福岡県議会や県執行部による高額な海外活動や、県職員の「部課長会」によるパーティー券問題で揺れる中、服部誠太郎知事が7日、TNCの単独インタビューに応じました。

その内容を前編と後編にわけてお伝えします。

前編は、金銭授受疑惑などさまざまな問題が起きている県議会との今後の関係についてです。

知事はインタビュー中に黙考の末、「蔵内議長への忖度を生むような関係を一切断つ」と述べ、事実上の決別を宣言しました。

聞き手は「報道ワイド 記者のチカラ」の川崎健太キャスターです。

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「悪しき慣習と決別し、県議会との対等な関係築く」

川崎健太キャスター(以下、川崎):
まずは県庁と県議会をめぐる一連の問題の現状をどう受け止めているか。

服部誠太郎知事(以下、知事):
県民の皆様の県政に対する信頼を大きく損ねてしまったということに対して大変重く受け止めております。知事として本当に深く反省し、誠に申し訳なく思っております。今回の問題は偶発的なものではなく、やはり数十年前から長きにわたって続いてきたものです。こういったことが今回明らかにならず、改められずにずっとこれからも続いていくとしたらこれこそが大きな問題であり危機であると思っております。これを契機に根こそぎ洗い出して、正しくして、新しい福岡県政をつくっていかなければいけないと思っております。

私自身、県職員から副知事、知事と長きにわたって県政の中にあって、変えてこられなかったことに深く反省し、本当におわびを申し上げなければいけない。だからこそ今この悪しき慣習と決別して、正しい福岡の県政のあり方、県議会との対等な関係を築いて、皆さまのための県政を進めていくことが私の責任だと思っております。

川崎:
県政に対する信頼度の低下も含め、県政史上最大の危機とも言えるが。

知事:
長きにわたってずっと蓄積されてきた曲がった意識、誤った意識、その中から形成されたいびつな関係からいろいろな問題が端を発していると思います。これがさまざまな面で出てきて、県民の皆さんの目から見て「一体何をやっているんだ」と思われるようなことになっている。県政は県民の皆さまからの信頼が土台ですから、これが揺らぐという状況は本当に大きな危機だと思っております。

川崎:
知事を含めた県の執行部と県議会の関係については、知事はこれまでの会見で「忖度があった」と認めている。知事としても議会に対して忖度はあったか。

「議員と職員の間にいびつな関係が形成された」

知事:
数十年前、当時の知事が少数与党の時代がありました。そのとき本当にこの議案を通し政策を進めようと、先輩の皆さん方が議会対応を困難を極める状況があった。そういう中で徐々に議員と職員との間に上下関係のような意識が生まれ、そしていびつな関係が形成され、馴れ合いとか忖度と言われるものが起きてきた。私もさまざまな業務に従事してきました。いろいろな場面の中で何を忖度と呼ぶかというと難しいですが、議会対応という中で今、県民の皆さまが首をかしげるようなことがあったと思っており、私自身深く反省しています。

また、今、私は県政のトップにあります。このトップとして考えたときもっと早く、もっと踏み込んで変えられなかったのかと強く反省をしており、今、本当に徹底的に改革を行っていかなければいけないと考えております。

川崎:
8月7日の知事会見でも「これまで職員が議会との関係を損なわないようにという意識が働いていた」という話していたが、それは知事も含めてそういう意識があったということか。

知事:
二元代表制では議会において議案を諮り、予算も諮るということが非常に重要です。議会との関係を円満にしていこうという意識は県職員みんなが持っていたものだと思います。私もその中の一員であったと思います。そういう中から、やはり忖度や馴れ合いとかそういうふうに見なされるようなことが起こってきたと思っており、本当にここでそういう意識を変え、行動を変えていかなければいけないと思っています。

川崎:
知事は県職員時代に財政課長も務め、執行部の幹部だった。議会への忖度文化を生んでしまった責任が自身にもあると考えているか。

知事:
職員のとき財政課長という非常に議会との向き合いも多いポストにもいたので、その中でさまざまな対応をしてきました。忖度文化を生んできたのかと言われると分かりませんが、議会との対応を円滑にして、我々の政策を進めていこうという思いは強く持っておりましたので、そういう中で県民の皆さんから見て、首をかしげるようなことがあったことは認めざるを得ないと思っております。

「議会の対応をもう待てない」発言の真意

川崎:
知事は、県議会の海外視察についても県執行部の第三者委員会で合わせて調査すると表明した。その際「議会の対応をもう待てない」とかなり踏み込んだ発言をしたが、それは蔵内議長体制との決別宣言ということか。

知事:
県議会の海外活動経費については、議会というのは我々から独立した審議機関なので自律的に経費の調査をどうするのかを考えていただくべきであると思っておりました。しかしなかなか動きが見られない。一方で我々はそれ以前に執行部の海外活動経費は第三者委員会で諮るということにしていたので、どこまでを対象にするのか弁護士会とも契約を結ばなければなりません。こういうこともあって、「もう待てない」と申し上げたわけです。

「決別」というのは議会というか蔵内さんとの関係というか、そういうことをおっしゃっているんだと思いますが、私は別に蔵内さんに従属しているわけでもなく、これまでの県政運営の上で、特定の個人に向き合ってこれを行ってきた意識は持っておりません。私が知事として向き合い、声を聞くのは県民の皆さんであるとずっと思ってます。だから、私は知事になるために知事になったんじゃない、仕事をしたいんだ、と1期目のときから申し上げてきた。「仕事」とは県民の皆さんをど真ん中に置いて、県民のためにより良い県政を進めていく仕事をやりたい、このために寸暇を惜しんでやってきたという思いはあります。これからも県民の皆さまの利益のためであれば、相手が誰であれ、正しいことを行うためには、臆することなく向き合って正しい判断をし行動していく。もうこれしかありません。

