熱戦続く夏の高校野球・新潟大会。特別な思いを持って高校野球に挑んだ3年生の女子キャプテン。強豪相手に戦った最後の夏に密着した。
■高校野球に挑んだ“女子キャプテン”
夏の高校野球・新潟大会、帝京長岡対長岡の2回戦。
長岡の選手たちの円陣をベンチから見届けるユニフォーム姿の選手。その背中に番号はない。
「みんなのことをアシストすることが役割なので、声でしっかりチームを引っ張っていく」
長岡・創部128年の歴史で初めての女子キャプテン・楳田晴さんだ。
チームメイトとともに汗を流してきたが、女子選手は日本高野連の規定で公式戦に出場できない。この規定を知った上で長岡高校の野球部に入部した。
「ルールをなんとか覆したいと思っていたので、そのためには女子野球部ではなくて自分が(長岡に入部して)活躍しないと変えられないと思った」
その願いは叶わなかったが、今大会では熱戦の始まりを告げる開幕戦の始球式を務め、マウンドで見事なストライクピッチングを披露した。
「フィールドの中に立たせてもらえることがありがたいので感謝の気持ちでいっぱい。長岡が目標としている甲子園に行って、そこで勝つことを達成したい」
■強豪との戦い 楳田さんはベンチから声がけ
再び仲間とともにエコスタへ…
楳田さんは記録員としてベンチに入り、仲間とともに最後の夏の戦いに挑んだ。
相手は春のセンバツ甲子園に出場した強豪・帝京長岡。試合は1回表、ミスが重なり、いきなり先制点を許してしまう。
「どんな相手であっても自分たちがやることは変わらない。勝ちたいという熱い気持ちは持ちながらも、頭は冷静にゲームをしようと、一戦必勝で勝つんだと伝えた」と振り返る楳田さん。
その思いがグラウンドで戦う選手に届く。
■逆転ホームランに「やってやった」
2回ウラ、ランナーを2塁に置いて6番・村山がレフトポール際に飛び込む値千金の逆転2ランホームラン!
楳田さんも「やってやったという気持ちでいっぱいだった。ストレートに対して練習してきたので、ホームランが出てすごくうれしかった」とベンチで仲間と喜びを共有する。
■最終盤まで粘るも…“最後の夏”終わる
その後に逆転され、点差を広げられるが、勝利を信じるチームの大黒柱は冷静だった。
「自分たちが強みにしてきたのは後半勝負なので、点を取られても粘って、粘って自分たちがやりたい攻撃をするんだと常に声をかけていた」
5点を追いかける最終回。
この回の先頭は打ち取られるも、4番・佐藤、5番・松永の中軸が連続ヒットで1・3塁のチャンスをつくると、打席には本塁打を放っている6番・村山。ここも期待に応えるレフトへの犠牲フライで1点を返す。
最終盤でも発揮された集中力。仲間と鍛え上げた野球を貫き、最後に1点を返した長岡の夏は終わりを迎えた。
■高校最後の試合「信じて見守ることできた」
楳田さんは「思い通りにいかないことが続く2年半だったが、最後の試合はちゃんとみんなのことを信じてゲームを見守ることができた。2年半すごくやり切れた気持ちではある」と話す表情に涙はなかった。
「高校野球に新たな風を」古豪という重圧を背負った女子キャプテンの思いと行動は女子選手の未来を切り開き、高校野球の歴史を動かす一つのきっかけになるのかもしれない。
