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現在、全国の小・中・高校、約1,200校で導入されている「フォーサイト手帳」。子どもたちが自ら目標を定め、日々の行動を振り返ることで、主体的に学び、行動する力を育む手帳型教材として活用されています。 

その始まりは2012年。まだ製品と呼べる形ではなく、オフィスのコピー機で印刷し、ホチキスで留めた試作品を先生方に見せながら、意見を聞き、少しずつ形にしていった一冊の手帳でした。そこからフォーサイト手帳は、多くの先生方と対話を重ねながら、子どもたちが自分の毎日と未来に向き合うための教材として育ってきました。 

今回は、フォーサイト手帳の開発に携わり、現在はエデュケーション事業本部の副部長を務める株式会社FCEの中迫泰宏氏に、その歩みを聞きました。あわせて、現在フォーサイト手帳の営業を担当する福村涼華氏にも、学校現場で寄せられる課題や導入後の支援について話を聞きました。 

主体性を育てる手帳を作りたい。学校の先生と二人三脚で挑んだ意識改革 

フォーサイト手帳を展開するFCEの教育事業は、世界的なベストセラー『7つの習慣』の思想をベースにした子ども向け教育プログラムからスタートしました。私立学校や学習塾を中心に提供する中で、子どもたちが自ら考え、行動していく姿を目の当たりにし、この考え方をより多くの子どもたちに届けたいという思いが強くなっていきました。 

中迫氏:子どもの主体性を高めるためには、授業という枠組みを超え、毎日の生活や学習の中に自然と溶け込む「別の形」が必要だと考えました。そこで行き着いたのが、子どもたちが日常的に使う「手帳」でした。 

当時、子ども向けの手帳といえば、連絡帳やお小遣い帳のようなものが中心でした。学習や生活の予定を自分で見通し、行動し、振り返るための手帳は、まだ一般的ではありません。そこでFCEは、手帳を単なるスケジュール管理の道具ではなく、日々の生活の中で主体性を育む教材として設計しようと考えました。 

開発は、学校の先生方との対話から始まりました。先生方に話を聞き、コンセプトを固め、コピー機で印刷した試作品を持ち込み、意見をもらう。その繰り返しの中で、フォーサイト手帳の原型が形になっていきました。 

大きな気づきとなったのが、埼玉県春日部市の女子校で行われた2週間のトライアルでした。生徒たちは定期テストに向け、自ら課題を設定し、手帳を使って学習計画を立てました。その中で、ある生徒の言葉がフォーサイト手帳の核につながっていきます。 

中迫氏:「目標に対して計画を立てた後、うまくいかなかったらどうすればいいのかを、これまで考えたことがなかった」と言われたんです。計画の立て方は教わるけれど、計画通りに進まなかった時にどう修正するかは、あまり教わっていない。そこで、「目標を達成できるように、今の時点で計画を見直すとしたらどうする?」と一緒に考えました。そのやり取りが、「振り返り」の大切さに気づくきっかけになりました。 

「失敗」は悪いことではない。挑戦した証を次の成長につなげる 

開発当初、フォーサイト手帳は「振り返り力向上手帳」という副題を掲げていました。一般的に振り返りというと、「何ができなかったのか」「どう改善すべきか」と反省に偏りがちです。しかしFCEは、振り返りを次の行動につなげるための前向きなプロセスとして位置づけています。 

中迫氏:主体性を高めるためには、自己肯定感や自己効力感が大切です。「自分はできる」「行動すれば成長できる」と感じられること。そのためには、できなかったことだけでなく、まず行動したこと、挑戦したことを認める振り返りが必要です。 

フォーサイト手帳が大切にしているのは、「失敗しないこと」ではありません。まず挑戦した自分を認める。そのうえで、次は何をやってみるかを考える。週ごとの振り返り欄には、「ほめポイント」「さらにポイント」「来週に向けて」という項目が設けられています。 

中迫氏:未達という結果は、チャレンジした行動があったからこそ生まれたものです。だからまずは、その行動を認める。そのうえで、さらに良くするにはどうすればいいかを考える。日々の中で小さな挑戦と振り返りを積み重ねることが、次の成長につながると考えています。 

フォーサイト手帳の特徴の一つが、見開きページのレイアウトです。目標を書く欄が左上に配置され、そこから行動計画、実践、振り返りへと自然に視線が流れる設計になっています。このレイアウトは意匠登録も取得しています。 

中迫氏:目標・テーマからスタートし、その達成のための行動を日々に落とし込む。左上から右回りに記入していくことで、子どもたちが自然にPDCAを回せるように設計しています。きれいに書かせることよりも、日常の中で何度も手帳を開き、振り返りを習慣化することを重視しています。 

今、学校現場で求められている「努力の仕方を学ぶ」ためのツール 

フォーサイト手帳が大切にしてきた「振り返り」の考え方は、いまの学校現場でも必要とされています。一方で、先生方が向き合う課題は、家庭学習の習慣化、自己調整学習、教員の負担軽減など、時代とともに広がっています。現在、フォーサイト手帳の営業を担当する福村涼華氏によると、学校から最も多く寄せられる課題の一つが「家庭学習の習慣化」です。 


