地震発生からの1週間で明らかになった被害は、人的被害や家屋、インフラへの直接的な被害にとどまりません。
阿蘇地方の名湯が湧く老舗温泉旅館は、夏休みシーズン本番で書き入れ時を迎える中で、旅行客のキャンセルが相次いでいるといいます。
現状での被害額について、地獄温泉「青風荘.」の河津誠社長は「ざっと見ても“4ケタ”以下ではないですね。“4ケタ”以上の損失はあると。(Q. 被害額は数千万円くらい?)そうですね…。
地獄温泉「青風荘.」にある“すずめの湯”は、温泉ファンの間で『奇跡の湯』と呼ばれてきました。
その理由の1つは、その場で湧き出た硫黄温泉に加温も加水もせず、掛け流しで漬かれるという点です。
2019年にここを訪れた「イット!」の安宅晃樹キャスターも、「いい湯加減で!また肌がしっとりとしそうなこの温泉の水質です」と話していました。
そして、もう1つの奇跡は、2016年の地震と大雨で旅館の客室などがほぼ壊滅的な被害を受けた一方で、このすずめの湯は無傷だったということです。
建物も再建、その後のコロナ禍も乗り越えて、逆境からようやく立ち直りつつあった「青風荘.」。
2016年、10年前の熊本地震では温泉、そして宿に大きな損害がありましたが、令和8年熊本地震ではほぼ被害がありません。
ここは同じ熊本県内でも震源からやや離れていて、客室を見ても、今回の地震による被害は見られません。
それでも、風評被害で数千万円分のキャンセルが発生。
この8月は連日予約で満室だったといいますが、河津社長は「(地震後)3日間休んでいる間に、5割ドン(とキャンセルが来た)。12月の予約のキャンセルも来ます。もともと湯治場なので、痛い、苦しい方を支える場所ですからね。そういう思いで頑張ってきたけど、モチベーションを保つのが難しい」と話します。
観光関係の団体などを通じた宿泊状況調査によると、地震発生後、県内の宿泊施設のキャンセル件数は7月31日までで約6万6000人分。
キャンセル料金は9億円に上るといいます。
一方、避難生活が続く住民から上がったのは、自宅を離れることによる、いわゆる“火事場泥棒”が出現することへの不安。
実際に自宅が窃盗の被害に遭ったという人もいました。
家族の持ち物が盗まれた人:
人として信じられないですよね。本当に許せないですよね。
倒壊した家屋の中から盗み出されたのは、家族が使っていたリュックです。
リュックそのものは後日、もともとあった場所からやや離れたところで見つかったといいますが、盗まれた人は「返ってきたときにはこんなふうに開いてたんで。たぶん金目のものがなかったから(犯人は)返したのかなって」と話します。
そんな被害の声を受けてなのでしょうか。
4日、避難所の駐車場の入り口には防犯カメラが設置されました。
住民たちによる自衛の動きも進んでいます。
八代市内では、空き巣被害防止のためか、入り口に有刺鉄線が張られていました。
中には、火事場泥棒が出ないように、避難所に入らず24時間、見守りをする人も。
時計の修理業などを営む男性は、店舗が損壊。
地震以降は家族と離れ、夜も店の目の前に止めた車で寝泊まりをしているといいます。
時計店を営む伊藤実さん:
5分くらいクーラーつけて(消して)寝ると、1時間半くらいで目が覚める、暑くて。それでもう1回(クーラーを)5分くらいつける。それをずっと一晩中くり返した。
電気は2日に開通しましたが、いまだ水道は復旧せず。
蚊にも刺され、今の体調はギリギリだといいます。
時計店を営む伊藤実さん:
なかなか寝付けない…。やっぱりお客さんの時計のことやら(気になって)。とりあえず今やることをやる。だから先は見えない。
<フジネットワーク サザエさん募金> 令和8年熊本地震被災地救援
