2026年7月7日に石川県輪島市に開港した「のと里山 ポケモン・ウィズ・ユー空港」が1カ月を迎えた。この間の来場者数は約9万4000人と、前年同期の約5倍を記録。搭乗率も地震やコロナ禍以前を上回る活況を見せている。その“ポケモン効果”は空港内にとどまらず、スタンプラリーを通じて能登全域に拡大。各地で限定グッズが人気を博し、地域経済を潤している。被災地支援から始まった3年限定プロジェクトの現状と、持続的な賑わいへの展望を取材した。
開港1カ月で来場者5倍、搭乗率も好調

2026年7月7日に開港した「のと里山 ポケモン・ウィズ・ユー空港」。開港から1カ月が経ち、その効果が数字に表れている。石川県によると、この1カ月間の空港来場者数は9万3949人で、去年の同じ時期と比較して約5倍に増加した。

搭乗率も67.6%と、前年同期の53.3%を大きく上回り、地震やコロナ禍以前と比べても高い水準だという。空港内の売店は、開港当初は限定グッズを求める客で180分待ちの行列ができた。1カ月が経過し行列は落ち着いたものの、人気の限定グッズは品切れが続いている。

道の駅のと里山空港売店の酒元美江さんは、開港前の状況を「静かな時間の方が多かったんです。でも今はゼロになっちゃって」と振り返り、客足について「(開港前と比較して)500倍くらいの体感です。ご覧になるお客さんが」と驚きを語る。

この賑わいは、来客だけでなく働き手にも影響を及ぼしている。アルバイトを募集すると、能登地方だけでなく金沢や富山からも応募があるという。酒元さんは「ポケモン好きな方のおかげで今、回っている状態です」と話す。

「世界初」「応援消費」専門家が分析
なぜこれほどの人気を集めているのか。JTB総合研究所の河野まゆ子執行役員は「直近この1カ月の効果としては非常に大きいものだと思います」と評価する。

要因の一つとして挙げるのが、「世界初のポケモン空港であること」の話題性と、「3年間限定」という希少性だ。「いまのうちに無くなってしまうから早めに行こうということが1つ目としてあげられる」と指摘する。

また、限定グッズなどをSNSで発信したり、ファン同士でコミュニケーションしたりしたいという「推し活」のニーズに、ポケモン空港がマッチしていることも大きいという。

さらに3つ目のポイントとして、「能登を応援したいから能登に行こうかというような、競合観光地と比較した場合の強み」を挙げる。夏休みに行き先を検討する際、被災地を応援したいという気持ちが、能登を選ぶ動機になっていると分析している。
スタンプラリーが能登周遊の起爆剤に

“ポケモン効果”は空港の外にも広がっている。その起爆剤となっているのが、開港と同時に始まったポケモンのスタンプラリーだ。能登の7カ所にあるポケモンのマンホール「ポケふた」を巡りながらスタンプを集めると、オリジナルのグッズがもらえる仕組みで、多くの観光客が能登各地を周遊するきっかけになっている。


能登の旅 情報センターの米谷涼子所長は「正直びっくりして、本当にポケモンすごいんだなと思っています。地震や豪雨があってさみしい感じになっている時もあったんですけど、ここに来て能登をまわるきっかけになっていただいていると思います」とその効果を実感している。

実際に遠方から訪れる人も少なくない。広島から車で来たという家族は「できたら全部スタンプラリーを回りたい。能登全体でポケモンで盛り上がっているので、行くところすべてに期待を持ちながら回りたい」と話す。


横浜から新婚旅行で訪れたという夫婦は、前日にポケモンの足湯やのとじま水族館を巡り、スタンプラリーを楽しんだという。「明日はのとめぐりバスでニンフィアの像でハートつくります」と、翌日の予定も楽しそうに語った。


各地で売り切れ続出、経済効果が拡大
スタンプラリーの設置場所となっている施設では、ポケモンとコラボした商品の売れ行きが好調だ。

能登町のやなぎだ植物公園の売店では、谷口朱里さんが「家族連れや大人の方だけの来場だったり、外国人の方も増えたような感覚があります」と客層の変化を語る。

穴水の道の駅では、のと鉄道のポケモンの駅名標をデザインしたアクリルキーホルダーが一番の人気商品だ。のと鉄道の岡田孝総務企画係長は「補充しても補充してもすぐ売れちゃうような状況。空港の開港にあわせてどんどん売り上げが右肩上がりで伸びている」と嬉しい悲鳴を上げる。

スタンプラリーをきっかけに道の駅を訪れ、地元の名産品を購入する人もいる。金沢から来た夫婦は「輪島塗の箸です。以前買ったやつを壊しちゃったので、ついでに買いに来た。輪島に還元したい、町に落としたい」と話し、買い物を通じて地域を応援していた。
今後の展望と“3年後”への課題

夏休みに入り、能登各地で広がりを見せる“ポケモン効果”。今後の展開にも期待が高まる。山野知事は8月8日の会見で、今年12月以降に国内線で就航予定の「ポケモンジェット 青」について言及。「全日空にお伺いしたときに、ぜひお願いしたいと申し上げた。『極めて親和性が高い』という言葉もいただいたので期待したい」と述べた。


また、8月8日には能登町のやなぎだ植物園にポケモンの屋内遊具施設が新たにオープンしたほか、点検で運休していたのと鉄道のポケモンラッピング列車も同日から運行を再開した。
一方で、このプロジェクトは3年間の期間限定だ。専門家の河野氏は、今後の展開について「能登でこういう現地体験をしないとポケモンの何かがゲットできないというような、体験ありきの特典を増やしたり、宿泊や飲食と連動したコンテンツを季節ごとに更新したりすることも有効」と提言する。

現在コラボ企画が行われていない内灘町などからも参加要望が届いており、山野知事は「財団にご理解いただけるものについては進めていくことができれば」と前向きな姿勢を示している。出だしは「こうかはばつぐん」だったポケモン空港。この盛り上がりをいかに継続させ、能登の持続的な活性化につなげていけるか、今後の取り組みが注目される。
(石川テレビ・8月7日放送)
