交通事故で肩から下が動かなくなる重い障がいがありながらも、ワンマンライブ開催にこぎつけた男性がいます。生きることを支えたのは、家族と仲間、そして音楽でした。
本番を翌日に控えたライブ会場。ステージに立つのは、仙台の音楽バンド1040_。ボーカルは、木村俊夫さん、53歳です。
木村さんは29歳の時、仕事帰りにバイクで壁に衝突し、頸椎を損傷。肩から下が、動かせなくなりました。
木村俊夫さん
「医師に体が『99.9%動くことないです』って伝えられた時は、本当に絶望というか、あれが絶望なのかなって。生きること自体を諦めかけたところから生きていく中でやれることは何かあるかなって考えた時に、やっぱり音楽」
ワンマンライブを開くことを、生きる目標にしました。
諦めない木村さんの姿を見て30年来の友人である滝田さんは、自宅を訪れてサポートするようになったといいます。
滝田博文さん
「ボランティアで少しずつ生活のお手伝いというか、ケアサポートに入るなかで、徐々にやりがいとか楽しさを感じ始めて、気が付いたら介護福祉士の資格を取っていた」
ギターの西城さんも、木村さんに突き動かされたひとりです。精神的に落ち込み、音楽から離れていたといいますが、ワンマンライブ開催を目指す木村さんの姿を見て、再開する決断をしました。
ギター・西城健太郎さん
「1回お互いどこか諦めているという共通のところがあるから、オリジナル曲にもあるんだけど【俺とあんたならできるさ】というイメージが湧いたから」
できるだけ、車いすの人も訪れやすい会場を探し、音楽やダンスを学べる専門学校で、ワンマンライブが開けることになりました。
会場運営に携わるのは、学生たちです。
3年生・吉田虹恋さん
「普通の(障がいのない)アーティストの方と変わらないなという印象と、やっぱり音楽が好きなんだなという印象がありました」
2年生・青木英幸さん
「音響という仕事をやらせてもらっているので、アーティストがお客さんに聞かせたいような音を出せたらなと思います」
俊夫さんの母・由美さんもリハーサルから、思いがこみ上げます。
母・木村由美さん
「自分の体が動かなくなるということで(息子が)泣いたんです。涙流れたんですけど、自分で拭けない。手が動かないので。それを見たときに、体が動かないってこういうことなんだと」
木村さんは、今回のワンマンライブで、入院中に作詞を手がけた「リバース」を披露することにしました。
「再生」などの意味を持つ英単語ですが、曲を聴いた人に自由に感じ、受け取ってほしいと話します。
木村俊夫さん
「普段普通に歩いているのを見ても、普通に歩いているだけでいいなって思ったりとか、そういうことが結構あったので歌詞に入れてみました。怖がりながらでもいいから進もうよみたいなことを伝えたかったので」
迎えた、ワンマンライブ当日。知り合いや医療関係者、SNSでライブを知った150人が集まりました。
東京から来たファン
「CDを買わせていただいて、すごく前へ前へ進んでいくようなパワーをもらって、生で聞いたらどうなるだろうと思って」
生きることに絶望した事故から24年。目標としてきたワンマンライブが始まります。
木村俊夫さん
「俺たちがこうやって活動できているのも、普段支えてくれている医療・介護のエッセンシャルワーカーの皆さんと、いつもライブに来てくれる皆さん、遠くからでも応援してくれている皆さんのおかげで、ライブができているので、本当に感謝しています。ありがとうございます」
母・由美さんも見守る中、入院中に作詞した「リバース」を披露します。
魂を込めた14曲を届けました。
車いすの客
「けがした当時一緒に病室にいた。戦友みたいなもので。普通の人以上に声出して歌ってた。本当に元気いただきました」
子供客
「何があっても諦めないことが大事だなと学びました」
母・木村由美さん
「きょうはメンバーが1つの輪になったような、そういうものが伝わってきて、この人たちがいなかったら俊夫のきょうはなかったんだなと。生きていることの素晴らしさを感じた1日でした」
木村俊夫さん
「ありがとうしかない。絶対夢が叶うってことはないと思うけれど、夢を持ってそこに向かって行くことはできるので。そういうことは諦めないで皆さんも生きて、本当にやりたいことやってください」
木村さんはこれからも、音楽を続けます。
