食用のサボテンを「新しい野菜」にしようと企業が挑戦しています。サボテンはどんな味なのでしょうか。飯田と沖縄で栽培し全国展開を目指す企業の戦略と理由を取材しました。

■スーパーに並ぶサボテン

スーパーの野菜売り場。新鮮な野菜が並ぶ中に見慣れない野菜。食用の「ウチワサボテン」です。形が「うちわ」に似ているのが特徴です。

この食用サボテンの販売・普及に乗り出したのが、「綿半グループ」です。

綿半トレーディング 企画営業部・鈴木菜穂美さん:
「(ウチワサボテンは)栄養価が高いことに加えて健康面でも良い。とてもおいしく調理もしやすいところもあるので、ぜひこの野菜を日本に持ってきたい」

■水やりは週1回でOK

食用サボテンの栽培は飯田市と沖縄の合わせて3カ所で進めています。

綿半トレーディング 企画営業部・鈴木菜穂美さん:
「長野県飯田市はわれわれ綿半グループの発祥の地で、ぜひそこでもというところで(飯田市でも栽培)」

ウチワサボテンは暑さや乾燥に強く、メキシコを代表する多肉植物です。ハウス内は20度以上に保つ必要はあるものの、肥料や水やりなど栽培の手間が少ないのが利点です。

綿半パートナーズCreationユニット・小林傑さん:
「サボテンは非常に水資源が少ない場所でも育つものとして有名で、1週間に1回水をあげるかあげないかくらいで、それ以外の管理は収穫のみ」

■日本での定着を目指す挑戦

サボテンで食べる部分は葉っぱではなく「茎」です。メキシコなどでは、炒め物やサラダなどに使われ、日常的に食べられている野菜です。

一方、日本ではまだ観賞用のイメージが強く、野菜としての認知度は高くありません。

綿半はこのサボテンを「新しい野菜」として国内に定着させることを目指し、3年前の2023年に取り組みを始めました。

愛知県の中部大学とともに国(農水省)の事業に参画。全国各地で試験的にサボテンを栽培し、適している場所を選定。メキシコから約2万4000枚の苗を輸入しましたが、この際、中東情勢の影響を受けました。

綿半トレーディング 企画営業部・鈴木菜穂美さん:
「中東の情勢の影響で到着する苗を積んだ船が1カ月遅れるというハプニングがありまして、コンテナの中で苗が一部ダメージを受けてしまうということがあった」

思わぬハプニングがあったものの、4月から5月にかけて飯田と沖縄の3カ所に苗を植えました。栽培面積は合わせて約3800平方メートルで、国内最大規模だということです。

サボテンは成長が早く、6月からは収穫もスタート。親となる株から新しい茎が伸びてきて、20センチほどの大きさになったところで収穫します。

綿半パートナーズCreationユニット・小林傑さん:
「ここに3枚新たな苗が出ているのですが、2枚を残して1枚を収穫する。(その後)2枚目から出てきた3枚目部分を収穫する形になる」

■気になる味は?総菜も登場

現在、綿半のスーパーで販売しているのは、輸入したメキシコ産のウチワサボテンですが、早ければ9月上旬から長野県産のサボテンを県内の店舗に並べたいとしています。

そして総菜コーナーにはサボテンを使った料理も。こちらは「塩レモン風味のサボテン入り焼きそば」です。

まずはサボテンを少し厚めにスライス。それを油で約15秒揚げます。揚げ終わったら、塩焼きそばの上に乗せ、レモンと青のりをかけたら完成です。

綿半トレーディング 企画営業部・鈴木菜穂美さん:
「味の癖がないということがあるが、リンゴ酸という酸が入っているので爽やかな酸味を感じる。その酸味をうまくレモンと合わせることで普通のソース焼きそばではなく、あえて塩レモンの風味の味付けをした焼きそばに」

(記者リポート)
「口に入れた瞬間は程よい苦みが感じられます。かんでいくうちに感じられる酸味とサボテンの粘り気があっさりとした塩焼きそばと合っていて、とてもおいしいです」

■販売数が6倍に

商品に貼られたシールの文字「SABOVEG」。これは2025年に立ち上げたブランド名です。

綿半トレーディング 企画営業部・鈴木菜穂美さん:
「ウチワサボテンは食用としてまだまだ日本では認知が低いので、食べられるものという認識をまず広めるというところで、サボテン×ベジタブルで『サボべジ』」

専用のウェブサイトも開設し、保存方法や家庭で作るためのレシピなどを紹介。塩焼きそばや親子丼など、現在は6種類を掲載しています。

売り場に置くだけでなく、食べ方まで伝えることで、消費者の認知度アップを目指しています。その効果もあってか、販売を始めた2025年は1カ月に約120枚の販売でしたが、6月は800枚ほど売れました。

綿半トレーディング 企画営業部・鈴木菜穂美さん:
「食べていただいて初めておいしいものなんだ、サボテンってどういう味なのかということを大半の方は知らない。野菜として売るよりも、グルメとして食べていただくことで、先入観なく食べていただくことで、それがリピートにつながっている」

■健康効果にも注目

また、サボテンは食物繊維やカルシウムなどが豊富で、しかも低カロリー。

健康効果にも注目し、食べたときの満腹感や腸内環境への影響など、大学や企業と共同で研究を進めています。

綿半トレーディング 企画営業部・鈴木菜穂美さん:
「QOL(生活の質)の向上や腸活のところも、研究を進めて『サボべジ』を広めるツールの一つにしたい」

栽培から加工、販売までグループ内で展開し、国産サボテンの普及を目指す取り組みはまだ始まったばかり。「新しい野菜」として定着するか、今後が期待されます。

綿半トレーディング 企画営業部・鈴木菜穂美さん:
「本当にスタートに立ったところというように思っているのですが、目標としているサボテンを日本の一般的な野菜として食卓に流通させるというところを、少しでも早く実現できるように頑張って取り組んでいきたい」

長野放送
長野放送

長野の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。