で過ごすため、それぞれに個室が割り当てられ、風呂や洗濯室も完備されている。

夜中に作業が入ることもある生活リズムについて、乗組員は「昼間、頑張って寝るしかないです」と笑う。

そんな閉ざされた空間での大きな楽しみが食事だ。一日あたり決まった予算があり、予算内で調理専門の乗組員が腕を振るう。


「娯楽の一つが食事でもあるので、バラエティ豊かに作っている」と調理担当は話す。
この日のメインメニューはヒラメのムニエルだった。


「毎回おいしい食事を食べられるのがうれしい」と、乗組員の表情も自然とほころぶ。

■浚渫だけじゃない 災害時・油回収にも対応

白山の役割は、浚渫作業だけにとどまらない。

災害時には「災害派遣」として活動し、被災者に船内の浴場を開放する支援も行ってきた。

地震発生を想定した支援物資輸送訓練も行っている。そのような場面で、白山のような大型船が果たす役割は大きい。

さらに、過去に日本海で発生したナホトカ号重油流出事故を教訓として、白山には油回収機能も備えられている。

新潟港の白山、名古屋港、北九州港に配備された3隻の大型油回収船により、本州では24時間以内、北海道でも48時間以内に回収作業を開始できる体制が整えられている。

■夜間こそ本番 暗闇でも続く浚渫作業

日が暮れると、白山はさらに活発になる。

船の出入りが減る夜間は、浚渫を集中的に行える時間帯だ。操舵室の照明を落とし、暗い水面の安全を慎重に確認しながら船を進める。

モニターに映し出された水深データを頼りに、浚渫したい場所へと船を向けていく。

■「新潟港の機能を止めない」

やがて空が白み始め、日の出とともに国旗が掲揚される。

「我々の仕事をしない限りは、港の機能が止まってしまう。それを止めないために、しっかりやっていきたい」と船長は話す。

眠らない船の長い1日は、今日も続いている。

NST新潟総合テレビ
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