28日、富山市内の住宅地でクマの目撃や痕跡が相次ぎ、畑のスイカ8個が食い荒らされる被害が発生しました。市と猟友会が調査を行い、体長およそ1メートルの成獣とみられるクマが市街地を移動したことを確認。「今晩か明日の晩また来る可能性が高い」と、被害を受けた農家は警戒を強めています。

田んぼや空き家に痕跡、成獣クマが市街地を移動

28日午前5時半ごろ、富山市横内で「クマが田んぼの中を通った跡がある」と警察に通報がありました。

市の職員と猟友会が調査したところ、クマの痕跡が見つかりました。足跡の大きさなどから、クマは体長およそ1メートルの成獣とみられます。
*付近住民
「人間が通ったような跡じゃない。何かなと。猟友会の方が来られて、これは間違いなくクマだと」


その後、近くの空き家でクマの痕跡が見つかったことから、市は空き家に潜んでいるとみて、一時、緊急銃猟を視野に捕獲しようと試みます。
しかし、その後、常願寺川近くの田んぼでクマが通った痕跡が見つかりました。
*富山市森林政策課 杉林広和副主任
「潜んでいるんじゃないかという話もあったが、周囲を確認したら、また新たにそこから出たような跡があった。そこを確認したところ、南の方に抜けていく跡も確認できましたので、潜んでいる可能性はもうなくなったということで現地は考えている。常願寺川方向ですね、そこへ抜けていっています」
市は、クマが常願寺川の方を通って山あいに向かったとみて、捜索を打ち切りました。
山室中学校そばの畑でスイカ8個が被害に

一方、28日午前8時40分ごろ、富山市横内からおよそ3キロ離れた太田の住宅で「クマの痕跡がある」と住民から通報がありました。近くに山室中学校がある住宅地です。

*リポート
「クマが侵入したのは住宅街近くの畑では、網がクマによって破られた形跡が見られます」


被害にあった折口正美さん(85)です。管理する畑にクマが侵入し、栽培していたスイカ8個ほどが食い荒らされました。
折口さんは「夜中に食べに来たのではないか」と話します。

*折口正美さん
「子どもにスイカを送ろうと思ってここに来たら、こんな風になっていて驚いた。おそらくクマだろうと思いまして通報しました。人の手、自分の手くらいの足跡が点々とついていた。はっきりとクマの足跡だと思った」
鳥獣被害対策用の網も破られていました狩猟免許を持つ折口さん。一度食べ物がある場所だと覚えたクマは、再び現れるおそれがあると危機感を募らせています。
*折口正美さん
「きれいに食べてますよ。ここに草が倒れていたんで、寝そべっていたんじゃないかなと思う。食べて寝て。休憩して山へ帰って一旦だと思う。クマは決して、残りまだある分を見逃さないと思うんですよ。ですから今晩か明日の晩また来る可能性が高い。スイカをつくる意欲がなくなりますね」

また、富山市堀川町でも「クマがスイカを食べた跡がある」という通報があり、市と猟友会は同じ個体のクマが移動した可能性があるとみて調べています。
夏は食べ物が少ない「端境期」、分布域の拡大に専門家が警鐘
相次ぐ平野部でのクマの目撃と果物の被害。
*立山カルデラ砂防博物館 白石俊明学芸員
「ツキノワグマにとって、夏というのは山中に食物が少なくなる端境期。非常に食べ物を得るのに苦しい時期。果実や野菜はクマの好物。嗜好性が人間とよく似ていて、人間が食べておいしいと思うものは総じてクマも好きという状況。そういう時期に農耕地に出てしまう、またはさらに市街地に移動してしまうというのはこれまでにもありましたし」
立山カルデラ砂防博物館の白石俊明学芸員は、この時期の出没は珍しいことではないと話します。
*立山カルデラ砂防博物館 白石俊明学芸員
「今年は夏の出没が多いとは思っていませんで、例年通りだと思っています。人に見られやすい個体がいますと目撃され通報されて件数が跳ね上がることが起きる。そういった現象のひとつかもしれない。近年、北陸では夏の目撃情報、痕跡情報は増えている。今年も昨年よりも多くなるということは予想できたこと」
ただ近年、クマの行動範囲が広がっていることから、対策の必要性を強調します。
*立山カルデラ砂防博物館 白石俊明学芸員
「個体数が増えているかどうかについては、これまでの調査からは明らかになっていることはないが、分布域が広がっているのは間違いない。以前はやらなくて良かった対策、行動の変容が求められていると思う。夏場の出没は対策をしなければ増えていってしまうと思う」
(富山テレビ放送)

