東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県陸前高田市。「奇跡の一本松」は、震災遺構の一つとして知られ、町のシンボルになっています。
街の様子は一変しましたが、かつての懐かしい情景を今に伝える地名がありました。
長年にわたり岩手県の地名を調べている宍戸敦さんは次のように説明します。
宍戸敦さん
「陸前高田市は陸前と高田の2つに分けて考えたい。高田については、陸前高田市は海沿いは低地だが西に緩やかに高くなっていく。この小高くなった場所に冰上神社がある。その神社でお供えをするために作られた田んぼが『神田』。その神田が高田という地名になったのではないかと考えられる。さらに神社という崇高なところにある田んぼという、2つの意味で高田となったと考えられる。陸前については、全国に多い『高田』と差別化を図るために、かつての国名『陸前』を冠にして陸前高田市としたもの」
かつての国の区分である「陸前」、そして地形や神社にゆかりがあると考えられる「高田」。陸前高田は人々が大切にしてきた2つの地名が一つになったと考えられます。
また、陸前高田市気仙町長部の「長部(おさべ)」の地名について宍戸さんは次のように説明します。
宍戸敦さん
「この地域は長部川が海に流れおちている地域。地名の由来はアイヌ語系と考えられている。「オ」は河口のあたり、「サツ」は乾いている、「ぺ」は川という意味。長部は海に流れ落ちる手前にある水無川と考えられる」
かつて長部川河口付近は、川と海からの堆積物がぶつかり盛り土のようになっていたといいます。
この浅瀬は「おさっぺ」と呼ばれ、地名の由来の一つであると考えられています。
現在、長部川河口は整備されかつての面影は残していませんが、地元住民にとっては思い出深い場所となっています。
地名には様々な解釈があり、古くから語り継がれてきた由来もあります。
そのどちらも、この土地の歴史を知る大切な手がかりです。
地名は由来とともに、懐かしい情景をも、後世へと受け継いでいきます。