川崎:
県民の利益のために、蔵内さんとの関係性を変えていくということか。

知事:
県民の皆さんが真ん中だと1期目からずっと申し上げている。この信念は変わりません。であれば、もう答えはお分かりになると思います。

川崎:
「お分かりになる」という言葉ではなくて、蔵内さんとのこれまでとの関係性は変わっていくのかどうかを聞きたい。

知事:
蔵内さんが今、議長という立場であり、最大会派である自民党の中でも最重鎮でいらっしゃる。そしていろいろな政策提案も非常にしてこられる方でもありました。その意見やアイデアは我々も尊重すべきものはあったと思いますが、県政が蔵内さんのためにあるわけではありません。これはもう言うまでもないことですので、そのような誤解を招くような行動を取るつもりもありませんし、きちんと県議会と県執行部との対等な関係、二元代表制の知事と蔵内さんを含む議会は適正な距離を取って、一線を画して正しい議論をしていくということが必要である。そういうふうにしたいと思っています。

しばしの沈黙の後、知事の答えは

川崎:
県民の利益、そして福岡県政の信頼を取り戻すためこれまでの蔵内議長との関係性を変えていく必要があるという認識か。

知事:
蔵内議長との関係性を変えることが、県民の利益になるということもおっしゃっているんですね。

川崎:
実際そういう県民の声は聞くが。

知事:
蔵内さんの思惑というかいろいろな力のもとで県政がゆがめられているのではないかという疑念を持っていらっしゃる県民の方が多いと思います。そういう疑念があってはならないというよりも、そんなこと自体があってはならないことですので、そういうことがないようにと言いますか、今までも蔵内さんの指図でいろいろな行政を決めてきたという思いもありませんし、これからもそこは変わりませんが、やはり県民の皆さまから見てより公正な県政の進め方というものが分かるようになるというんですかね…。「変えていく」と言うともともとそうだったみたいですが。

川崎:
これまで知事も議会への忖度があったことは認めていて、蔵内議長は県議会の中で大きな役割を果たして実際に力も持って来た方だと思う。その忖度と蔵内議長がリンクするのであれば、それは忖度をなくすということにつながるのではないか。お示しいただきたい。

知事:
どういう言葉が誤解なく、受け止めてもらえるのかなと思ってまして。(その後、しばし黙考)

川崎:
「県議会を含めた悪しき慣習もすべて変えていく、改革する」「忖度もなくしていく」と知事は言っている。県議会のシンボルという意味では議長でもある蔵内さんが大きな存在となっている。その蔵内議長との関係性についても知事は変えるのかどうか。

知事:
今、川崎さんがおっしゃったように県議会の中で最重鎮とも言われる蔵内さんに対する過度な配慮が私も含め執行部の側にあったことは認めざるを得ないと思います。私は県政を変える、根底から根こそぎ変えると申し上げています。その中で当然そのような過度な配慮あるいは忖度と言われるようなものが生じるような関係というものは一切絶っていくと考えています。

川崎:
執行部の高額な海外活動と部課長会のパーティー券購入について知事の政治責任があるかどうかTNCが県民1000人以上に聞いたところ、あわせて8割以上が「政治責任がある」と答えた。今後どういう形で政治的な責任を取るか。


「変わったという結果を県民に実感していただく」

知事:
海外活動の問題、部課長会のパーティー券購入の問題はいずれも第三者委員会で詳しく検証してもらうことになりますが、県民の皆様からのご指摘、ご批判を真正面から真摯に受け止めています。私自身、反省すべきは反省し、数十年来の悪しき慣例慣習に決別をして、地に落ちた県の信頼・信用を取り戻すには血のにじむ努力がいると思います。しかし知事として覚悟を持って徹底的な改革をやってまいります。

特に部課長会の問題は県議会との関係性の中から生じてきた問題です。二元代表制の中での県議会と執行部の正しい関係、しっかり議論ができる関係を築いていかなければいけないと思っています。そして県民の皆さんに「福岡県は変わったな」ということを実感していただけるように全身全霊で取り組んでまいります。今こうやって言葉で申し上げていますが、責任は言葉で取れるものではない、示すものではないと思います。これから1つ1つ取り組んで、変わったという結果を県民の皆さんに実感していただく。それを1つ1つ積み上げていくことが私の責任だと考えています。

川崎:
結果で責任を示すという意味合いだと思うが、もし今後、第三者委員会の調査結果でで不適切な支出であると認められたり、何らか知事の過失のようなものが認められたりした場合は、どういう形で責任を取るのか。

知事:
その内容によってで今、予断をもってお答えできませんが、基本的に例えば海外活動にしても、私は視察というものはすべて排除していろんな事業活動とか会議の出席とかが出張23件すべてですので、その事業、政策の目的は理解していただけると思います。ただ、その中で高額な部屋に泊まったことがあるとかが散見されるところがあり、それに対してご指摘があれば適切な対応を取っていきたいと思います。

川崎:
それも改革によって答えを示すということか。

知事:
たとえば海外の宿泊についてはすでに去年10月から知事あるいは議長といえども一般職員と同等ランクと改めていますし、改めるべきところは見直していますが、今回の調査の結果で返納が必要ということであればきちんと従っていきたいと思っています。

※後編に続く(後日配信予定)。

テレビ西日本
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