福岡県議会の正・副議長を巡る金銭授受疑惑とは別の問題が、いま福岡の街で物議を醸している。
「ネパールは天国だった」
8月5日、直近まで獣医師会の業務でネパールに滞在していた蔵内勇夫・福岡県議会議長(72)。帰国後、記者団に囲まれた蔵内議長は「ネパールは天国だった」と述べた。

日本では熊本地震の影響で多くの人が避難生活を余儀なくされているなかで「被災地への配慮を欠いた発言」と批判の声が上がっている。

「ちょっと信じられない。すぐ目の前に地獄のような地域があるのに…、熊本は」と眉を顰める女性や「とんでもない発言だと思います。ひどいなと思います。早く辞任してほしい」と憤る女性。更に「その立場にいるべき人ではない」と憤慨する男性など、街の声は怒りで溢れていた。

自民党県議団の若手県議にも、有権者から怒りの声が寄せられているという。「(自分の)地元がすごく怒っている。『蔵内さんとつるむなら応援しない』と言われた。頭を抱えている」(或る若手議員)。

県民から厳しい目を向けられている蔵内議長。お膝元である筑後市でもいま“反旗の芽”が現れた。

『蔵内王国』で起きている異変
「地域のマイナスになってしまっているということは、、政治家としてあってはならない姿ではないのかな。地域を繋げようとすると『でもね』という声がある。私はそれがなんでだろう、おかしいんじゃないのかなと素直に思った。紐解いていくとやはり、ここには政治の圧力があるなということを感じました」。

ここには政治の圧力があるー。そう口にしたのは、2027年春に予定されている県議会議員選挙に筑後市選挙区での立候補を表明した牛島慶二郎氏(49・無所属)だ。牛島氏は7月28日、記者会見を開いた。
筑後市は、県議会の重鎮で議長を務める蔵内議長の選挙区だ。

牛島氏の父、巌氏は1983年の選挙で新人の蔵内氏を破った元県議だった。蔵内氏は、その4年後に初当選し、以降7回の無投票を含む現在10期目を務めている。

蔵内議長は、次の選挙について態度を明らかにしていないが、牛島氏の立候補によって実に40年振りとなる両家の構図に、地元では“因縁の対決”と関心が集まっている。

筑後市選挙区は前回20年振りの選挙戦となり、蔵内氏に挑んだ対抗馬の支持層は、いまも残っていて牛島氏の立候補でこの“反蔵内”の勢力が再び結集する見通しとなっている。

公金支出全容解明求める意見書・筑後市
蔵内議長の”お膝元”で起きている異変は選挙だけにとどまらない。
筑後市議会は県に対し、高額な海外視察の公金支出について全容解明を求める意見書を全会一致で可決した。

筑後市議会の弥吉治一郎・議長は「福岡県政はもう地に落ちている。落ちすぎて地に潜っているんじゃなかろうかと思う。まともにこれを機にしていただかんといかん」と苦言を呈した。

地方自治法上、意見書の提出先は服部誠太郎・福岡県知事(71)宛になっているが、弥吉議長は金銭授受疑惑など、いまの県議会のあり方についても『おかしい』と強調する。地元議会の議長として良好な関係を築いてきたという蔵内議長に対しても、不信感を募らせる。

筑後市議会の意見書に対し蔵内議長は「県内地方議会をリードする立場として厳粛に受け止めている」とコメントしている。

揺れる“ワンヘルスのまち”・みやま市
更に同じ筑後地域のみやま市議会では、県と県議会の海外視察を巡る問題の全容解明に加え、蔵内議長が提唱し県が推進してきた『ワンヘルス』について、その政策の検証を求める意見書を全会一致で可決した。

みやま市は、県が約200億円をかけて整備している『ワンヘルスセンター』の建設地を無償で譲渡している。“ワンヘルスのまち”として、教育をはじめ、先進的に取り組みを続けてきた自治体だ。

みやま市議会の牛嶋利三・議長は「県に賛同しますよということで、7億かけた土地を無償で譲渡している。地域の皆さんは余計に不安を感じている。県にはピシッとやってもらって軌道修正しながら進めてほしい」と不満を口にする。

また牛嶋議長は「これだけ福岡県は恥を曝す問題になっているのだから、議長は自ら襟を正して欲しい。私たちはその下にいる市町村議会議員。ああいう県議会が上にいたら恥。すぐ隣りの町の議長だけど」と県執行部だけでなく県議会に対しても強い不満を露わにした。

重鎮の足元で起きた“異変”は、周辺の自治体へと広がり続けている。
(テレビ西日本)