ゲームや動画など、子どもたちの時間を奪うコンテンツが増える一方で、学校では「家でも主体的に学習に取り組んでほしい」「学力向上につながる学習習慣を身につけてほしい」というニーズが根強くあります。加えて、この2〜3年で「自己調整学習」「自己調整力」という言葉を学校現場で聞く機会も増えています。 

福村氏:フォーサイトは、手帳をきれいに書かせるためのものではありません。子どもたちが自分の学びをデザインし、なりたい自分や目標に向けて、何が必要か、どう努力すればよいかを学ぶためのトレーニングツールだと伝えています。 

一方で、導入を検討する学校からは「先生の負担が増えないか」「子どもたちが書き続けられるのか」という不安も寄せられます。フォーサイト手帳は、渡せば自然に定着するものではありません。だからこそFCEでは、導入後の活用支援にも力を入れています。 

たとえば2025年からは、生徒向けの5分程度のサポート動画を毎月配信。「目標を立てる意味」「計画の立て方」「振り返りのポイント」「テスト期間の活用」など、時期に合わせたテーマで、先生が短時間で生徒に活用のきっかけを届けられるようにしています。 

福村氏:習慣化で大事なのは、1回やめても再チャレンジすることです。1週間書けなかった、今月はうまく使えなかったとしても、また次の月に「これだけやってみよう」と思えればいい。毎日完璧に書き続けることではなく、1年間の中で仕切り直しながら続けていくことを大切にしています。 

また、全国の児童生徒が自分なりの使い方や成長エピソードを応募する「Myフォーサイトコンテスト」も、活用を広げる取り組みの一つです。応募作品には、忘れ物が減った、家庭学習に取り組めるようになった、スマホ時間を可視化できた、計画を立てることで気持ちに余裕が生まれたなど、日常に根ざした変化が寄せられています。 

子どもたちの成長を支えてきた手帳 

フォーサイト手帳が生まれて10年以上が経った頃から、FCEには、かつて手帳を使っていた卒業生から連絡が届くようになりました。中には、実際に使っていた手帳をオフィスまで持ってきてくれた人もいます。 

中迫氏:中学1年生から高校3年生まで使い続けた6冊のフォーサイト手帳を抱えて、本社を訪ねてくれた方がいました。「今でも大事にしているんです」と、6年間書いてきたことを見せてくれて。「この時は嫌になって書けなかったけれど、またここから始めているんです」と話してくれて、本当に印象に残っています。 

また別の卒業生は、高校時代にフォーサイト手帳を使い、その後、大学在学中に起業。現在は父親の会社を継ぎ、介護事業の新しい取り組みに挑戦しています。「ビジネスで重要なのは、ゴールから逆算して今やるべきことに落とし込むこと。その基礎は高校時代にフォーサイト手帳で身につけた」と話してくれたそうです。 

自分の「好き」や進みたい道を見つけた卒業生もいました。都内の私立中高に通い、6年間、自分の考えを書き続けた生徒です。大学進学が一般的な環境の中で、将来について悩んだ際に、手帳に積み重ねた思考の記録を読み返し、家族や先生と向き合いながら、自分で専門学校への進学を選びました。 

中迫氏:誰かに決められた人生ではなく、自分で決断し、自分で正解にしていく。その主体性を発揮してくれたことが、本当に嬉しかったですね。 

子どもたちの可能性を信じる先生方へ

14年前、コピー機で印刷した試作品から始まったフォーサイト手帳は、学校現場の声を受けながら進化を続けています。現在は紙の手帳に加え、デジタル版も展開しています。

中迫氏:紙には紙の良さがあり、デジタルにはデジタルの良さがあります。デジタルでは、紙面に収まりきらない思いや記録を残すことができます。先生も忙しく、生徒と接点を持つ時間が限られる中で、夏休みなど学校から離れている時期にも、生徒の様子を把握し、声をかけるきっかけになることがあります。

今後はデジタル版の活用に加え、小学校1〜3年生向けの展開も進めています。早い段階から、自分の予定を見通し、行動し、振り返る習慣を育てていくこと。それは、子どもたちがこれからの人生で自分の選択に向き合っていくための土台にもなります。

中迫氏:ぜひ子どもたちの可能性を信じて、日々のチャレンジを応援してあげてほしいと思います。大人たちが想像もしなかった、子どもたちの一面を発見できることがあります。私たちもサポートしますので、先生方と一緒に、子どもたちの挑戦を支えていきたいです。

福村氏:フォーサイトを通じて子どもたちに経験してほしいのは、うまくいったことも、うまくいかなかったことも含めて、自分の力に変えていくことです。不安があっても、まずやってみる。振り返って、次はこうしてみようと考える。その積み重ねが自信になり、もっと大きな挑戦につながっていく。フォーサイトが、その努力の軌跡を支える存在になれたら嬉しいです。

フォーサイト手帳は、単なる予定管理ツールではありません。先生と生徒をつなぎ、生徒自身が自分の毎日と未来に向き合うための教材です。コピー機で印刷された一冊の試作品から始まった挑戦は、先生方との共創を重ねながら、全国の子どもたちの学びと成長を支える取り組みへと広がっています。


※『7つの習慣』及び「7つの習慣J®」はフランクリン・コヴィー・ジャパン社の登録商標です。





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