富山県が進める県立高校の再編計画で、2029年度を「第1期」として富山西・大門・伏木の3校が閉校となる方針が示された。現在の中学2年生が最後の卒業生となり、来年度の高校進学からすでに影響が出始める。なぜこの3校が選ばれたのか。そして、34校ある全日制の県立高校が将来的に20校程度へと絞られていく中で、地域の教育はどう変わるのか。

「第1期」は3年後、来年度から影響が出始める
第1期のスケジュールを整理する。2029年度には閉校となる3校での募集が行われず、2030年度末、つまり2031年3月に正式な閉校となる。

現在の中学2年生がこの3校での最後の卒業生となる。また現在の中学3年生は、高校3年生になった時に1年生が入学してこないという状況を迎える。つまり、来年度の高校進学の段階からすでに影響が生じ始めることになる。

今回の会合で示された内容のポイントは大きく3つある。1点目は県内を6つに分類したエリアごとの将来的な学校数の目安。2点目は、第1期に設置する5校と閉校となる3校の選定。3点目は、第2期に設置する中高一貫教育校として現在の高岡高校を、第3期に設置する大規模校として呉羽高校の敷地を活用するという方針だ。
県内6エリアに分けて「学校数の目安」を初めて提示
これまでは県東部・県西部という大きなくくりで、現在34校ある全日制の県立高校を20校程度にするという方向性のみが示されていた。今回初めて、交通アクセスを考慮して分類した県内6つのエリアごとの目安が示された点は注目だ。

第1期では、富山エリア、高岡・氷見・小矢部エリア、射水エリアでそれぞれ1校ずつ減らす方針となっており、その対象として選ばれたのが富山西・大門・伏木の3校である。
なぜこの3校が選ばれたのか

閉校の対象校を選ぶ前提として、「市や町に1校のみの県立高校については閉校の対象にしない」という方針が取られた。例えば、上市高校や立山町の雄山高校は第1期の対象から外れている。今回閉校となる富山西は富山市内、大門は射水市内、伏木は高岡市内と、いずれも市内に複数の高校が存在するエリアに位置している。
各エリアでの具体的な選定の経緯を見ていく。

富山エリアでは、第1期で富山高校と富山商業高校の校舎・敷地活用が決まり、呉羽高校は第3期の大規模校として活用される。富山市中央部にはこの3校のほか、富山工業・富山中部・富山いずみ・富山西の4校がある。このうち富山工業は第1期校と教育内容が重なる部分が少ないとして対象外となった。残る3校で通学のしやすさを比較すると、富山駅からの所要時間は富山西が21分で最も長い。また直近5年の志願状況では、富山中部と富山西の普通科でともに倍率が1を割っている状況だ。これらの観点を総合的に考慮した結果、富山西高校が閉校の対象となった。


射水エリアには3校あり、小杉高校が第1期校への活用が決まった。残る大門高校と新湊高校を比較すると、アクセス面では大門がより最寄り駅から時間がかかる状況にある。志願状況は普通科でともに1倍前後であることから、大門が閉校の対象となった。

高岡・氷見・小矢部エリアでは、氷見・石動の市内唯一の高校と、第1期・第2期の活用校は対象から外れる。高岡工芸は第1期校と教育内容が重なっていないとして除外された。残る3校の中では、伏木の国際交流科で直近5年の倍率が1を下回っており、伏木が閉校の対象となった。

第2期・第3期へと続く再編の波
今回の第1期はあくまでも始まりに過ぎない。第2期は2033年度頃を予定しており、市や町に1校のみの地域や小規模校も含めた、より広範な再編が見込まれる。第3期では呉羽高校の敷地を活用した大規模校の設置が方針として示されており、その建設費は新築でおよそ160億円、一部改築で135億円、増築でおよそ120億円とされている。大規模校をどのように整備するかは、財政的な観点からも今後の大きな焦点となりそうだ。
今後の議論の焦点、まずは「学校名」

教育委員会は今回示した方針案をパブリックコメントや意見交換会などを経て、今年10月にとりまとめたい考えだ。第1期の設置校については、学校規模や学科構成などについてプロジェクトチームを設けて検討を行い、来年中をめどにとりまとめるとしている。
今後の議論で最初に注目されるのは、新設校の「名称」ではないだろうか。教育委員会は、所在する地域がわかること、親しみやすくわかりやすいことに留意しながら検討するとしている。一方、県議会では「県民のアイデンティティに関わる問題だ」との指摘も上がっており、名称をめぐる議論は一筋縄ではいかないとみられる。
第2期以降に閉校となる学校がどこになるか、そして閉校後の施設をどのように活用するかも大きな課題として残る。

再編の背景にある生徒数の減少

こうした再編の根本にあるのは、生徒数の急速な減少だ。直近の中学校卒業予定者数は8107人だが、今回の再編計画の最終年度となる2038年には6010人まで減少する見込みである。高校の数が減ること自体は避けられない現実といえる。
問題は、数を減らすだけでなく、生徒が「学びたい」「行ってみたい」と思える学校をいかにしてつくれるかだ。地域の子どもたちの未来に直結する議論が、今まさに本格的に動き出している。
(富山テレビ放送)

