いまの時期に有明海で取れる「エツ」。

漁獲量が減少し、幻の魚と言われることもある中、人工ふ化に取り組む人たちを取材しました。

キラキラと銀色に輝く魚にミリ間隔で細かく包丁をいれていく職人技。

この時期にしか味わうことができない魚「エツ」です。

◆男性客
「おいしいですね。食感がいいですね。小骨が多いと言われるけど…これだけ小さく切ってもらえると食べやすい」

◆女性客
「淡泊ですごくおいしい。びっくりです」

エツは、日本では有明海にのみ生息する体長30センチほどのカタクチイワシ科の魚。

取れる場所も時期も限られていることから「幻の魚」とも言われていて、毎年5月から8月にかけて産卵のために筑後川を遡上します。

◆下筑後川漁業協同組合 北村 潤 組合長
「産卵する時には、みやき町(佐賀県)と久留米市、ここでしか産卵しません。言われているのが砂地とプランクトンが豊富なので産卵するのに一番適していると…」

しかしエツの漁獲量は年々減り、漁協では30年ほど前から人工ふ化に取り組んでいます。

◆下筑後川漁業協同組合 北村 潤 組合長
「年々少なくなってきているから、我々としては産卵場の確保と種苗生産ですね。これしかないので一生懸命やるしかないです。」

エツの受精作業が行われるのは川の上です。

川を遡上してくるエツを網でとらえ採卵します。

採れる卵は1匹あたり3万個から4万個ほどで、新鮮なうちに船の上ですぐに受精させます。

◆下筑後川漁業協同組合 古賀 晃さん
「メスから卵を取って、オスの精子をかけてやると2日くらいでふ化する。なるべく取ってすぐ新鮮なうちに作業せんといかんけんですね」

ふ化した稚魚は、大きなタンクがずらりと並ぶ漁協の育成施設に運び込まれます。

◆下筑後川漁業協同組合 北村 潤 組合長
「エツの場合、種苗生産は日本全国でここだけ。1つの水槽に5千尾、大きい水槽で1万尾入っています」

小さなエツの稚魚に与えられるエサはプランクトン、それに小さなエビのみです。

◆下筑後川漁業協同組合 北村 潤 組合長
「オレンジ色で光っている。エサを食べている証拠なんです。」

30年におよぶ経験から、稚魚にライトを当て体を念入りに確認して、1日3回のエサの量を調節します。

◆下筑後川漁業協同組合 北村 潤 組合長
「2センチほどで、だいたい1か月から1ヶ月半ほど。それくらいになって放流しています」

ふ化から放流までの一連の作業は1シーズンあたり7~8回。

今年は50万匹ほどを放流する予定です。

◆下筑後川漁業協同組合 北村 潤 組合長
「筑後川のエツを守っていかないといけないという気持ちでいっぱいです。ぜひ筑後川の恵みのエツを食べてもらいたい」

地元で愛されている初夏の味覚、エツ。

この地域でしか取れない希少な魚を後世につなげていくための取り組みが続けられています。

テレビ西日本
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