奈良の街で今起きている異変。
それを招いているのが、市街地のど真ん中に現れたシカの群れです。
青信号の横断歩道を1列になって渡る5頭のシカ。
左折しようとする車も渡り切るのを待つしかありません。
奈良のシカは国の天然記念物に指定され“神の使い”ともいわれる存在。
奈良公園に生息し、観光客から鹿せんべいを与えられる光景がおなじみです。
しかし14日に目撃されたのは、奈良公園から約2km離れたJR奈良駅の目の前。
猛暑日となった奈良市のランチタイムに、植え込みの草をむしゃむしゃと食べていました。
さらに5頭が道路の反対側まで移動すると、そこでは何と、別の群れとまさかの合流を果たし、8頭に増えました。
なぜ、このような事態となっているのでしょうか。
奈良公園のシカはコロナ禍が明けて以降、個体数が急増していて、2025年度は5年前から360頭も増え、過去最多を更新しました。
これにより過密化した公園からあふれ出て、公園の外に住み着くシカが増えているというのです。
奈良の鹿愛護会の中西副会長は、公園外にシカが住み着く今の状況を“ミニ奈良公園化”と評します。
奈良の鹿愛護会・中西康博副会長:
メス鹿が(公園の)外に出て行くと、外のオスと合流して、外に“ミニ奈良公園”をつくっちゃう。オス1頭、メス3頭で1つのミニ奈良公園みたいなのができたとしたら、何もしなければすぐに100頭までいっちゃう。外が自分の家だから、奈良公園を知らない。
驚異の繁殖力を誇るシカ。
群れの増加は、より深刻な事態を招きかねません。
奈良公園から約1.5kmの場所にある団地で中西副会長に話を聞いている最中にも、木陰でひと休みするシカに、車道を歩くシカの群れ。
団地内から出てきた新たな群れと合流し、まさしく“ミニ奈良公園”状態です。
こうした光景に、街の人は「どこにでもいるって感じでほほ笑ましいけど、庭の植木とか食べられちゃっているから、家の人は困っていると思う」と話します。
家庭菜園を楽しむ住民は、シカによる食害に悩まされていました。
住民:
サツマイモも食べられるし、柿の葉も新芽食べられるし、枝豆もしっかり食べられたし、ありとあらゆるもの…。
丹念に育てていた枝豆は茎ごと食べられ、柿の木の葉っぱも食べられています。
この家では、ネットを使った防護策を講じていました。
住民:
シカちゃんに食べてもらうって感じで共存するしかない。奈良に住む限り。
食害に加えて、今後、問題となりそうなのがシカの角。
奈良公園内のシカは、人に被害が及ばないよう秋に角が切られますが、住宅街のシカは生えたままで、この先、注意する必要があるといいます。
奈良の鹿愛護会・中西康博副会長:
早ければ8月末、9月くらいに、この角が人間の爪のように硬くなる。この状態になると気持ちも変わる。オスに中途半端に近寄ったりすると攻撃を受けやすい。
2025年9月には、突進してきたシカに男の子が突き飛ばされる場面がカメラに収められました。
奈良の鹿愛護会はこうした映像を公開し、不用意に近づかないよう呼びかけています。
奈良の鹿愛護会・中西康博副会長:
奈良公園ほど安全安心な場所はシカにとってはないと思う。
奈良県などは、奈良公園外にいるシカを奈良公園に誘導する「追い上げ作戦」を実施しています。
